先日、ヒューマンライツシアター主催の映画『万引き家族』を観てきました。無料の上映会だったのでほとんどがシルバー世代の観客でしたが、150名の定員に満たない入りは意外でした。
私にとって、この映画を観るのは2回目です。初回に観たときも台詞に負うところが大の映画と思っていました。それでいながらつい聞き流していた場面も多々ありました。
今回は日本語字幕がついていたので、前回の反省から聞き漏らすまいと頑張ってみたのですが、意外に聞き取れてない台詞が多かったことにビックリでした。難聴が始まっているシルバー向けには日本語字幕もアリと思いました。
さて、映画は中盤まで、和気藹々とした情景が淡々と進みました。が、“婆”・初枝(樹木希林)が亡くなってからは一転して波乱に富んだ終盤に入りました。
中でも特に、“やまと屋”(?)という雑貨屋での一コマが強く印象に残りました。
この雑貨屋、侘しすぎるくらい狭い店構えで、本来なら万引きするには忍びないタバコ屋を兼ねた小さな店舗です。柄本明演ずる爺さんが雑貨屋の主人でした。
そのお店で “妹” のゆり(じゅり?)が、指で万引き成功のお呪いをした後、小さなフィギアの入った小袋を引きちぎって持ち逃げ。それを見た “兄” の翔太も後を追って逃げ出そうとしたとき、主人の爺さんが翔太を呼び止め、チューチュー・キャンデー2個を翔太の手に持たせてこう言ったのです。
「いいか、妹にはやらせるな!」
何もかも知った上で噛んで含めるような言葉でした。
後日再び “兄妹” が“やまと屋”に行ってみると忌中の簾が垂れ下がっていました。忌中の意味がわからなかった翔太でしたが、爺さんの言葉は深く胸に突き刺さったままでした。
“万引きとは誰の物と決まっていない物をちょろまかすこと”、と “父”・治(リリー・フランキー)に刷り込まれていた翔太です。幼い頃からの刷り込みは根が深く、それに気づかせるのは至難の業です。頭からどやしつけなどしたら逆効果になりかねません。
それだけに爺さんの心遣いと言い方が、翔太の心にモヤモヤした気持ちを芽生えさせ、遂には万引きは悪事という意識に変えさせたのです。
これが転機となってスーパーでの万引き補導事件に繋がり、一気に家族離散へと見事に展開して行きました。一見さりげない場面ながら、実に味のある構成だと思いました。
その味のある渋い演技を見せてくれたのが柄本明です。台詞が2つ3つしかないチョイ役ながら、映画の展開には欠かせない役どころを見事に演じ切っていました。
最後に、他の役者陣に一言。
自ら前歯を抜いて臨んだ樹木希林の存在感は圧倒的でした。
心根の優しいちょいワル女・信代をリアルに演じた安藤サクラも見事でした。
リリー・フランキーが演じた治のべらんめい調は、軽く浮いた感じが過ぎました。
かくも役者の力量が十分に発揮された映画でした。
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私にとって、この映画を観るのは2回目です。初回に観たときも台詞に負うところが大の映画と思っていました。それでいながらつい聞き流していた場面も多々ありました。
今回は日本語字幕がついていたので、前回の反省から聞き漏らすまいと頑張ってみたのですが、意外に聞き取れてない台詞が多かったことにビックリでした。難聴が始まっているシルバー向けには日本語字幕もアリと思いました。
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中でも特に、“やまと屋”(?)という雑貨屋での一コマが強く印象に残りました。
この雑貨屋、侘しすぎるくらい狭い店構えで、本来なら万引きするには忍びないタバコ屋を兼ねた小さな店舗です。柄本明演ずる爺さんが雑貨屋の主人でした。
そのお店で “妹” のゆり(じゅり?)が、指で万引き成功のお呪いをした後、小さなフィギアの入った小袋を引きちぎって持ち逃げ。それを見た “兄” の翔太も後を追って逃げ出そうとしたとき、主人の爺さんが翔太を呼び止め、チューチュー・キャンデー2個を翔太の手に持たせてこう言ったのです。
「いいか、妹にはやらせるな!」
何もかも知った上で噛んで含めるような言葉でした。
後日再び “兄妹” が“やまと屋”に行ってみると忌中の簾が垂れ下がっていました。忌中の意味がわからなかった翔太でしたが、爺さんの言葉は深く胸に突き刺さったままでした。
“万引きとは誰の物と決まっていない物をちょろまかすこと”、と “父”・治(リリー・フランキー)に刷り込まれていた翔太です。幼い頃からの刷り込みは根が深く、それに気づかせるのは至難の業です。頭からどやしつけなどしたら逆効果になりかねません。
それだけに爺さんの心遣いと言い方が、翔太の心にモヤモヤした気持ちを芽生えさせ、遂には万引きは悪事という意識に変えさせたのです。
これが転機となってスーパーでの万引き補導事件に繋がり、一気に家族離散へと見事に展開して行きました。一見さりげない場面ながら、実に味のある構成だと思いました。
その味のある渋い演技を見せてくれたのが柄本明です。台詞が2つ3つしかないチョイ役ながら、映画の展開には欠かせない役どころを見事に演じ切っていました。
最後に、他の役者陣に一言。
自ら前歯を抜いて臨んだ樹木希林の存在感は圧倒的でした。
心根の優しいちょいワル女・信代をリアルに演じた安藤サクラも見事でした。
リリー・フランキーが演じた治のべらんめい調は、軽く浮いた感じが過ぎました。
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