今さらですが私はアルコール依存症者です。ですから、我が家にアルコール類の瓶など置いていません。多少はお酒をたしなむ相方は缶ビールを冷蔵庫の隅に隠していますが、私は見て見ぬ振りをしています。
そんな我が家に異変が起きました。正月に遊びに来ていた長男が、ウィスキーの飲み残しを置いて帰ったのです。飲み残しと言ってもダブル1杯程度で、私にしたら飲み残しにも当たらない量でした。もちろん彼が帰った後、私には目に毒だったのでサッサと処分してしまいました。
そもそも相方は、長男にと缶ビールとチューハイを買い置きしていました。長男の方も心得たもので、自分用にと栓を開けたシーバスの飲み残しを持参して来ていたのです。私の前では流石に飲まなかったのですが、私が自分の部屋に引上げてから飲んだようでした。
さて、長男たちが帰って2日後、部屋にいた私に相方が声を掛けてきました。
「ちょっとぉ~、台所に置いてあったウィスキーの瓶、捨てたのぉ~?」
「あぁ、捨てたよ」と、根が真面目な私はバカ正直に応えました。
「ちょっとだけ残っていたでしょう? 楽しみにしていたのにぃ~」
さもさも惜しげな言い方だったので、止せばいいのに私はむかっ腹を立ててこう返してやりました。
「そんなに飲みたかったら自分で買ってくれば!」
それでも相方は余程悔しかったらしく、
「あ~ぁ、捨てたのかぁ~?! 楽しみにしてたのになぁ~!」と、いかにも未練タラタラ、かつての私と立場が完全に逆転していました。
しばらくして私はやっと気づきました。千載一遇(?)の惜しい機会を逃したらしいのです。むかっ腹など立てずに「ごめん、あれ飲んじゃった!」と、機転を利かせていたらと悔やまれました。
ウソも方便で、少しでも心に余裕があればきっと面白い展開になったはずだったのです。こんな後悔なら何度でもしてみたい、そう心底思いました。
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「あぁ、捨てたよ」と、根が真面目な私はバカ正直に応えました。
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さもさも惜しげな言い方だったので、止せばいいのに私はむかっ腹を立ててこう返してやりました。
「そんなに飲みたかったら自分で買ってくれば!」
それでも相方は余程悔しかったらしく、
「あ~ぁ、捨てたのかぁ~?! 楽しみにしてたのになぁ~!」と、いかにも未練タラタラ、かつての私と立場が完全に逆転していました。
しばらくして私はやっと気づきました。千載一遇(?)の惜しい機会を逃したらしいのです。むかっ腹など立てずに「ごめん、あれ飲んじゃった!」と、機転を利かせていたらと悔やまれました。
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