がん化学療法2クール目の投薬が終了し、副作用の低血圧が少しマシになった頃のことです。退院予定日を告げに来た主治医からこんな提案がありました。
「“鉄は熱いうちに打て” と言うように、
“がん” も叩ける内に叩けですから、3クール目もやりましょう!」
「えっ、3クール目ですか? まだ副作用でシンドイのに・・・
どうせまた、シンドイくて辛い思いをするだけじゃないですか?!
私がどんなに辛くて苦しいかわからないから、
先生は、そんなこと言えるんですよ。」
「まぁまぁ、入退院の繰り返しだけとなるかもしれませんが、
そうでもしなければ “がん” は叩けません!
是非々々、やりましょう!」
「“入退院の繰り返しだけ” ですか? そんなの嫌ですよ!
それじゃ生きている価値がないでしょう!
せっかくですが、抗がん剤治療はもう受けません!」と、威勢良く啖呵を切ったのですが、・・・あれから早いもので、1ヵ月以上経っています。
せめて、ほんの少しでもいいから世の役に立ちたい、入退院を繰り返すだけの人生なんて侘しくて無意味。これがそのときの偽らざる私の本音でした。
同時に、ただ恋々と生きることだけに執着するのはみっともない、ジタバタしない潔い死に方も良いのではという思いにも強く傾いていました。
ところがこれは、未練がましくてみっともないと見られたくないという気分からだったような、つまり単に気負いと見栄からだったようなのです。
“喉元過ぎれば熱さ忘れる”。年末の内視鏡検査で “がん” が消えたと言われた途端、現金なもので再び欲が湧いてきました。
正月休みを終えたばかりの6日、年明け初の診察を受けました。そこで告げられたのは、しばらくは経過観察だけで行こうという方針。私の希望を尊重してのことでした。
これでしばらくは、がん治療らしいものは何も受けないことになります。さすがに気が抜けて心細くなりました。
人の心は移り気なもの。二度と受けるものかとあれほど拒否反応の強かった抗がん剤治療ですが、内服薬なら再び受けてもいいかと思い始めている私がいます。
まぁ、今心懸けるべきは、歩行リハビリを再開・充実させ、少しでも体力の回復を図ってゴミ拾いを再開すること。そうすれば、少しは世の役に立っていると実感できるかもしれませんよネ。
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