67camper's Blog

管理人67camperの空冷VW、北米輸入住宅、キャンプ、ジャズ、自転車、アコギ、カメラ、アメカジに関するログです。

慕情

2006-11-22 02:34:06 | jazz & vocal
Love Is A Many Splendored Thing/菅野邦彦
(Three Blind Mice tbm-2526)


 ウィリアム・ホールデン演ずる新聞記者とジェニファー・ジョーンズ演ずる英中混血の女医の不倫を描いた1955年の映画が慕情"Love Is A Many Splendored Thing"の主題歌です。慕情と言えば,香港です。映画で写ったビクトリアピークやレパルスベイなどツアーにも組み込まれているので,このロケ地を回られた方も多いと思います。映画よりもこの主題歌(アカデミー賞映画主題歌賞受賞)のほうが更に有名かも知れませんね。最も有名なのはフォーエイセズのデッカ盤らしいですがこれは聴いた事がありません。この曲のジャズインストバージョンでは何と言ってもブラウン/ローチのベイズンストリートと思います。個人的に大ファンである“スガチン”のこのTBM盤も忘れる事が出来ません。

 この曲をアルバムタイトルとする菅野のこのアルバムは、1974年3月に当時日本のジャズシーンを牽引していたTBM社が主催した都市センターホールでのライブを収録したモノです。テリー・イソノのライナーノートによると5日間にわたり多くの邦人ジャズメンが登場したらしく、他にも素晴らしい演奏が残されています。(映像があれば見てみたい者です!)メンバーは菅野(p)、小林陽一(b)、高田光比古(ds),小川庸一(conga)の四重奏団です。A面冒頭に収録されたのがこの慕情です。菅野のピアノ弦を指ではじくイントロからコンガを交えたカルテットのスウィンギーなプレイが最高です。続く枯葉も好トラック。そしてWynton Kellyへのtributeとも言うべきブルース"Blues for Wynton Kelly"と続きます。菅野のスタイル自体はケリーよりもむしろエロル・ガーナーからの影響が顕著ですよね。菅野は内面的にもかなりセンシティブで精神的にもテリー・イソノが“ガラス細工”と評したようにスタジオでは凡プレーをしても、ライブでは神懸かり的なプレイをすると言います。そう言う意味でこの企画は名演を生むにふさわしいシチュエーションだったのでしょう。



何度か彼のライブは聴かせていただいており,聴衆とのやり取りも見事で内面的難しさにはあまり気付いてないのですが,やはり天才肌なのでしょうね!TBM盤で、ライブのときにいただいたサイン付きです。

米国最高の女性ポピュラーシンガー

2006-11-21 06:12:15 | jazz & vocal
I'll See You in My Dreams/Doris Day
(Columbia CL6198)


 以前にアップしたアンドレ・プレヴィンとのデュオアルバムはジャズファンをも唸らせる好アルバムでありましたが、本来ドリスはダンサーを目指していたと言います。シンガーとして彼女の名前を確立したのは1944年のレス・ブラウン楽団でのSentimental Journeyだといわれています。その後独立し、映画にも多数出演しケセラセラの爆発的ヒットを生んだと言いいます。多くの日本人歌手も彼女の唄には影響を受けたと言われ,美空ひばりやペギー葉山もそんな歌手であったと言えると思います。ハスキーボイスとペーソス溢れる暖かい歌唱が大衆的にうけ、米国最高の女性ポピュラーシンガーの名を欲しいままにしたと言えると思います。

 本日アップのコロンビア10インチ盤はそのタイトルが,正確には収録曲"I'll See You in My Dreams"が、1960年代、NHKのバラエティ番組のタイトル“夢で逢いましょう”にも使用された事でも知られています。このTV番組は、ザ・ピーナッツ主演のシャボン玉ホリデーとならび今日のバラエティ番組の基礎となった歴史的TV番組なのだそうです。自分より一世代年輩の方々にはファンも多いのではないかと想像します。さて、このアルバム、ドリスは"Ain't We Got Fun"や"Makin' Whoopee!"でDanny Thomasとの楽しいデュオを聴かしてくれますし,"The One I Love", "My Buddy", そしてタイトル曲"I'll See You in My Dreams"での暖かいバラードシンギングも最高です!ポール・ウエストン楽団の伴奏も彼女とはベストマッチです。

 ”夢で逢いましょう”を絵に描いたらこんな感じかな?と思わせるカバーデザインもノスタルジックでいいですね。盤質良好の10インチ/モノです。

ゾウのお尻

2006-11-20 00:04:20 | jazz & vocal
"Get Those Elephants Out'a Here"/The Mitchells
(Metrojazz E1012)
 

 ゾウのおしりはでかくて動物園にいってもその巨大さは圧倒的ですよね。良い悪いは別として,このカバーとても印象的で一度見たらまず忘れる事はないと思います。The Mitchellsというのはここでの主役となるミッチェル兄弟のRedとWhiteyと、このセッションに参加したトランぺッター、ホレス・シルバー・バンドで活躍中のブルー・ミッチェルの3人に他なりません。ミッチェル兄弟に関しては,ともにベースブレーヤーでありますが,有名なのは兄のレッド(某吉祥寺のジャズおやじはその著書”辛口!JAZZ名盤1001”でWhiteyがRedの兄と書いておりますが、実際はRedが1927年生まれ,Whiteyが1932年生まれで、レッドが兄です!)の方です。ここではレッドの強靭なピチカートも勿論聴けますが,セカンドインストルメントのピアノまで披露してくれています。これ以外のパーソネルはペッパー・アダムスのバリトン,フランク・リハックのボントロ、フランキ-・ダンロップのドラム、そしてゲスト参加のアンドレ・プレヴィンのピアノです。  

 演奏は何と言ってもA面ですね。A-1のタイトル曲でのアダムスのバリトン,その硬質なサウンドに思わずニンマリです。ステレオ盤だとレッドが左チャンネル,ホワイティが右チャンネルから出るようですが、所有盤はモノラル盤で今一つ駄耳の自分には聞き分けが難しいですね。続く"My One And Only Love"ではレッドのベースがフィーチャーされます。ブルー・ミッチェルのバラードプレイもブリリアントです。次いでシナトラで有名な"In The Wee Small Hours Of The Morning"ではレッドのピアノにスポットが当たります。そしてベイシー風のAラスの"Moten Swing"ではブラウニーばりのブルー・ミッチェルのトランペットがきかれ、このトラックが最も聴きごたえがありますね。B面はすべてレッドとホワイティのオリジナル構成です。  

 メトロジャズはこう言った企画モノの好盤が多いですが、このアルバムも強烈なカバーとともに印象に残るアルバムだと思います。オリジナルモノラル盤です。

渦巻き状のロゴカバー

2006-11-19 02:39:02 | jazz & vocal
Sylvia Syms Sings/Sylvia Syms
(Atlantic 1243)


 先日アップしたクリス・コナーの2枚をはじめ、ベツレヘムにはBurt Goldblatt名義の美しいカバーをもったアルバムが多いんのは良く知られています。彼の素晴らしいフォトはアルバムの価値を高める一つの大きな要素になっていると思いますが皆さんどうでしょう?アトランティックにもあるんですよ。少し意外に思えるかも知れませんが,このロゴを主体としたカバーで有名なシルビア・シムスの初LPがGoldblattによるモノなのです。シムスのアルバムは以前にケニー・バレルと共演したボッサタッチのプレステッジ盤"Sylvia Is!"についで2枚目のアップとなります。この渦巻き状のロゴだけを利用したカバー,センス抜群ですよね~!!!

 歌唱も素晴らしく,シルビア自身がベストの一枚と評したとか?元々,10インチ盤(これまたカバーが素晴らしい!まだ本物にお目にかかった事がないですが・・・)のバーバラ・キャロル・トリオをバックに付けた演奏分にジョニー・リチャーズ編曲のビッグコンボをバックにした演奏4曲をカップリングしたアルバムです。後者ではアル・コーン(ts)やカイ・ウィンディング(tb)、ドン・エリオット(vib, mellophone)の演奏も聴けるのがインストファンにも興味あるところだと思います。ボーカルに関してはバーバラ・キャロル・トリオがバックを務める8曲の歌唱がバラード中心で素晴らしく,しわがれ声のシムスが聴かれるジョニー・リチャーズ編曲分を遥かに凌駕しています。A面の"imagination", "Can't You Just See Yourself"、"Comes Love"も良いですし、B面のVernon Dukeの"What Is There to Say"に見られる説得力ある歌唱はまさにこのアルバムのハイライトと言える出来と思います。

 見つけたら買いの好アルバムですよ。アトランティックのモノラルオリジナルです。やや録音レベルが低めな気もしますが,彼女の魅力を最大限に伝えるジャズボーカルの名盤と思います。

奇才

2006-11-18 02:12:58 | jazz & vocal
Monk's Music/Thelonious Monk
(Riverside RLP12-9242)

 MONKのピアノは最初どうもなじめなかったです。不協和音?のように聴こえる音色と意表をつくフレーズはどうも苦手でした。彼のピアノはソロでは、以外にもストレートにテーマを弾いたりで聴きやすい印象があり,最初はボーグのソロアルバムやリバーサイドのケーブルカーのモンク,コロンビアのソロモンクを愛聴していたモノです。ところが共演者にジャズジャイアントを迎えたアルバムでは途端に彼のソロはよりユニークになり喧嘩セッションの様相を呈して来る感じがします。マイルスとの共演もそうだったし本日アップのこのMonk's Musicでもその印象がどうも拭えないですね。オーソドックスな他のプレーヤーとのコントラストでそういう風に聴こえているだけなのかも知れません。でも実際は本人はソロだろうが,レギュラーコンボだろうが、こう言った有名どころとのセッションでも同じ心境,同じスタンスで弾いていたのではとも推測できます。あの風貌,トレードマークの帽子、そして演奏スタイル,奇才の名前を欲しいままにしているMONKはやっぱりすごいんですね。

 さて、皆さんご存知のこのアルバム。Abide with Meの荘厳なメロディから,一転してモンクがユニークなイントロを弾きだす"Well, You Needn't"が出てくるくだりが素晴らしく唸ってしまいます。モンクに続いて出るコルトレーンもタイトないつものトレーン節で嬉しくなります。コープランドのソロに続くブレイキー。パウエルにはローチでしょうが、やっぱりモンクにはブレイキーですよね。ベストマッチです。B面の"Off Minor"でもMonkのとんがったピアノは健在でここではホークのソロも聴かれます。ホークは40年代にモンクと52丁目で共演歴がありこのセッションはリユニオンとなります。続くEpistrophyもモンクの重要なレパートリーですが,ここでもコルトレーンの圧倒的なソロを聴く事ができます。各人がソロを回すブローイング風の演奏ですね。

 MONKは個性が光るモダンジャズの中でも奇才と言われるプレイヤーでファンも多いですよね。自分などがあーだこーだ言えないようオーラを感じてしまいます。違和感は聴いていくにつれうすれていき、特にこのアルバムは好きな一枚ですね。ラジオフライヤーに乗ったモンクの姿を捉えたカバーも大好きです。リバーサイドのブラックマイクアンドリールのステレオ盤です。

”ジャケ見送り”は禁物!

2006-11-17 05:27:57 | jazz & vocal
Like Soul/Gloria Smyth
(World Pacific WP-1293)


 こう言うボーカルはジャケットを見たら日本人は購入を見送るアルバムだとどこかで読んだ記憶があります。さにあらずです!!!ショップで見かけたら,取り出してバックカバーを見て欲しい。ジャズに見識のある者なら,なんじゃこのメンバーは!と思うに違いないです。そう,絶対”買い”のアルバムだと思いますよ。スミスのボイスはややしわかれ声にも聴こえますが,アップテンポではスウィンギーに、バラードでは深い表現力がすばらしく、レンジの広いボーカルを聴かしてくれます。そしてバッキングメンバー。よくぞこれほど自分好みのメンバーを揃えたなと思うような人選です。ピアノから言うと、Les McCann, Terry Trotter, Joe Castro, Ronnie Ballの4人でどうも彼らを中心とした4つのセットがバッキングしています。フロントにはDon Sleet(tp), Teddy Edwards, daniel Jackson(ts)の起用が効果的です。ベースのLeRoy Vinnegar, Ben Tucker, Herbie Lewis, ドラムのRon Jefferson, Lenny McBrowne, Billy Higginsなどという人選も渋いですよね。

 A-1の"Running Wild"から彼女のハスキーでワイルドなボーカルが現れます。Don Sleetのトランペットが好調です。A-3のRonnie Ballのintroに導かれて始まる"Sittin' And Sighin'”ではTeddty Edwardsのサブトーンを生かしたソロが聴きものです。A-5の"Motherless Child"はTerry Trotter(p)とHerbie Lewis(b)をバックに従えたスピリチュアルな歌唱が印象的です。B面の"Gee Baby Ain't I Good To You"や"Time After time"でのスローナンバーでの表現力はすばらしい。またラストの"It Don't Me A Thing"でのアップテンポのノリも最高でDaniel Jacksonのテナーソロもタイトな音色で唸ってしまいます。

 “ジャケ見送り”をしては行けない代表アルバムかも知れませんね。World Pacificのブラックレーベル,シルバーロゴのモノラル盤です。インストファンもぜひ聴いてみたいアルバムだと思います!

久々に聴くOPのレギュラートリオ

2006-11-16 03:33:19 | jazz & vocal
Oscar Peterson Plays Porgy And Bess/Oscar Peterson
(Verve MGV8340)


 幾多の名演を繰り広げたOPレギュラートリオと言えば,Peterson(p), Ray Brown(b), Ed Thigpen(ds)の3人で構成されるトリオです。個人的には前にもログで取り上げた"please requests"は最もターンテーブルにあがるアルバムでもあります。他にもロンドンハウスのライブやら録音も多く,皆さんそれぞれこのトリオのアルバムには思い入れがあるアルバムがあるのではと想像いたします。

 今日は,このトリオのミュージカルもの(正確にはオペラもの)の中から,OP trioの"OP Plays Porgy And Bess"をアップします。こう言った趣向のモノでは他にも"My Fair Lady"もありますが,国内盤アナログが出た記憶のないこのアルバムを聴いてみたいと思います。音量豊かなRayのピチカートで始まるA-1の"I Got Plenty O' Nuttin'でもうニンマリしてしまいます。Summertimeのスウィンギーな演奏も好しいですよね。続く"Strawberry Woman"もレイのピチカートがテーマから炸裂します。B面の魅惑的テーマの"It Ain't Necessarily So"や続く"There's A Boat Dat's Leavin' Soon For New York"の演奏もスウィンギーなOPのピアノが楽しめるトラックと思います。

 ご存知DSMカバーです。Art DirectorはMerle Shoreという黄金のコンビです。やはりDSMのイラストは趣きがあります。Merle ShoreはOPの作曲家シリーズも担当していますよね。Verveのトランぺッターレーベルでモノ盤です。

珠玉の2枚!!!

2006-11-15 04:36:49 | jazz & vocal
Sings Lullabys of Birdland/Chris Connor
(Bethlehem BCP1001)

 自分のボーカルレコードの中でも、屈指のコンディション、コレクションの白眉ともいうべきクリス・コナーのベツレヘムの10インチ,オリジナル盤の2枚です。Burt Goldblattの比類なき美しさはご存知の方,あるいは既に所有しているぞなんて方も多いのかも知れません。内容も素晴らしいです!!!  

 まずBCP1001の"Sings Lullabys of Birdland"です。伴奏はEllis Larkins(p), Everette Barksdale(g), Beverly Peer(b)のオールドタイプのピアノトリオです。彼女のハスキーなvoiceは深みがあり、A-1"I Hear Music", "Come Back To Sorrento"のスウィンギンなボーカルは聴きごたえ充分です。B面の通常よりややテンポを落としてウォームな声でせまるタイトルチューンの"Lullaby of Birdland"の素晴らしさは筆舌に尽くし難いです。つづく"Try A Little Tenderness", "Spring is Here"も好トラックですね。BEAUTIFUL!!!


Sings Lullabys For Lovers/Chris Connor
(Bethlehem BCP1002)

 続いてBCP1002の"Sings Lullabys For Lovers"。伴奏は1001に勝るとも劣らない好バッキングです。ベースのVinnie Burk Quartet【Ronnie Oldrich(cl, fl), Joe Cinderella(g), Don Burns(accordion)】にArt Madigan(ds)を加えた5重奏団です。A面の"Lush LIfe", "Out Of This World", "Cottage For Sale", そして単に"How Long?"と記載されている"~Has This Been Going On"と選曲も抜群です。B面も"Goodbye"のイマジネイティブなボーカルに始まり、スウィンギーな"Stella by Starlight"のバックの演奏,とくにOldrichの艶のあるクラリネットやジョー・ムーニーを思わせるアコーディオンがベストマッチで気持ちいいですよ。 SPLENDID!!!  

 それにしてもこのカバー、そして絶妙のマッチングを見せるクリスのハスキーなボーカル!これ以上完璧なアルバムはそうあるモノではないですよね!珠玉の2枚と言ったところです。

Basie-ites on SAVOY

2006-11-14 00:01:46 | jazz & vocal
North South East...Wess/Frank Wess
(Savoy MG12072)


 カバー右下のパーソネルを見て欲しい!少しフォーカスが甘く見にくいかもしれないがFrank Wess(ts, fl), Frank Foster(ts), Henry Coker(tb), Benny Powell(tb), Kenny Burrell(g), Eddie Jones(b), Kenny Clarke(ds)のセプテットです。バレルとクラークを除けば、後の5人はすべてベイシー楽団経験者、即ちBasie-itesと言うことになるのはこのブログを訪問してくれる方には,当たり前田のクラッカーという感じでしょう。リーダーのWessの姓に関係づけたタイトルも生かしています。ウェスはジャズシーンに最初にフルートを持ち込んだマルチリード奏者でここでもテナーとフルート両刀使いで聴かせてくれます。またベイシー楽団ではアレンジを担当し、ここで共演するフォスターとともにベイシーサウンドを陰で支えたプレーヤーです。  

 演奏は、もう勝手知ったるプレイヤーばかりでテナー2本とボントロ2本によるアンサンブルにつづいて出てくる各人のソロは安心して聴けるリラックスしたプレイで二重丸ですよね。ピアノレスですが、却ってファンキーさがました印象でバレルがこの雰囲気に充分にとけ込んでピアノパートをカバーしているプレイを聴かせます。RVG録音でジョーンズのベースがタイトに録音されていていいですね。曲はすべてオリジナルですが、ウェスとフォスターが交互にアレンジする格好ですすんでいきます。B-1の"Hard Sock Dance"は全員がソロを順番に回していき、バレルの好プレイも聴け、ベストトラックと思います。

 SAVOYのレッドレーベル,シルバーロゴのオリジナルモノ盤でRVGの録音で厚いアンサンブルと各人のソロがビビッドに捉えられているアルバムと思います。

サックス・フィフス・アベニューが生んだシンガー、パット・ボウィ

2006-11-13 01:10:49 | jazz & vocal
Out of Sight!/Pat Bowie
(Prestige 7385)


 NYC五番街は名だたる名店が軒を連ねる全米、いや世界を代表する大通りです。日本からもたくさんの観光客が訪れますので、行った事あるよ!なんて方も多いと思います。ロックフェラーセンターの向かいにあるのが高級デパートのサックス・フィフス・アベニューです。ここのベビーウェアのセクションに配属になったことから彼女の歌手生活はスタートします。最初はこのサックス雇用者のために唄っていたのですが、ここを辞し全米各地で唄うようになり、NYCの"Algiers"に出演中にプレステッジに見いだされデビューの運びとなった訳です。そのデビューアルバムがこのOut of Sight!です。  

 プレステッジが肝いりでデビューさせた事がよくわかるメンバー構成ですね。セルダン・パウエルのテナー,フルート,レイ・ブライアントのピアノ,ケニー・バレルのギター,ミルト・ヒントンのベース,オシー・ジョンソンのドラムスという素晴らしいメンバーです。この五重奏団の演奏だけでも興味ありますよね。問題のボウィは影響されたシンガーとしてリナ・ホーン,ビリー・ホリディ、バーバラ・ストライサンド、エディット・ピアフを挙げています。良くのびる声でなかなかにソウルフルでシュリッテンが興味を示したのも頷けますね。B面がとくに気に入りで、ラテンタッチの"What Is this Thing Called Love"やセルダンのフルートが活躍する"I'm Afraid The Masquerade Is Over”など好トラックが続きます。全編を通じバレルのブルージーなプレイも聴け,バレルファンも気になるアルバムだと思います。

 コーティングの効いたカラフルなカバーも魅力的です。プレステッジ,ブルートライデントのステレオ盤です。