Love Is A Many Splendored Thing/菅野邦彦
(Three Blind Mice tbm-2526)
(Three Blind Mice tbm-2526)
ウィリアム・ホールデン演ずる新聞記者とジェニファー・ジョーンズ演ずる英中混血の女医の不倫を描いた1955年の映画が慕情"Love Is A Many Splendored Thing"の主題歌です。慕情と言えば,香港です。映画で写ったビクトリアピークやレパルスベイなどツアーにも組み込まれているので,このロケ地を回られた方も多いと思います。映画よりもこの主題歌(アカデミー賞映画主題歌賞受賞)のほうが更に有名かも知れませんね。最も有名なのはフォーエイセズのデッカ盤らしいですがこれは聴いた事がありません。この曲のジャズインストバージョンでは何と言ってもブラウン/ローチのベイズンストリートと思います。個人的に大ファンである“スガチン”のこのTBM盤も忘れる事が出来ません。
この曲をアルバムタイトルとする菅野のこのアルバムは、1974年3月に当時日本のジャズシーンを牽引していたTBM社が主催した都市センターホールでのライブを収録したモノです。テリー・イソノのライナーノートによると5日間にわたり多くの邦人ジャズメンが登場したらしく、他にも素晴らしい演奏が残されています。(映像があれば見てみたい者です!)メンバーは菅野(p)、小林陽一(b)、高田光比古(ds),小川庸一(conga)の四重奏団です。A面冒頭に収録されたのがこの慕情です。菅野のピアノ弦を指ではじくイントロからコンガを交えたカルテットのスウィンギーなプレイが最高です。続く枯葉も好トラック。そしてWynton Kellyへのtributeとも言うべきブルース"Blues for Wynton Kelly"と続きます。菅野のスタイル自体はケリーよりもむしろエロル・ガーナーからの影響が顕著ですよね。菅野は内面的にもかなりセンシティブで精神的にもテリー・イソノが“ガラス細工”と評したようにスタジオでは凡プレーをしても、ライブでは神懸かり的なプレイをすると言います。そう言う意味でこの企画は名演を生むにふさわしいシチュエーションだったのでしょう。

何度か彼のライブは聴かせていただいており,聴衆とのやり取りも見事で内面的難しさにはあまり気付いてないのですが,やはり天才肌なのでしょうね!TBM盤で、ライブのときにいただいたサイン付きです。