アメリカ帰り

いきつけの美容院は静かな住宅街の中にあり客層はほとんどが近くの
オバサン、オバアサン達です。
今はそうなってしまったけど、私が行きはじめた20年ほど前は若いお客様も
それなり出入りして繁盛していた。
今だって固定客がいて閑古鳥が鳴いているようなことはない。
スタッフも当時からの人が二人も居る。

2月に美容院の扉を開けてギョッとした
「いらしゃいませ！」でなく、「こんちわ！」と元気な男性の声に迎えられたのだ。

いまふうに、室内でも中折れ帽にロン毛の茶髪、背も高くなかなかのイケメンだ。

オーナーさんの次男坊がアメリカで美容師の修業をしているのは知っていたから
息子だなとすぐわかった。

咄嗟に思ったのは『嫌だなぁ・・・』
男性にシャンプーしてもらったり髪を弄られたりするのは生理的に耐え難い。

2月の時はヘアマニキュアの補助のようなことだけだった。
3月は幸い免れた。
4月の今日は混んでいたせいもあり免れなかった。

シャンプーは女性が、カットはいつものオーナーさん。
そこで、アメリカ帰りに命じた。　「Ｋさんにブローしてあげて」

「く～～～～来たか」と思ったがどうしようもない。
任せて目を瞑り、時々鏡を見てアメリカ風ブラシの使い方はちょっと違うな、なんて。

終って正面の鏡をしっかり見ると『あら、なんかいい感じじゃない』

「ブローだけでいつもと微妙に違う仕上がりになるのね」とオーナーさんに言ったら
「でしょう　同じことを別の人にも言われたの」と、
母親の顔になってうれしそうだった。

私も満更でもない