Sarah Vaughan
(Emarcy MG36004, mercury reissue)
(Emarcy MG36004, mercury reissue)
"Sassy"の愛称とは別に、サラ・ボーンには"The Divine One"たるすばらしい愛称もありますね。彼女の卓越した,技巧,声量,声質などとトータルで見たシンガーとしての素晴らしさを表現した愛称で、ルーレット盤の中には同名タイトルのアルバムがありますよね。エラ,サラ,カーメンの黒人御三家はジャズボーカルの入門時にみなさん聴いておられると思います。この上に,黒人女性ボーカルの頂点にビリーがいるのでしょうが,入門当時には(今でもそうかも知れませんが)、恥ずかしながらビリーのあの声が苦手でボーカルとなるとこの3人や白人ものを聴いてた記憶があります。特にエマーシーの”ウィズ・クリフォード・ブラウン”はヘレン,ダイナとともにこのサラのアルバムも繰り返しターンテーブルに載せていました。 ”ウィズ・クリフォード・ブラウン”のタイトルは日本で付けられた物で、原盤タイトルは単にサラの名前だけを冠したもので、この名を冠したためにサラのアルバムの中でも最もジャズファンの各自のライブラリの中に存在率の高いアルバムとなっているのではないか?と想像いたします。
この時期の瑞々しい彼女の声をきくと、将来が約束された逸材であったことは容易に推測できますよね。説明は不要かも知れませんが,伴奏陣の素晴らしさも見逃せません。クリフォード・ブラウン,ポール・クィニシェット、ハービー・マン、ジミー・ジョーンズ,ジョー・ベンジャミン,ロイ・ヘインズのセクステットの演奏は屈指の歌伴のコンボ演奏と言えると思います。A-1の"Lullaby of Birdland", A-2の"April In Paris", B-2の"Embraceable You"、B-4の"September Song"はそれぞれの曲での屈指の名唱として知られていますよね。
所有盤は青マーキュリーラベルなのですが,入門当時に聴いていた国内盤に比べたらカバーの鮮明度が違います。オリジナルを一度手に取って聴いてみたいアルバムでもありますね。