脳脊髄液減少症患者のつぶやき、「とりあえず、生きてみよか・・・。」

過去から現在へ、脳脊髄液減少症、体験克服記。

はしるロボット

2006年11月11日 | ブラッドパッチ後の変化
今日は雨で公園には行きませんでした。
土日は人に会いそうで、もともと行ったことはないのですが
きょうはなぜか行きたい気分だったので残念です。

でも、昨日はいい天気だったので、
朝のうちに公園に行き一周半くらい歩いて帰ってきました。
リハビリ公園散歩16回目です。

先日、テレビの「きょうの健康」の再放送で
高齢者のウォーキングについて放送しているのを見ました。http://www.nhk.or.jp/kenkotoday/2001/20061101/index.html
高齢者でなくても、
「脳脊髄液減少症」のリハビリにも当てはまりそうです。

ウォーキングのコツは「楽しく快適に」だそうで
・腕を大きく振る。(上半身も運動するため)
・つま先を上げる。(転倒しないため)
・平らな場所を選ぶ。
・天気が悪い時、体調の悪い時は休む。

というもので、なるほどと思いました。
さっそくきのう実行してみました。
すごく上半身に効きます。

先日悪化以来、はじめて少しだけ走ってみた私でしたが、

実は
私に「走りたい」という気持を最初に起こさせたのは
ずっと片思いで心に住み着いていた
走るロボット、「ASIMO」くんです。
(ロボットには片思いできる私。

テレビのCMで偶然見かけた「走るASIMOくん」。
インターネットでいろいろな映像を見つけては
走る映像を何回も見ていました。

走る願望が、映像になっていたからでしょうか?
何回見ても、不思議に飽きません。

元気で健康に恵まれ、スポーツしている人間の姿は
自分がみじめに感じてしまい、
今年の冬季オリンピックでさえも
つらくて見ていられなかった私です。

これが人間のランナーの映像では、
まったく心惹かれなかったと思います。

むしろ、つらくて目をそむけたでしょう。

しかし、ロボットの走りは、なぜか私を惹きつけました。

「ロボットが走れるのだから、人間の私に走れないはずがない!。」と
勇気づけられ、やる気がでました。

ひとりぼっちで、
体が苦しくて、耐えられなくなりそうで
もう、歩けないんじゃないか、
走れないんじゃないか、と落ち込んだ時、

何度も、何度も、ほほえましいASIMOの走りを見て、
勇気づけられ、心なぐさめられてきました。

夏のころは、まだ、散歩もはじめていなかったし、
パソコンの前に長く座っていられず、
もちろん自力で外出もできず、
にこもりきりの状態でした。

でも、映像をなんども見るうちに
自分も「ASIMOのように、いつかきっと走れる。」
そう、思い始め、
「きっとできる。」と自分に言い聞かせて、
映像を見ながら、何度もイメージトレーニングしてきました。

時々、家の中で足踏みをして
ASIMOの走りの、まねをしてみたりもしました。

その思いが、
公園で走っている人たちを見続けているうちに
だんだんと高まってきました。

そしてついに、あの日、頂点に達したのです。

公園に行くと、いつも、何人かの走る人と出会います。
あの日も
私を、白髪の高齢の男性が、走って追い抜いていきました。
ちょっとくやしい気持ちでした。

そして杖がとれて間もないのに、
その人を追いかけたいという衝動にかられました。

じっとこらえて歩いていたのですが、しばらく行くと
広い芝生の上を、1人で気持ちよさそうに走る人に出会いました。

そしてついに、走りたい気持ちが頂点に達し、
その人と反対方向でしたが
数ヶ月間イメージトレーニングしてきた「ASIMO走り」を
実行しました

ASIMOと同じ体勢で、同じくらいの時間と距離を走ってみました。
念願の「ASIMO走り」をわずかですが実現できました。
(今冷静に考えると、100メートルは走っていないようです。
100メートル走った気分になっただけで、数十メートルかもしれません。)

昨日の2回目の走りは
走って、歩いて、走って、歩いてと何回か多めにやってみました。

ASIMOの走り方は、
ゆっくり腰を落として、手を構えてから
「走るぞ」って気合いを入れたようにしてから
ラン、ラン、ランという感じで楽しそうに走ります。

まるで感情があって、
走ることを楽しんでいるかのようです。

技術者にとって、
ロボットを走らせることは、並大抵の苦労ではなかったことでしょう。

ロボットを立たせることや、
転倒させずに安定して歩かせるだけでも、バランスが大変なのに、
走らせるなんてすごいと思いました。

映像を何度見ても感動しました。

しかも、あんなに、ほほえましい、かわいい走り・・・

おねえ走りでも、
マラソンランナー風の力強い走りでもなく、

本当に楽しそうに、
まるで小学生が、ランドセルしょって走っているみたいに
タン、タン、タン、ラン、ラン、ランという走り方。

じっと見ていると、ついつられて走りたくなります。

人間の走り方を、まねしたはずのASIMOの走りが
逆に、私の「走りたい」という気持ちを引き出し
私のリハビリのお手本となりました。

ASIMOを創った方がたは、
ASIMOの走る姿が、まさか、
「歩けない、はしれない状態の人間に、
勇気や希望を与え、やる気を引き出す効果」があるとは
気づいてないかもしれません。

ASIMOをもっともっと
事故や病気で、歩けず走れず絶望している人に、
ぜひ見せてあげてほしいです。

きっと私と同じように
「ロボットにできるのだから、私にもきっとできるはず。」とか
 「ロボットを作った人々のような力が、私にもきっとあるはず。」と思い、
勇気と希望がわくかもしれません。

それにしても、人間ってすごいです。
走るロボットをつくったこともすごいですが
普通に走る人間が「すごい」と感じます。

手の動きと足の動きの調和、体の重心の移動、
一瞬、空中に浮く体
倒れないバランス、体の微妙なひねり
これらがすべてに調和されて、初めて、歩き、走ることができる。

ロボットには難しい走りを
健康な人間は、いとも簡単にやってのける。

本当に人間の脳や体はよくできていると思います。
動物も走りますから、
当たり前のことですが・・・・改めて感心します。

ロボットが走るという技術は、歩く以上に難しいから、
ASIMOも、歩きから走りに進歩するのは、
私のリハビリ以上に、本当に大変だったと思います。

技術者の苦労話を、ドキュメンタリーのような番組で
ぜひ、もっと詳しく知りたい思いです。

私に「走りたい。」という気持ちをくれたASIMOくん。
交通事故で痛めた足と、脳脊髄液減少症のダブルパンチで
立てず、歩けず、車椅子だった私が
やっと少しだけ、君の真似して走れたよ

走るといっても、体調のいい日の
起きて数時間以内の午前中の、
1時間弱の散歩のうちの、数秒のわずかな時間です。

午後や夜は、
今でも苦しくなって、横になることの多い私です。

でも、走れたことで、また意欲も沸きました。
孤独なリハビリは大変ですが、
少しづつ、前に進んで行きたいと思います。

いつか、ASIMOのようなロボットが
孤独なリハビリ散歩に、一緒に付き合ってくれる日がきたらいいなぁ。

走る勇気と、やる気をくれたASIMOくん、
そして、ASIMOを創ってくれた、技術者のみなさん、

ありがとう


http://world.honda.com/ThePowerofDreams/run/mov-run-60.html

http://www.honda.co.jp/HDTV/ASIMO/cm-circle/

http://www.honda.co.jp/ASIMO/kids/story/index.html



コメント (22)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする