本試験の論文試験は、予備試験と実施目的が異なるため、出題範囲に偏りがあるのは事実です。これは本試験で試そうとしている能力を見るのに最適な素材が限られているという面があるからです(但し、初期の頃に比べるとやや変化があるとは言えますが)。
しかし、受験生的にはそのような出題の偏りに普段の勉強から流されてはいけません。試験に「絶対」という言葉はないので、想定外の「揺さぶり」はありうるからです。
L1.L2段階で、ある程度満遍なく知識を身に付けることは必要不可欠です。特に「論文問題を解くという形」でも、ある程度の「網羅性」を持つようにしたいところです。知識はあっても処理手順やら検討の仕方が分からない、ということが無いようにするためです。以前、政教分離が出たときに、「人権問題以外解いたことがない」、「政教分離の検討の仕方が分からない」と言う受験生がそれなりにいて驚いたことがありますが、似たようなことになっているのかもしれませんね。
最近の予備校の論文講座は何故だか扱う問題数が削減傾向にあります。そのため「論文問題における網羅性」に脆弱性が出てきているのかもしれません。私が受講していた頃は(随分前ですが)、オリジナル問題も含め民法なら120問以上、他の科目でも70~80題くらい扱っていた記憶があります。これにプラスして答練を半年間にわたり毎週受けているので、論文問題を解くと言う経験値は高かったと思います。
旧司法試験の問題も、「平成以降をやれば十分」という言い方をする人が増えましたが、民法、刑法なんかは、昭和40年代・50年代の問題でも学ぶべき点の多い良問が多いので勿体ないんですけどね。意外に解けないんじゃないかなぁ。
今年の民訴が手強いと感じた人は、旧司法試験の問題を多く解くといいと思いますよ。