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今宵も,Young man Luther p.220のブランクの後から。
私どもは、自我、本能の衝動、良心にある3つの時空すべてを生きています。どの時空を強調するのかは,人によって違います。私どもは,本能の衝動に駆られることもあれば、良心の呵責を覚えることもあるでしょ。でもね、いつでも、自我の時空を一番大事にして何とか生きようとするものです。スピリット、,剣,お金といった、全体主義的ないろんな力によって,「世の中,そんなもんだよ」,「世間は,あまいもんじゃない」だとかなんとか,いわれてもね。どの時代にも、自分が確かにすることもできない、どう生きるのがいいのかも分からない,時代の空白期がありますよ。どんなにいい世の中でも,極端に,何か衝動に駆り立てられたりすることだって,極端に「それはだめっ」と禁じられたりする緊張や熱狂があるもんです。人は自分の時代を完全に生き切ることなどできませんが、その時代の外で生きることもできません。時には、自分を確かにする道が、その時代の多くの人が信じているヴィジョンに沿っている場合もあります。でもね,その時代の多くの人が信じているヴィジョンと闘わなければ,自分が確かにされない場合だってありますでしょ。しかし,マルティンみたいに,圧倒的な悪い良心が,ルターの感性の強さと権力志向と結びついた時こそ,一新された良い良心が誕生し,人々が腑に落ちるくらい納得できるヴィジョンが生まれる種を撒き,歴史的変革の道を作ることになるものです。
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ルターの初期の聖書の話を研究すると解るのは,ルターが深~い強迫的な心の中の戦いから,自分が癒されるときに,宗教的で内省的な手段を用いて,今ここで心から自由な勝利にとって根源的な原理をいくつか示していたことがわかります。ルターが,『新約聖書』の聖パウロさんの手紙「ローマ人への手紙」の話の準備ノートの中で,大学教授並み(訳注:日本の大学教員は,偽物が多い,エリクソンの翻訳を見れば,それが少しは分かります)の完璧度と,ドグマに取りつかれた人みたいにハッキリとしてきて,次のように言ったんですよ。「内省を成し遂げれば,謙遜を成し遂げたことになります。謙遜を成し遂げれば,神様を知り尽くしたことになります。神様を知り尽くせば,スピリットをいまここで実現することになります」と。同時にルターが、神の性質を(訳注:怒りの神から恵みの神へと)変えることによって、あの激怒がもたらすいろんな傷の治療を,完了の有終の美で,飾ります。つまり,上機嫌と不機嫌の間を大揺れに揺れて、幼い子どもにとっては理解できなかった,この世の父親みたいになるのではなくて,神様が,ira misericordiae ,ラテン語で「激しく怒るけど、気前が良い」,激しい怒りも,本当は,神様が苦しみを共にして下さる心からの優しさの神へと,神の性質が変わりました。ルターは、父なる神様が「共に苦しんでくださる心から優しい恵みの神」と理解できたので,ルターはついに,神様が自分の「父なる神様」になることを許すことができましたし,神様を「正義の神様」と認めることができました。
キリスト教の教義や神様のことが書いてありますでしょ。エリクソンはそのことを言いたいのではありません。
神様は,人間の良心にとって,欠かせない存在です。神様のことを書きながら,エリクソンは良心の課題をここで明確にしているんです。ほとんどの心の病は,悪い良心から(悪い両親ではない点にご注意あれ)生み出されますでしょ。牢獄のような,質の悪い仕事を止められないニッポン人も,悪い良心の虜です。
ですから,ルターの宗教改革は,悪い良心からの自由を,良い良心に生かされる,圧倒的で静かな歓びを,人類にプレゼントしてくれているものだ,とエリクソンは教えています。
いまの不信と激怒に満ちたニッポン人に不可欠なこと,それは,良い良心に生かされる,圧倒的で静かな歓びではないですか?