最高裁国民審査に関連したvideonews.comの3つの記事(http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002613.php、http://www.videonews.com/interviews/001999/002619.php、http://www.videonews.com/interviews/001999/002618.php)。
衆院選は憲法改正・経済問題などが前面に・・・信じ難い。さらに、衆院選で忘れ去られていたこと、沖縄問題と最高裁国民審査。最高裁国民審査については、何も考えずに全員を×にしてしまいましたが、もう少し誰を×にすべきかを考えた方がよかったかも。
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【http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002613.php】
ニュース・コメンタリー (2012年12月14日)
最高裁国民審査特集
最高裁を裁く
総選挙と同時に行われる最高裁判所裁判官国民審査。街の掲示板に審査の対象となる裁判官の顔写真入りポスターが貼り出されないのが残念だが、それでも今回もマル激は前回、前々回に続き、最高裁国民審査特集をお届けする。
今回の審査は、足利冤罪事件、布川冤罪事件、村木厚子さん事件(郵便不正事件)での証拠改竄事件、小沢一郎氏の政治資金をめぐる検察審査会への検事調書捏造事件、ゴビンダ・マイナリさん冤罪事件(東電OL殺人事件)、遠隔操作ウィルス誤認逮捕並びに自白強要事件等々、数え上げたらキリががないほどの冤罪、誤認逮捕、自白強要、証拠捏造などの検察・警察不祥事のオンパレードを受けた国民審査となる。
また現在の最高裁は前回の衆院選挙と参院選挙でそれぞれ2.3倍、5倍を超える一票の格差があったことに対して、「違憲状態」どまりの判決しか下せていない。違憲状態というのは、このままではダメだという意思表示ではあるが、あくまで合憲判断を下したことにかわりはない。もし前回の判決で「違憲状態」判決ではなく「違憲」判決を下していたら、今回一票に最大で2.4倍もの差を抱えたままの選挙はあり得なかった。その意味でも最高裁の責任は重い。
冤罪や誤認逮捕などで検察・警察に批判が集中するのは当然だが、その大前提となっている人質司法を可能にする強引な逮捕と23日間にも及ぶ起訴前拘留を可能しているのは、他でもない裁判官による逮捕・拘留令状だ。また、明らかに強要が疑われる自白や供述でも、裁判所はその任意性を疑うことなく、容赦なく有罪判決を出してきたことが、一連の再審・冤罪事件で明らかになっている。
その意味で司法改革が今回の選挙の争点になっていないのが不思議であると同時に、いかに政治が司法に対して弱腰であるかを如実に表しているとも言える。
いずれにしても、今回は国民がその司法制度の頂点に君臨する最高裁の裁判官15人のうち、前回の国民審査以降に任官した10人に審判を突きつける番だ。
今回は一票の格差判決の他にも、原発差し止め訴訟、君が代起立拒否訴訟、沖縄集団自殺訴訟、ウィニー著作権法違反訴訟、僕パパ秘密漏洩事件、光市母子殺害事件、児童ポルノリンク事件、佐藤栄佐久前福島県知事汚職事件等々、前回の審査からこの3年あまりで最高裁は日本の民主主義の根幹に関わる重要な判決を山ほど下している。
今回の特集Nコメでは、独断で過去3年間の間の10の最高裁判決を選び出し、それぞれの判決についてどの裁判官がどのような判断を下したのか、またどのような意見を表明していたかを、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が徹底検証してみた。
総選挙と同じくらい、いや場合によってはそれ以上に重要かもしれない最高裁裁判官国民審査に、少しでも有権者の意志を反映させるための一助となれば幸いである。
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インタビューズ (2012年12月15日)
司法官僚の専断を許してはならない
インタビュー:新藤宗幸氏(千葉大学名誉教授)
相次ぐ冤罪事件に誤認逮捕、はたまた証拠の捏造や改竄などなど、刑事司法のあり方が根本から問われる中、法の番人を務める最高裁は相変わらず一票の格差や原発訴訟に腰が引けたかのような判決を出し続けている。
そもそも一連の冤罪事件は警察や検察の捜査にも問題があったが、その捜査に令状を出し、その結果提出された証拠や供述を有効と判断して有罪判決を下してきたのは、裁判所に他ならない。民主主義の最後の砦たる裁判所が機能していないことは、民主主義そのものが機能していないに等しい。
なぜ日本の司法は機能しないのか。
著書『司法官僚』の著者で千葉大学名誉教授の新藤宗幸氏は、日本の司法が機能しない一因として、本来は独立しているはずの裁判官ではなく、その背後にいる「司法官僚」が実際には日本の司法を牛耳っているために、官僚的な判断が当たり前のように下されてしまうと説明する。司法官僚は裁判所機構全体の予算と人事権も握り、しかも裁判所には行政のような情報公開義務がないため、その実態が白日の下に晒されることもなく続いてしまっているというのだ。
一票の格差は言うに及ばず、日本が民主主義を取り戻すためには、司法官僚から裁判所を市民の手に取り戻さなければならない。そして、そのためには裁判所の情報公開とメディアの努力、政治の覚悟、市民の自覚などが不可欠になると新藤氏は言う。
プロフィール
新藤 宗幸しんどう むねゆき
(千葉大学名誉教授)
1946年神奈川県生まれ。中央大学経済学部卒業。1972年中央大学大学院法学研究科修士課程修了。専修大学法学部助教授、立教大学法学部教授、シェフィールド大学客員教授、千葉大学法経学部教授などを経て2011年より現職。公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所常務理事を兼務。著書に『司法よ!おまえにも罪がある─原発訴訟と官僚裁判官』、 『司法官僚 裁判所の権力者たち』、『政治主導官僚制を問いなおす』、『選挙しかない政治家・選挙もしない国民』など。
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インタビューズ (2012年12月15日)
最高裁にも変化の兆しが
インタビュー:長嶺超輝氏(司法ライター)
最高裁についてよく指摘される問題点の一つが、最高裁の裁判官はその出自別に枠が固定され、体制派の裁判官や検察出身者が過半数を占めるため、最高裁の判決は常に政府寄りになるといった批判だ。
実際、現在も最高裁の裁判官は15人の裁判官のうち裁判官出身者が6名、検察出身が2名、官僚・外交官出身が2名、学会出身が1名となっており、弁護士出身者は4人しかいない。早い話が15人中10人が公務員出身だ。これまで一般的には弁護士出身者は国権よりも民権を重視し、疑わしきは被告人の利益にとなるポジションを取ると言われるが、それがこうまで少数派では、最高裁の判決の大勢に影響を及ぼすことはできない。
しかし、最高裁を取材してきた司法ライターの長嶺超輝さんは、最高裁にも変化の兆しがあり、裁判官出身者の中にも民権や人権の重視する裁判官が現れる一方で、弁護士出身でも従来よりより国権重視の裁判官が出るようになっていると言う。
例えば、児童ポルノ画像へのリンクを貼っただけで、公然わいせつの「正犯」として有罪になった裁判では、裁判官出身の寺田逸郎判事が「正犯にあたらず」との立場を示している。
しかし、その一方で、たとえば衆議院の一票の格差裁判で2.3倍の格差を「違憲状態」とした判決では、15人の裁判官のうち2人の弁護士出身者は明確に「違憲」を主張しているが、弁護士出身の山浦善樹、田原睦夫裁判官は「違憲状態」の多数意見に賛同している。違憲状態というのは、このままでは違憲になりますよという警告的な意味はあるが、判断としては「合憲」を意味している。
長嶺氏に最高裁の現状と課題を聞いた。
プロフィール
長嶺 超輝ながみね まさき
(司法ライター)
1975年長崎県生まれ。98年九州大学法学部卒業。司法試験浪人を経て04年より現職。著書に『裁判官の爆笑お言葉集』、『サイコーですか?最高裁』など。
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