勝手なつぶやき

今日あった事、見たり聞いたりして感じた事、
ふと思い出して記憶がよびさまされた、そんな事を呟いてみようか・・

続 病棟の記

2007-09-21 13:53:29 | Weblog
主治医は気さくな優しい先生だった。
短足、のっそり、髭の剃り後も濃い容貌から、イメージ的には熊。
熊先生は外来が週一だけなので時間があるらしく、
よく病室の患者を見回りに来られた。

入院四日目に、昼食中にお粥を食べていた私のお茶碗を覗いて、
「固いご飯が食べたいですか?」とお聞きになった。
お粥が嫌いな私は勿論、「食べたいです!」と応えたのは言うまでもない。
その日の夕食から普通のご飯が出た。

         手術後初の夕食膳(全粥)
        


病院は全面的に患者の携帯電話持ち込みを禁止している。
しかし私は隠して持っていった。
ある日の夕食後のこと、二人退院して一人になった部屋でメールを打っていた。
突然、熊先生がお供の若い先生を連れて入って来られた。

「アッ!ごめんなさい・・・禁止ですよね。つい・・・」

しどろもどろでこんなことを言ったような気がする。
熊先生はかえってびっくりされて、若い先生に「えっ、そうなの?」なんて
聞いている。

「ワッハッハッハ まぁ、いいでしょう」とやっぱり熊らしく太っ腹なのである。

「先生、足音を立てて来てください。隠すつもりでいましたので」

「ワッハッハッハ そうか、回診車(ワゴン)を押してこなかったからな」

禁止だからって誰も守ってなんていないのだ。
患者が使用しているのを何度も見かけたし、若い先生だって
業務連絡の電話をしながら廊下を歩いていた。

ご存知ないのは熊先生だけなのだ。ワハハハ