R 03.01.23 さ く ら NO.2907
取り壊しの依頼を受けている廃屋の敷地内に、樹齢70年を
超す立派な「さくら」がある。 このサクラを伐るべきか、伐
らざるべきか、所有者と頭を悩ませている。
生前、爺さんの自慢の桜で爺さんが亡くなった今も、毎年春に
は見事な花を咲かせる。 昔から「桜伐るバカ・梅伐らぬ馬鹿」
と言いますが、それは枝葉のことであって、根幹から伐採するの
とはわけが違う。 サクラの平均寿命はおおむね人間と一緒く
らいですから、あと何年咲き続けるかは判らないけど、日本の各
地には樹齢200年を超す立派な桜もあるから、この櫻の先のこと
はわからない。
「命ある桜」を根元から伐採するには蛮勇がいる。
日本中の銘木(古木)を見て歩く趣味の人によると、樹齢数百年
を生き延びた巨木(古木)の前に佇むと、その神々しさに圧倒さ
れて畏敬の念を感じるという。 仏教では「命あるもの簡単に
その命を奪ってはいけない」ともいう。
建物解体の依頼者は敬虔な仏教信者であるから、伐採するのかど
うか、簡単には答えは出ない。
一句 春風が 吹けば花咲け 櫻花 主なしとて 春な忘れなそ