30.02.17 蛇 口 NO.1803
いささか旧聞に属しますが、ある日本の海運会社のタンカーが洋上を航行中、何ら
かの事情で押し流されたのでしょうか、黒人が乗った丸太舟が遭難しているのを発見し
て救助しました。
タンカーを最寄りの港へ寄港することは簡単ではないので、仕方なく日本まで連れて帰
り、次の就航までその黒人を日本で過ごさせました。
出港に際して何か故郷に土産がほしくないか?と尋ねたところ、黒人は躊躇なく水道の
蛇口を指さしました。
彼の故郷では水を確保するためには、幾多の危険を冒してなん10Kmという遠方まで
汲みに行かねばなりませんが、蛇口をひねるとふんだんに水が出てくる「文明の利器」
が魔法のように思えたのでしょう。
蛇口のその先に水道管があり・水源地があり諸種の設備があることを彼は知らない。
でも、現代の我が国の若者だって、キャッシング機に向かって簡単に操作すればお金が
出てくると思って、見栄もなく借金を繰り返したり・ギャンブルに手を染めたりと、あ
まり先述の遭難した黒人と変わらない「頭の」人がいるのではないでしょうか?