和風三笠を出て
「いやー参った、亀萬の酒があんなに旨いとは、日本最南端の蔵とは聞いていたがあなどれないな、ケン!ちょっと蔵に行ってみよう」
とケイのオヤジが言い出した。
確かにケイのオヤジが言うように三笠のレッテルは甘めだったが本醸造は旨かった。
飲んでいる二人を乗せて妻の運転で蔵に行ってみた。
蔵の前に直売所がある。
中に入ると気品のある女性の方が出てこられた。
ハッと私は気づいた。
「ヨーコ先輩!?」
とつぶやいた。
私の顔を見るなり
「〇〇くん!?」
「〇〇くん!」
なんとフルネームで覚えていてくれたのだ。
彼女、高校ではマドンナ的な存在だったのだ。
高校卒業以来だから、もうかれこれ、ん十年。
一学年普通科7クラスの商業科3クラス、合計で10クラス、おまけに一学年先輩なのだ。
同じ学び舎では2年間しか一緒でなかったわけで、これにはビックリだった。
その先輩と昔話に花を咲かせているとケイのオヤジ
「試飲は出来ると?」
と聞いている。
テーブルにありとあらゆる酒が並んだ。
「新酒の季節なので、こちらの酒は搾りたてです」
などと説明を受けながら飲んでみると、その通りだった。
酒といっても色々な酒があり好みが違う。
やっぱり旨いと思う酒は高い。
ケイのオヤジ、試飲をしていると一本3万円の酒を今にも買いそうな雰囲気になっている。
懐かしさと酒の旨みで本醸造を1本、ケイのオヤジは新酒の搾りたてとにごりを2本買った。
どぶろく祭りがあると言う、確か3月25日、そう今日なのだ。
500円のマスを買えばその日限りは飲み放題になるという。
日本最南端の酒蔵の一番輝く日なのだ。
亀萬酒造合資会社
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