West Coast Vibes/Roy Ayers
(United Artists UAS6325)
幾度も自分の前に現れながら,スルッととおり抜けて入手できない盤というのが自分にはあるのですが皆さんどうでしょう。国内外のジャズレコード店やオークションにでて見かけてはいたのですが入札しては負け,リストで見つけて問い合わせをかけては"Sold Out"の返事を受け取り続けたアルバムである。思わぬ高値がついたりで諦めたこともありました。昨年,遂に入手したアルバムがこれです。今年度はインフルエンザ公休で始まりましたが,ジャズはこの”私的入手困難だった盤”ロイ・エアーズで行きましょう!
このアルバムの存在はSJ社74年臨時増刊”幻の名盤読本”で知っていました。勿論,聴いたことがなかったですが・・・。バイブ奏者の中では最もgeneration的には新しい部類に入ると思います。彼は1940年、LA生まれ。最初はギタープレーヤーだったと言います。ミルト・ジャクソンとカル・ジェイダーを聴いてバイブに転向したと語っています。そのデビュー盤が本アルバムです。メンバーはハードドライビングプレイで知られるCurtis Amy(ts, ss), 盟友Jack Wilson(p), Bill Plummer, Vic Gaskin(b), Tony Bazley, Kenny Dennis(ds)の四重奏団もしくは五重奏団で行われます。A-1のロイのオリジナルファンキーブルース"Sound and Sense"で彼の卓越した作曲の才能とテクニックに納得するでしょう。Amyのうねるテナー,スクエアなウィルソンのピアノも好ましいですね。続くマンシーニの”酒とバラの日々”もボッサタッチですきなトラックです。そしてもう一つの聞き物はB面冒頭の"Ricardo's Dilemma"です。オリジナルのワルツでここでもロイのソロは好調,Amyのソプラノも美しいです。他にもカルテットでやるパーカーの"Donna Lee"やモンクの"Well You Needn't"などプロデューサー/レナード・フェザーの手腕も光りますね。
アルバムはUnited Artistsのオリジナルステレオ盤と思います。カバーが素晴らしく、ブラウン系の落ち着いたバックにマレットを持って見上げるロイの表情がいいですね。