ものごとを自分の言葉で自分なりにかみ砕いて述べる。これはよほど理解していないと出来ることではありません。“自分の言葉で” というところがミソなのですが、人に教わったことであっても “自分なりにかみ砕いて” 表現するのはこれに劣らず至難の業ではないでしょうか。
今回取り上げてみたのは医者に教わった “病識” の意味についてです。精神科領域の病気で特徴的なのは本人に病気という自覚がないことだそうです。このことを “病識がない” と言い、精神病の典型とされる統合失調症ではこれが一番の特徴だそうです。ちなみに、漠然と病気と感じているにすぎないことを “病感” というそうです。
本物の “うつ病”(大うつ病 / 大うつ病性障害)でも患者本人には “病識がない” のだそうですが、今回の事例はその “うつ病” の “病識” について記述した部分です。しどろもどろな記述になっていましたが、ここでもアルコールの置き土産PAWSの一つ “思考プロセス障害” の形跡が見て取れます。
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【事例48】
「精神科領域では本人に病的だという自覚がないことの方が多いそうです。このことを “病識がない” と言い、・・・(中略)・・・内科を受診し、検査しても原因が分からないままに、精神科に回されて来て初めて “うつ病” と診断される ―― これが通常の例だと聞きました。
恐らく、これといって直近に思い当たる原因やキッカケがなく、不眠や食欲が湧かないとか、身体が怠く疲れやすいなどの身体症状が主な悩みで、気力が湧かないとか、億劫でどうしても仕事に行けないなどの精神的なことは身体の不調のせいと思っているのかもしれません。」
↓
「精神科領域では本人に病気という自覚がないことの方が多いそうです。・・・(中略)・・・内科を受診し、・・・(中略)・・・これが通常の例だと聞きました。
つまり、これといって直近に思い当たる原因やキッカケがなく、眠れない、食欲が湧かない、身体が怠くて疲れやすいなどの身体的不調が主な悩みと訴える例が普通であり、気力が湧かなくて億劫なことからどうしても仕事に行けないなど、同時に自覚している症状が精神的異変のせいとは思いもしないのだそうです。」
「“物忘れ” ― 単なる健忘? それとも認知症?」(2016.01.29投稿)より
まず、最初の下線部の病的はあっさり病気とする方がよいのでそう改めました。
次に二番目の下線部を含む一文ですが、頭に浮かんできた言葉を整理しないまま順に書き留めた印象が強く、自信なさげで支離滅裂な文章になっています。
その原因の一つは、「不眠や食欲が湧かないとか、・・・」といった症状名の並列が不規則であること。二つ目は、精神的異変が身体的不調と混同しやすいことが表現しきれていないこと。さらに、「どうしても仕事に行けない」に係る修飾語の途中に不要な読点を打ったため、因果関係が混乱していること。文末の「かもしれません」も文脈上からアウトです。以上が問題だろうと思いました。
そこで、症状名の表記を改め、精神的異変が身体的不調と混同しやすいことがハッキリするよう、「同時に自覚している症状」という言葉を加えてみました。そして、修飾語・被修飾語の関係や文末等も手直ししてみました。いかがでしょうか?
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【急性離脱後症候群(PAWS)】
症状は、断酒開始後3~6ヵ月目で最も強くなり、6ヵ月~2年で回復する。
○ 思考プロセス障害(脳の働きにムラがある、頑なで諄(くど)い思考、
因果関係を理解できない)
○ 情動障害(情動の揺れ)
○ 記憶障害(短期記憶の障害)
○ 睡眠障害
○ 身体的協働性に問題
○ ストレス感受性に変化
(おそらく認知障害 “認知のゆがみ” に気づいた意味:筆者追記)
(アルコール依存症専門クリニック教育資料より)
その障害の一つ “思考プロセス障害” では、脳の働きにムラがある、頑なで諄(くど)い思考、因果関係を理解できないなどが知られています。
私の経験から言えば、次の3点に言い換えできるでしょうか。
● 脳が混乱して疲れやすく、よくストライキを起こすこと
● まとまった文章を書こうとすると、なかなか考えがまとまらないこと
● 使うべき助詞、所謂 “てにをは” の適切な使い方に迷うこと
さらにより具体的に挙げれば、“遠回りする思考”、“助詞の使い方の混乱”、“修飾語の語順の誤り”、“時制の混乱” などとなり、大概が “慣用的な言葉の使い方(言い回し)の失念” ということに要約できます。
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今回取り上げてみたのは医者に教わった “病識” の意味についてです。精神科領域の病気で特徴的なのは本人に病気という自覚がないことだそうです。このことを “病識がない” と言い、精神病の典型とされる統合失調症ではこれが一番の特徴だそうです。ちなみに、漠然と病気と感じているにすぎないことを “病感” というそうです。
本物の “うつ病”(大うつ病 / 大うつ病性障害)でも患者本人には “病識がない” のだそうですが、今回の事例はその “うつ病” の “病識” について記述した部分です。しどろもどろな記述になっていましたが、ここでもアルコールの置き土産PAWSの一つ “思考プロセス障害” の形跡が見て取れます。
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【事例48】
「精神科領域では本人に病的だという自覚がないことの方が多いそうです。このことを “病識がない” と言い、・・・(中略)・・・内科を受診し、検査しても原因が分からないままに、精神科に回されて来て初めて “うつ病” と診断される ―― これが通常の例だと聞きました。
恐らく、これといって直近に思い当たる原因やキッカケがなく、不眠や食欲が湧かないとか、身体が怠く疲れやすいなどの身体症状が主な悩みで、気力が湧かないとか、億劫でどうしても仕事に行けないなどの精神的なことは身体の不調のせいと思っているのかもしれません。」
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「精神科領域では本人に病気という自覚がないことの方が多いそうです。・・・(中略)・・・内科を受診し、・・・(中略)・・・これが通常の例だと聞きました。
つまり、これといって直近に思い当たる原因やキッカケがなく、眠れない、食欲が湧かない、身体が怠くて疲れやすいなどの身体的不調が主な悩みと訴える例が普通であり、気力が湧かなくて億劫なことからどうしても仕事に行けないなど、同時に自覚している症状が精神的異変のせいとは思いもしないのだそうです。」
「“物忘れ” ― 単なる健忘? それとも認知症?」(2016.01.29投稿)より
まず、最初の下線部の病的はあっさり病気とする方がよいのでそう改めました。
次に二番目の下線部を含む一文ですが、頭に浮かんできた言葉を整理しないまま順に書き留めた印象が強く、自信なさげで支離滅裂な文章になっています。
その原因の一つは、「不眠や食欲が湧かないとか、・・・」といった症状名の並列が不規則であること。二つ目は、精神的異変が身体的不調と混同しやすいことが表現しきれていないこと。さらに、「どうしても仕事に行けない」に係る修飾語の途中に不要な読点を打ったため、因果関係が混乱していること。文末の「かもしれません」も文脈上からアウトです。以上が問題だろうと思いました。
そこで、症状名の表記を改め、精神的異変が身体的不調と混同しやすいことがハッキリするよう、「同時に自覚している症状」という言葉を加えてみました。そして、修飾語・被修飾語の関係や文末等も手直ししてみました。いかがでしょうか?
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【急性離脱後症候群(PAWS)】
症状は、断酒開始後3~6ヵ月目で最も強くなり、6ヵ月~2年で回復する。
○ 思考プロセス障害(脳の働きにムラがある、頑なで諄(くど)い思考、
因果関係を理解できない)
○ 情動障害(情動の揺れ)
○ 記憶障害(短期記憶の障害)
○ 睡眠障害
○ 身体的協働性に問題
○ ストレス感受性に変化
(おそらく認知障害 “認知のゆがみ” に気づいた意味:筆者追記)
(アルコール依存症専門クリニック教育資料より)
その障害の一つ “思考プロセス障害” では、脳の働きにムラがある、頑なで諄(くど)い思考、因果関係を理解できないなどが知られています。
私の経験から言えば、次の3点に言い換えできるでしょうか。
● 脳が混乱して疲れやすく、よくストライキを起こすこと
● まとまった文章を書こうとすると、なかなか考えがまとまらないこと
● 使うべき助詞、所謂 “てにをは” の適切な使い方に迷うこと
さらにより具体的に挙げれば、“遠回りする思考”、“助詞の使い方の混乱”、“修飾語の語順の誤り”、“時制の混乱” などとなり、大概が “慣用的な言葉の使い方(言い回し)の失念” ということに要約できます。
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