新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

情けは人のためならず:借福、分福、植福

2010-04-11 23:47:18 | Weblog

こんばんは

 

夕方ころテレビをつけたら、ニュース番組か何かで「パンの缶詰」の話をしていました。収益が出ることも大事ですが、自分たちがやっていることが誰かの役に立つということは本当に大事だと思います。

 

あのような考え方ができる方は、これからもどんどん伸びていくのだろうと思いました。

 

自分自身が歩んでいる場所、立っている場所から世界を見つめ、自分ができることを行っていくこと。それは素晴らしいことだと思います。

 

一言でいえば…日本のグローバル化でしょうか。あのテレビを見たらそう思います。

 

日本の国益を守る。それはそれで大事なことかもしれません。何故なら件のパン屋さんがおっしゃっていたように

会社が成り立たなかったら、義援もできないでしょう

ということがありますので。

 

 

別に義援をしなさいと言うつもりはないのです。ただ、やはり一人一人が「何を為すか」を考えなくては駄目だろうと思います。それを考えていけば、一日一日を無駄に過ごすことなく生きていけるような気がします。

 

 

件のパン屋さんは阪神淡路大震災でパンを救援物資として届けたら、その多くが消費期限が切れてしまい役に立たなかった。だから、こういうときに役立つように…と「パンの缶詰」を作られたそうです。

 

今度は被災者の役に立つようにと缶詰を作ったこと、そういうことにTryしたことが素晴らしいことであり…その延長として今の発展があるのだと思います。

 

人の役に立とうとすること、それは最終的に自分にかえってくる…そう思います。

 

また、さらに缶詰の消費期限前に回収し、それを飢餓に苦しむ人々に救援物資として配っているというのはさらにすばらしいことです。

 

缶詰の回収は缶詰を購入した企業にとっては「処分費用」が浮くわけですし、この会社にとってはその分再び買ってもらえるわけですし、さらにそのパンは世界の飢餓に苦しむ人々のためになるわけですね

http://blog.with2.net/link.php?602868

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この考えのすごいところは…確かにパンを無駄にしない…というところもすごいのですが、明らかに利益はパンを作っている会社に帰ってきます。だって、3年でなくて2年で買い替えてもらえるわけですから。

 

けど、やっていることが素晴らしいから誰も・・もしかするとパンを作っている方もそうは思っていないのかもしれません。

 

ただ、こうやって「誰かのためになるように」とやっている限り、あのパン屋さんは発展し続けるような気がします

 

僕達も多くの人のために尽くせるように、自分自身を発展させていきたいと思います。

 

それでは、また。

 

 

P.S

本を買いすぎて読むのが楽しくて困っていますw

 

P.S2

父親から借福、分福、植福という概念を教わりました。この話を聞いたときに真っ先にそれを思い出しました。

コメント (5)
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救命士の食道挿管問題に関して:現場の委縮は患者さんの不利益になります

2010-04-11 18:17:14 | 医療

こんにちは

 

さて、1週間ぶりの更新です。今週はかなり忙しかったです。

 

それは新しい病棟に変わっての最初の週で、勝手がつかめていなかったこと

さらに病院の機能が回復してから毎日患者さんが入ってきており、バタバタしていたこと

急患も多かったこと

内科学会の発表準備もしなくてはならなかったこと

 

 

などなどです。

 

しかも、当直の日も平日なのに3名の患者さんが来て、最終的に寝ることができたのは3時くらい。その翌日も仕事が続き、この2日は42時間病院内で頑張っていました。 休んでいるのは本当に3時間だけw 食事は3食かな・・?

 

ただ、そろそろ白血病関係の予定入院が落ち着くので、そこから再び体制を立て直したいと思います。

 

今日はまずこちらの記事を紹介します

 

救急救命士、気管チューブを食道に=秋田

4月10日20時42分配信 時事通信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100410-00000103-jij-soci  

秋田県の大館市消防本部は10日、同市消防署北分署の男性救急救命士(38)が、入浴中に心肺停止状態となった同市花岡町の女性(78)に、気道確保の処置をした際、気管チューブを誤って食道に挿管したと発表した。女性は病院に搬送されたが死亡。死因は水死といい、消防本部は「誤挿管の因果関係は調査中」としている。 

 

消防本部によると、9日午後6時40分ごろ、女性が浴槽の湯に顔をつけ意識を失っているのを夫が発見。通報で駆け付けた救急救命士が搬送中にチューブを気管に入れようとしたところ、誤って食道に挿入した。女性は約1時間50分後に死亡が確認された。 

この救急救命士は2008年12月に気管挿管を行う資格を取り、今回が4回目の挿管だった。 

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たぶん、挿管を行う資格を取ってから4回目ということでしょうけど、それまでの研修で何回もされていたと思います。

 

そして「心肺停止」の状態の挿管は難しい

 

理由の一つとして・・・同時に複数のことをやっています。心臓マッサージ(胸骨圧迫)は状況によっては挿管時には一時中断もしますが(ですから10秒以内で挿管しろといっています)、それ以外の時には中断はしません。

 

状況によっては確認時に呼吸音が聞こえたような感じになるかもしれません

 

また、心肺停止していなければ「SpO2モニター」などで酸素の状態を確認することができます。しかし、SpO2モニターは脈波を感知して、その色を探知して酸素濃度を推測します。

 

ですから「心肺停止」「ショック状態」「二酸化炭素中毒」などでは全く当てになりません

 

そういう意味でも難しかったと思います。

 

 

僕は血液内科という診療科の体質から…あまり心肺停止で挿管するということがありません。救急車で運ばれてきて、即挿管するというようなこともたびたびありましたが、流石に心肺停止であれば救急部に行きます

 

また、病棟内で患者さんがなくなる場合は、すでに手を尽くしている状態で「挿管」を行うような状態でないことが多いです。

 

この件で悲しいことですが、亡くなられた方を助けることは難しかったと思います。それだけにそれを助けるために手を尽くした方を、責任追求するようなことをしないでいただきたいように思います。

 

そうでなければ現場は…救急救命士の方々は委縮して、現場での挿管などできなくなってしまいます

 

もちろん、様々な食道挿管防止のためのキットはありますが、患者さんの状態によってはそれも変わってしまいます

 

呼気二酸化炭素モニターも・・・ビールを飲んでいる最中に倒れた方がいれば、食道挿管しても二酸化炭素は検出されてしまいます(通常二酸化炭素を食道挿管では検出しない)し、「ドラえもんの手」と僕は呼んでいる「EDDチェッカー」なども万能ではないです。

 

医療従事者が医療従事者をかばっていると思われる方もいるかもしれませんが、この救命士さんを責め立てれば間違いなく現場は委縮します。すると本当に助けられる人が助けられなくなるかもしれません。

 

申し訳ありませんが…救命士さんが挿管できるのは「心肺停止」状態の方だけで、心臓が動いていない状況の方です。社会復帰できる可能性はAEDなどを使える状態でなかった場合は限りなく低いです。

 

AEDが使える=心室細動など=心臓は動くエネルギーがある除細動器(AED含む)というのは心臓を止める機会です。もともと動くだけのエネルギーをもっているから、社会復帰率は高いです。

AEDが使える状態なら挿管とかはしていないと思います。

しかし、それができない場合はもはや厳しい状態です。 そんな状況で・・・この救命士さんはできることを患者さんのためにやろうとした素晴らしい方だと思います。それゆえに必ず自己嫌悪に陥り、自分を責めていると思います

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なかのひと 

それも含めて対応を考えていただければと存じます。

 

時間を見つけてもう一個記事を作りたいと思います。

では、また。

コメント (2)
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