生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

市川定夫氏「自然放射線と人工放射線のちがい」など

2011年08月11日 12時12分33秒 | 生命生物生活哲学
2011年8月11日-2
市川定夫氏「自然放射線と人工放射線のちがい」など

 目に見えないが、或る現象があり(たとえば乾板の模様 patternが変化した)、その変化の原因として何かが当たった、つまり何かが作用を及ぼしていることが原因であると推定され、その原因をあれこれ考えて実験などで確定する。通常は、それは機械、つまり物理的メカニズム(これも推定なのだが)を通して、確認 confirmされる。
 目に見えず、また、すでに知られている物理的力または作用以外による影響があるかもしれない。放射性物質の作用は目に見えない。既存の検出器(ガイガー、シンチレーション、半導体)では、検出出来ない生物体への作用があるかもしれない。
 一つは生物体自身に現われる影響を測ることである。(生物相といった、生物の種類(の変化)を指標とする場合は、生物指標 bioindicatorである。)
 大昔、ムラサキツユクサの突然変異によって、原発周辺に見られる影響を調べていたと記憶する市川定夫氏のその後の研究はどうなったのだろうか、と思って或る会合で聞いてみたが、知っている人はいなかった。
 
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-626.html
に、「市川定夫」というカテゴリーがあったので、下記を知った。
 
 [動画]自然放射線と人工放射線のちがい / 市川定夫氏
http://www.youtube.com/watch?v=IV4N63urYjQ

 
 【必見】「天然放射能と人工放射能の違い」を進化の過程を踏まえて教える、人気予備校講師レベルのわかりやすい講義……「放射能はいらない」【文字おこし3】
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65745462.html

 市川定夫氏の放射性セシウム体内濃縮の講義が、かゆいところに手が届きすぎる!……放射能はいらない【動画&文字おこし2】
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65745186.html

 輸入食品に含まれる放射能について解説……ドキュメンタリー「放射能はいらない」【動画&文字おこし1】
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65744745.html


児玉龍彦氏証言「放射線の健康への影響」

2011年08月11日 10時01分58秒 | 生命生物生活哲学
2011年8月11日-1
児玉龍彦氏証言「放射線の健康への影響」

 『週刊朝日』2011年8月19日号132頁の「居並ぶ国会議員を硬直させた児玉龍彦東大教授の魂の叫び」という記事で知った。
 2011年7月27日の衆議院厚生労働委員会で、「放射線の健康への影響」について、児玉龍彦東京大学アイソトープセンター長が証言した。

 「放射線の健康への影響」児玉龍彦氏(内容完全書き出し)衆議院厚生労働委員会7/27
は、
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-626.html

 上記では、動画も見ることができる。

 注目した箇所を引用する(句読点を追加したり、漢字をひらかなに変更したりした)。

  「われわれが放射線障害をみる時には、総量をみます。
 それでは東京電力と政府は一体今回の福島原発の総量がどれくらいであるか、はっきりした報告は全くされておりません。
 そこで私どもはアイソトープセンターのいろいろな知識をもとに計算してみますと、まず、熱量からの計算では広島原爆の29.6個分に相当するものが漏出しております。ウラン換算では20個分の物が漏出していると換算されます。

 さらに恐るべきことには、これまでの知見で原爆による放射線の残存量と原発から放出された者の放射線の残存量は
一年に至って原爆が1000分の一程度に低下するのに対して、原発からの放射線汚染物は10分の一程度にしかならない。
 つまり、今回の福島原発の問題はチェルノブイリと同様、原爆数十個分に相当する量と、原爆汚染よりもずっと多量の残存物を放出したということが、まず考える前提になります。
 そうしますと、われわれシステム生物学というシステム論的にものを見るやり方でやっているんですが、現行の総量が少ない場合にはある人にかかる濃度だけを見ればいいのです。しかしながら、総量が非常に膨大にありますと、
これは粒子です。粒子の拡散は非線形という科学になりまして、われわれの流体力学の計算でも最も難しいことになりますが、核燃料というのは要するに砂粒みたいなものが合成樹脂みたいな物の中に埋め込まれています。これがメルトダウンして放出するとなると、細かい粒子が沢山放出されるようになります。
 そうしたものが出てまいりますと、どういうようなことが起こるかが、今回の稲藁の問題です。
 たとえば、
  岩手のふじわら町(藤沢町)では稲藁57000ベクレル/kg
  宮城県のおおさき17000ベクレル/kg
  南相馬市10万6千ベクレル/kg
  白河市97000ベクレル/kg
  岩手(茨城の高萩市?)64000ベクレル/kg
ということで、この数字というのは決して同心円上にはいかない。どこでどういうふうに落ちているかは、
その時の天候、それから、その物質がたとえば水を吸い上げたかどうか……」
[http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-626.htmlから、句読点や段落などの表記を改変]

 続いて、内部被曝の過程と影響のメカニズムが説明される。

  「内部被曝がどのように起きるかという問題を説明させていただきます。
 内部被曝というものの一番大きな問題は癌です。癌がなぜ起こるかというとDNAの切断を行ないます。ただし、ご存じのとおりDNAというのは二重らせんですから、二重らせんの時は非常に安定的です。
 これが、細胞分裂をする時には二重らせんが一本になって、2倍になり4本になります。この過程のところがものすごく危険です。
 そのために、妊婦の胎児、それから幼い子ども、成長期の増殖が盛んな細胞に対しては、放射線障害は非常な危険をもちます。
 さらに大人においても増殖が盛んな細胞、たとえば放射性物質を与えると、髪の毛、それから貧血、それから腸管上皮の、これらはいずれも増殖分裂が盛んな細胞でして、そういうところが、放射線障害のイロハになります。
 それで私どもが内部に与えた場合に具体的に起こるので知っている事例を上げます。

 これは実際には一つの遺伝子の変異では癌は起こりません。最初の放射線のヒットが起こった後にもう1個の別の要因で癌の変異が起こるということ。これはドライバーミューテーションとかパッセンジャーミューテーションとか細かいことになりますが、それは参考の文献を後ろに付けてありますので、それを後で、チェルノブイリの場合やセシウムの場合を挙げてありますのでそれを見ていただきますが、まず一番有名なのはα線です。
 プルトニウムを飲んでも大丈夫という東大教授がいるというのを聞いて、私はびっくりしましたが、α線はもっとも危険な物質であります。
 それは、トロトラスト肝障害というので私ども肝臓医はすごくよく知っております。ようするに内部被曝というのは、先ほどから一般的に何ミリシーベルトという形で言われていますが、そういうものは全く意味がありません。
 I131は甲状腺に集まります。
 トロトラストは肝臓に集まります。
 セシウムは尿管上皮、膀胱に集まります。
 これらの体内の集積点をみなければ、全身をいくらホールボディースキャンやっても全く意味がありません。

 トロトラストの場合の、このちょっと小さい数字なんで大きい方は後で見て欲しいんですが、これは実際に、トロトラストというのは造影剤でして、1890年からドイツで用いられ1930年ごろからは日本でも用いられましたが、その後20~30年経つと肝臓がんが25%から30%に起こるという事がわかってまいりました。
 最初のが出てくるまで20年というのは何故かというと、最初にこのトロトラスト、α線核種なんですが、α線は近隣の細胞を傷害します、その時に一番やられるのはP53という遺伝子です。われわれは今ゲノム科学というので、人の遺伝子、全部配列を知っていますが、一人の人間と別の人間は大体300万箇所違います。
 ですから人間同じとしてやるような処理は今日では全く意味がありません。
 いわゆるパーソナライズド・メディスンというやり方で、放射線の内部障害をみる時も、どの遺伝子がやられて、どういう風な変化が起こっているかという事をみるということが、原則的な考え方として大事です。
 トロトラストの場合は第一段階ではP53の遺伝子がやられて、それに次ぐ第二第三の変異が起こるのが20~30年後かかり、そこで肝臓がんや白血病が起こってくるということが証明されております。

 次にヨウ素131。
 これヨウ素はみなさんご存じのとおり甲状腺に集まりますが、甲状腺への集積は成長期の甲状腺形成期が最も特徴的であり、小児に起こります。
 しかしながら1991年に最初ウクライナの学者が「甲状腺がんが多発している」というときに、日本やアメリカの研究者はネイチャーに「これは因果関係が分からない」ということを投稿しております。何故そんなことを言ったかというと1986年以前のデータがないから、統計学的に有意だということを言えないということです。
 しかし、統計学的に有意だということがわかったのは、先ほども長瀧先生からお話しがありましたが20年後です。20年後に何がわかったかというと、86年から起こったピークが消えたために、これは過去のデータが無くても因果関係がある、ということがエビデンス〔evidence 証拠、根拠〕になった。
 ですから、疫学的証明というのは非常に難しくて、全部の事例が終わるまで大体証明できないです。

 ですから今 我々に求められている「子どもを守る」という観点からは全く違った方法が求められます。
 そこで今行なわれているのは、ここには国立のバイオアッセイ研究センターという化学物質の効果をみる福島昭治先生という方が、ずっとチェルノブイリの尿路系に集まる物を検討されていまして、福島先生たちがウクライナの医師と相談、集めて、500例以上の、前立腺肥大の時に手術をしますと、膀胱もとれてきます。
 これをみまして検索したところ、高濃度汚染地区、尿中に6ベクレル/?という微量ですが、その地域ではP53の変異が非常に増えていて、しかも、増殖性の前癌状態、われわれからみますとP38というMAPキナーゼと、NF-κB(エヌエフ・カッパー・ビー)というシグナルが活性化されているんですが、それによる増殖性の膀胱炎というのが必発でありまして、かなりの率に上皮内のがんができているという事が報告されております。
 それで、この量に愕然といたしましたのは、福島の母親の母乳から2~13ベクレル、7名で検出されているという事が既に報告されている事であります」
[http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-626.htmlから、句読点や段落などの表記を改変]

 
 統計学では平均値(たとえば被曝総量の指標と見ることができる)をまず問題にするが、各個人についての医学ならば、具体的に、内部被曝してたとえばα線やβ線を出す核種が、たとえば膀胱上皮にどれだけ集積しているのか、というように、身体のどこにどれだけの量でどのような悪影響を及ぼす物が <分布しているのか> を調べることになるだろう。

 児玉龍彦氏は、南相馬に毎週末除染に行ったとのことである。で、たとえば放射能汚染物は東京に持ち帰っているが、法律違反なのだそうである。
 
 最後は、

  「7万人の人が自宅を離れてさまよっている時に、国会は一体何をやっているのですか」

という訴えの言葉でしめくくられている。
 『週刊朝日』2011年8月19日号の記事でも訴えておられる。

  「どこの党が議員立法などで迅速に動くのか、国民は注視すべきです」(『週刊朝日』2011年8月19日号、132頁)。