脳脊髄液減少症患者のつぶやき、「とりあえず、生きてみよか・・・。」

過去から現在へ、脳脊髄液減少症、体験克服記。

除斥期間 改正の時 

2009年05月09日 | つぶやき
リンク先はパソコンでごらんください。

報道ステーション

(番組ホームページから)
【特集】専門家も“根拠”を疑問視…「時効見直しを」現場の訴え
現在、見直しが進められている『時効』。フランスのナポレオン法典の制度を受け入れ、明治時代に制定された。その後、法改正を経て、時効は25年になっているが、「なぜ時効が必要なのか」という本質的な論議はされないまま、現在に至っているという。大阪の看護師は、人違いで刺され、ほぼ寝たきりの生活をしている。来年1月に、事件は時効を迎える。凶悪事件に時効があっていいのか。時効が迫った被害者、そして時効になった事件の指揮をとった元刑事を取材した。

その動画です

(左上 古館さんと時効の文字の画面のところの動画をご覧ください。)

凶悪犯罪でなくても、
毎日毎日日本のどこかで起こっているありふれた交通事故でも、
この動画の女性とまったく同じような状況にある
脳脊髄液減少症患者さんもいます。

しかも、脳脊髄液減少症の傷は、目には見えないから、医師にも理解されず、
医師から「異常なし」といわれれば、家族も
「医師が異常なしと言っているのに、いつまで寝てばかりいるんだ。」と
責められていた脳脊髄液減少症患者もいたはずです。

ありふれた交通事故であっても、
凶悪犯罪の被害者と同じ様に苦しむ人たちがいる現実を知ってほしいです。

人の命が失われたり、人の体が傷つけられるのに、
たしかに凶悪犯罪のほうがひどい話で、被害者や家族の受けた
心や体の傷は深いものでしょうが、

発生件数の多い交通事故がありふれたものだからといって、
軽視されたくはないと思います。

人の命が失われたり、人の体が傷つけられるという点では
交通事故も犯罪であり、被害者や家族が苦しむことは同じだと思います。

だから、凶悪事件でなくても、
今から10年前、20年、30年以上も前にも、交通事故は起こっていて、
当時も脳脊髄液減少症になった被害者は存在していたのに、

それに気がつく手段がなかったために、被害者たちが
加害者に対して権利を行使することさえできなかった
交通事故被害者たちの悲惨な現実も忘れてほしくはないです。

時効というものは、被害者のためにあるものではなく、
加害者の逃げ得を許すだけのように私は常々感じています。


(以下は4月に書いた記事です。上の動画に関連した記事だったので
本日一緒にUPします。)

4月29日、読売新聞に、

「除斥期間 改正の時」と題して、記事があります。

以下の記事は、

長い時を得て、近年になって、
脳脊髄液減少症という交通事故後遺症という「真犯人」が
ようやくわかった患者たちには、
とても無関係な記事だとは思えませんので、

犯人を(脳脊髄液減少症)という真犯人に置き換えながらお読みください。
リンク切れにそなえて記事コピーも貼っておきます。
ご了承ください。

読売オンライン除斥適用せず

以下読売オンライン記事

殺人時効後自首の男への賠償命令確定、除斥適用せず…最高裁
 1978年に東京都足立区立小の女性教諭・石川千佳子さん(当時29歳)を殺害して自宅の床下に埋め、殺人罪の時効成立後の2004年に自首した元警備員の男(73)に遺族が損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が28日、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)であった。


 同小法廷は、被害者の賠償請求権が20年で消滅すると規定した民法の「除斥期間」を適用せず、男の上告を棄却した。男の殺害行為に関する賠償責任を認め、計約4255万円の支払いを命じた2審・東京高裁判決が確定した。

 原告代理人によると、支払額は、殺害時からの遅延損害金を含め1億円を超える。

 通常、除斥期間の規定は被害者の事情に関係なく一律に適用される。最高裁がこれを適用しない例外を認めたのは98年の予防接種禍訴訟の判決に続き2度目。

 判決によると、男は78年8月、小学校の校舎内で石川さんの首を絞めて殺害。自宅の床下に遺体を埋めて隠したが、04年8月に警察に自首した。遺族は05年4月に計約1億8600万円の賠償を求めて提訴。上告審では、殺害から提訴まで27年かかった事件に、除斥期間を適用するかどうかが争点となった。

 判決はまず、〈1〉加害者が被害者の死を知られないような状況をわざわざ作りだした〈2〉そのために相続人(遺族)が犯行を知らないまま20年間が経過した――という場合に、除斥期間を適用すれば、「相続人が一切権利行使ができない原因を作った加害者が賠償義務を免れることになり、著しく正義・公平の理念に反する」との判断を示した。

 そのうえで、「相続人が確定した時から6か月間は被相続人の持っていた損害賠償請求権は消滅しない」とした民法の規定を準用。遺体が石川さんと確認され、遺族が相続人と確定した04年12月から約4か月後に提訴していることから、賠償請求権は消滅していないと結論づけた。

 1審・東京地裁判決は除斥期間を適用して殺害行為の賠償責任を認めず、遺体の隠蔽(いんぺい)行為のみ責任を認め、330万円の支払いを命じたが、2審は殺害行為の責任まで認めた。

(2009年4月29日00時11分 読売新聞)

読売社説

時効殺人賠償 除斥期間を超えた最高裁判決(4月30日付・読売社説)
 殺人罪の公訴時効が成立した後に自首した男に対し、最高裁が約4200万円の損害賠償を命じる判決を言い渡した。

 時効のため刑罰を科すことはできない。民事訴訟でも、遺族が提訴できる期限が過ぎていた。だが、例外として、賠償金の支払いで罪を償わせるべきだ。そう判断しての判決といえよう。

 事件があったのは1978年のことだ。東京都内の小学校の女性教師が行方不明になった。2004年になって、この小学校の警備員だった男が、自分が殺害したと自首したが、殺人罪の時効は成立しており、不起訴となった。

 女性の遺族は男に損害賠償を求めた。だが、民事訴訟でも「除斥期間」が壁となった。不法行為から20年が過ぎると損害賠償請求権が消滅する民法の規定である。

 男が自首するまで、遺族は損害賠償を求める相手が分からなかった。特定できた時には、事件から既に20年以上が経過していた。

 「加害者が損害賠償義務を免れることは、著しく正義・公平の理念に反する」。最高裁がこう判断したのは、提訴できない原因を作ったのが犯人の男であることを重視した結果である。

 除斥期間は、権利の乱用を抑制する観点などから必要な規定だ。遠い過去の出来事に対する損害賠償請求などに一定の歯止めをかける役割を果たしている。

 その一方で、除斥期間を杓子(しゃくし)定規に適用せずに、被害者救済を図った司法判断もある。

 98年の東京予防接種禍訴訟の最高裁判決は、その典型である。原告が後遺症により提訴できなかった事情を考慮して、除斥期間を適用しなかった。

 今回の判決は、この考え方に基づくものといえる。

 除斥期間の起算点を柔軟に解釈した判決もある。ハンセン病国家賠償請求訴訟で熊本地裁は、らい予防法が廃止された96年を起算点として、国に賠償を命じた。

 こうした解釈を適用するのは、真に被害者救済が必要なケースに限られるべきだろう。

 法務省は、刑罰の時効の見直しに着手している。殺人罪などの時効の撤廃や延長を検討しているが、捜査機関の負担増などを考慮し、慎重な議論が必要だ。

 民法の見直しも進められている。生命が侵害された不法行為の除斥期間を30年に延長する案も一部に出ている。

 事情があって提訴できなかった被害者を救済するには、それも方策の一つであろう。

(2009年4月30日01時44分 読売新聞)


その他新聞社情報

asahi.com 26年後に殺人遺体、賠償4200万円確定、最高裁

26年後に殺害遺体、賠償4200万円確定 最高裁
2009年4月29日3時4分

 東京都足立区で78年に小学校教諭の石川千佳子さん(当時29)が殺害され、26年後に遺体が見つかった事件で、時効成立後に殺害を認めて自首した男(73)に対して遺族が損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が28日あった。遺族が提訴した時期は賠償請求できる期限を過ぎていたが、最高裁第三小法廷(那須弘平裁判長)は例外的に請求を認め、支払い命令を不服とする男の上告を棄却した。約4200万円の賠償を命じた二審・東京高裁判決が確定した。

 損害賠償を求める権利は、不法行為から20年を経過すると一律に消滅するルールがあり「除斥期間」と呼ばれる。最高裁が除斥期間の例外を認めたのは、予防接種が原因で重い心身障害になったことをめぐる国家賠償訴訟の判決(98年)に次いで2例目。

 男は石川さんの遺体を自宅床下に隠し続けていたため、遺族が殺害の事実を知ったのは04年になってからだった。男は時効成立で起訴されなかったが、遺族は翌年、殺害に対する損害賠償を求める民事訴訟を起こした。もっとも、殺害から20年以上過ぎていることから、ルール通りならば除斥期間が適用され、請求が認められないはずだった。

 しかし、第三小法廷は、遺体が見つからないために遺族にとっては相続人すら確定できないまま20年以上が過ぎたことを重視。被害者遺族が相続人として賠償を請求できない一方で、その原因をつくった加害者が除斥期間を理由に責任を免れるのは「著しく正義・公平の理念に反する」と述べ、このような場合には例外を認めるべきだとした。(中井大助)


時効の殺人、遺族への賠償確定へ、最高裁28日に判決

時事通信社 
「時効殺人」賠償確定へ=26年後自首の元警備員に-28日判決・最高裁
 1978年に殺害された東京都足立区立小学校教諭石川千佳子さん=当時(29)=の弟2人が、公訴時効成立後に自首した元同校警備員の男(73)に約1億8000万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(那須弘平裁判長)は17日、判決期日を28日に指定した。
 結論見直しに必要な弁論が開かれていないため、殺害行為への賠償責任を認めた二審東京高裁判決が確定する見通し。不法行為から20年で請求権が消滅する民法の除斥期間の適用について、判断を示すとみられる。(2009/04/17-19:47)

時事通信、時効の殺人賠償が確定
「時効殺人」賠償が確定=除斥期間適用せず-26年後自首の加害男に・最高裁
 1978年に殺害された東京都足立区立小学校教諭石川千佳子さん=当時(29)=の弟2人が、公訴時効成立後に自首した元同校警備員の男(73)に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第三小法廷(那須弘平裁判長)は28日、「被害者の死亡を隠し続けた加害者が賠償義務を免れれば、著しく正義に反する」として、20年で請求権が消滅する民法の除斥期間を適用せず、被告側上告を棄却した。男に約4200万円の賠償を命じた二審東京高裁判決が確定した。
 除斥期間の適用除外を最高裁が認めたのは、98年の「予防接種禍訴訟」判決以来で、2例目。
 遺体を自宅の床下に26年間埋めたまま、被害者の死亡を隠し続けた行為に対し、除斥期間を適用すべきかどうかが争点となった。同小法廷は「被害者の死亡を相続人が知り得ない状況を、加害者があえて作り出して20年が経過した場合に、相続人が一切の権利を行使できなければ、正義、公平の理念に反する」との判断を示した。(2009/04/28-17:39)

   

ここからは私の記事です。


「除斥」とは
「除斥」と打ってみると
「良くないものとして除き、退ける。」という意味がでました。

「良くないもの?」


朝日新聞の4月29日付けの、中井大助記者の解説によると、
「除斥期間とは、損害を受けても20年が過ぎれば相手に賠償を求める権利が
自動的に消えてしまうというルールだ。
いつまでも損害賠償を求められるような状況が続くことは、社会の安定にとって望ましくないとの考え方に基づく。
もっとも、民法で明文化されているわけではなく、

最高裁が89年の判決で示した解釈が根拠とされる。
一連の戦後補償裁判など、さまざまな訴訟で、この「時の壁」を越えられずに
「被害者」らが救済を阻まれた。
しかし、どんなケースでも請求を退けてしまうのは
画一的すぎる、との批判は根強く、
最高裁自身も98年の予防接種訴訟で
「著しく、正義、公平に反する」ことなどを理由に
例外があることを示していた。」と書いてあります。

被害者がやっと真犯人に気づいて、
訴えでることがやっとできるようになった時、
すでにある一定の期間を過ぎてしまっていたら、

被害者の訴えを聞き入れることは一様に、「良くないもの」として、
「除き、退けられる。」というのが、除斥期間ということでしょうか?。

つまり、「除斥期間」とは、

「犯罪が起きてから一定期間が過ぎたら、
そんな昔の犯罪の真犯人が20年過ぎて今頃わかったからって、刑事でも時効なんだし、民事でだって、除斥期間が過ぎていれば
、あきらめなさいよ。
次々起こる新しい犯罪でこっちは手一杯なんだから・・・
いつまでも古い事件にお金をつかってられないし・・・。
未解決の事件はさっさと水に流して、あきらめてもらわなきゃ、
こなしきれないんだよね。」という意味の
ルールなんでしょうか?

そんな加害者の権利を守るだけの、被害者軽視の
著しく正義、公平に欠けると思うのは
私だけでしょうか?

被害者やその遺族が、訴えられなかったのは、
犯人が誰かわからなかったからで、

わからなかったのは
被害者や、その遺族の怠慢や、責任ではないと思うのです。


読売新聞記事には、

「被害者が損害が発生していることに気づかなかったり、
加害者を特定できなかったりして、

被害回復のための行動を起こせなかったケースにまで、
画一的に除斥期間を当てはめるのは、被害者にとって酷だ。」

とありますが、私もその通りだと思います。

行方不明で、殺人の被害にあっていることさえ、わからなかった被害者遺族や、

脳脊髄液減少症のように、
病名もこの世にない事故後遺症などで、訴えでることさえできなかった時代の被害者まで、

一様に、除斥期間を適用するのでは、
あまりに被害者軽視だと思います。


(昨日の記事に書いたように)

23年前の事故での後遺症の件だって、
高次脳機能障害という概念は当時なかったはずだから、
私と同じように、仮病扱い、気のせい扱いを
相当されていたはずです。

医師に症状を訴えても検査で異常が見つからないために、
異常なしと放りだされ、保険会社にも相手にされず、

事故から1ヶ月とか3ヶ月とか、時間差で症状がじわじわ出てくれば、
被害者本人も事故との因果関係も気づかない状態で、

訴えでなかったのは被害者が悪い、
除斥期間が過ぎるまで気つかなかったのは、被害者本人の責任だ、とするのは、

あまりに被害者がかわいそうすぎるのではないかと思います。

権利行使ができない原因が、加害者の不法行為にある場合だけではなく、
脳脊髄液減少症のように、
被害者が権利行使しようと思っても、数々の不可抗力によりできなかった場合もあると思います。


今年になって、殺人の時効の撤廃を求める遺族の会
「宙(そら)の会」のニュースを興味深く見ていましたが、

どうしてこれほどまでに、
犯人の逃げ得や、
加害者にやさしく、被害者に冷たいルールばかりが
社会に存在するのでしょうか?

そろそろ加害者より、被害者にやさしい社会になっていってほしいと思います。



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