(Jazzland 935S)
ジャズプレーヤーの中には複数の楽器をいとも簡単こなしてしまう輩がたくさんいますよね。ドルフィのようなマルチリードプレーヤーはみんな木管系楽器でこれはさほど珍しくはないと思います。ピアノとオルガンなんて組み合わせもベイシーなど多数です。ギターとハーモニカのシールマンスや今日の主役レス・スパンのようにギターとフルートなんていうのは全くタイプの違う楽器であり、結構異色かななんて思います。
レス・スパンはアーカンソーの出身の黒人プレーヤーだと思いますが,まずギターをメイン楽器として活躍し始め、テネシー州立大学在学中にフルートもマスターしてしまったと言う逸材です。彼のリーダー盤は少ないのですが,このジャズランド盤の存在は有名だろうと思います。サイドメンにジュリアス・ワトキンスのフレンチホルンを加えると言うリバーサイド系のお得意のメンバーですが,リズム陣は素晴らしくピアノにトミフラ,ベースにサム・ジョーンズ、ドラムはフルートセッションではアルバート・ヒース、ギターセッションではルイ・ヘイズというセットです。ワトキンスはフルートを意識した人選でしょうが,ギターとの共演は極めて異色かなと思います。どちらかと言えば,フルート重視の展開でA1の"Smile", A4の"It Might As Well Be Spring"などでは彼の美しいフルートプレイが聴かれます。ギターはオクターブ奏法を中心にシングルトーン,コードともバランスよく配されB1の"Stockholm Sweetnin'"で彼のギターの真骨頂が聴けます。短いですがトミフラのピアノも絶好調です。A2の"Con Alma"やB4の"There Is No Greater Love"のスパンのギターもいいですね。
小豆色のジャズランドセンターレーベルでのステレオ盤です。寡作プレーヤーなのでスパンを知るには必聴アルバムです。カバーのギルドのギター、欲しいなぁ!!!