67camper's Blog

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アストラッドの実力を示したギルとの共演

2007-03-12 03:40:22 | jazz & vocal
Look To The Rainbow/Astrud Gilberto
(Verve V6-8643)

 囁くような軟らかいアストラッドのボーカルは彼女の個性というより,ブラジリアンシンガーの象徴で既にアメリカでは相当な人気を博していた筈です。ゲッツとの共演は62-63年だったと思うのでそれから3年たち、66年クリード・テイラーはジャズ界の巨匠,重低音を駆使するビッグバンド,ギル・エヴァンスをぶつけてきました。一見ミスマッチとも思える組み合わせで異色のボッサアルバムに仕上がっていますが,当時のギルはマイルスやケニー・バレルなどジャズを代表するプレーヤーとのコラボで飛ぶ鳥をも落とす勢いであり、この共演で単なるボッサ歌手から一人のシンガーとして認められるようになったとも言えるのではないでしょうか?

 美しいボッサメロディに載せた彼女のボーカルは飾り気がなく,ナイーブで大好きですね。しかし, バーデン・パウエルのA-1Berimbouのようなアフロブラジリアンな曲調にも鋭い突っ込みをみせるアストラッドのボーカルは一皮むけた彼女の切れ味を感じる好唱ですね。"Felicidade"や"She's A Carioca"のボッサナンバーは言うに及ばずですし、シェルブールの雨傘の主題歌"I Will Wait For You"や元々ミュージカルナンバーのタイトル曲”Look To The Rainbow”のボッサタッチの歌唱もいいですよね。

 所有盤はVerve, MGMの溝ありステレオ盤です。淡い黄色のバックで微笑みかけるアストラッドがいいですね。