未来技術の光と影。
SIYOU’s Chronicle




機関銃搭載の兵器ロボット、イラクに初配備
http://wiredvision.jp/news/200708/2007080723.html

ロボットがイラクの市街地を走り回るようになったのは、イラク戦争が始まってすぐのことだった。だが、今回初めて銃を搭載したロボットが登場した。これは、イラクだけでなく戦闘地域全体で初めてのことだ。
数年にわたる開発を経て、3台の『SWORDS』(特殊兵器監視遠隔偵察直接戦闘システム)ロボットがイラクに配備されたのだ。

「ロボット兵器」とあるが、動画を見た限りでは、ラジコンカーに機関銃を乗せただけ。と、言う印象が拭えない。

デモ中の模擬戦闘シーンも、まるで、おもちゃで遊んでいるかのような感が否めない。

自律走行するわけでもなさそうだし、照準も、遠隔操作で人が合わせるようである。

そこには技術的な崇高さは感じられない。

ただ、遠隔操作で銃を発射するだけであれば、工学部の学生や、ラジコンマニアの高校生でも制作可能だ。

開発期間のほとんどは、安全性を確保することにあったものと思われる。

今まで実践配備されなかったのは、主に倫理的な問題があったためであろう。

最大の危機は、一度倫理的なタガが外れてしまえば、対戦相手も容易に導入できる技術であるということだ。

白兵戦において、マシンガンを乱射しながら、自爆すら辞さずに肉薄するラジコンカーの群れは、戦術的にも大きな脅威となりうる。

禁を打ち破るような一歩を踏み出す場合、それが与える社会的な損失について、十分な考慮が必要であろう。

タブーがタブーであることには、それなりの大きな問題があることを忘れてはならない。


「倫理的な問題は、どう解決するつもりかね?」
「現時点では、保身のために、携帯している銃を使用して敵を倒す行為に対しては、容認する風潮ができ上がっています。」
「ミサイルはどうかね?」
「ミサイルや魚雷は、基本的には航空機や戦艦などの、人工物を破壊するための兵器であるとの認識が強いため、それを使用することに対する抵抗感が薄いものと考えられます。」
「では『SWORDS』の場合は、どうなるのかね?」
「マシンガンは、明らかに人体を攻撃対象として開発されています。ですので、それを使用するためには、飽くまでも『保身のため』という理由付けが必要となります。ですので、銃弾を発射できる無人車の場合、『殺戮のための機械』という印象を拭うことは難しいでしょうね。」
「では、実践配備するのは、やはり不可能ではないのかね。」
「それを打開する術が見つかりましたので、今日、こうしてご報告に上がりました。まず、この新型の『SWORDS』をご覧ください。」
「中央部に、小さなシートのようなものが取り付けてあるようだが?」
「ええ。このスペースに。小型犬が一匹、リラックスして搭乗できるようになっています。」
「犬を乗せるのかね?」
「はい。安全のため、人が遠隔操作で、銃の発射を抑制することはできますが、それが全て解除されている場合、トリガーが引かれるのは搭乗している小型犬が、身の危険を感じて吠えた場合に限られます。これでしたら、『犬が保身のために銃を発射するのも仕方ない。』と、世論の了解を得ることが可能であると考えられます。」
「ばかなっ。動物愛護家から、いや、全世界の愛犬家が黙っていないだろう。」
「このシートには、完全な空調設備が備わっています。砂漠地帯での戦闘中であっても、『わんちゃん』は避暑地さながらの温湿度に保たれた、快適な環境を過ごすことができます。」
「そんなことでは、誤魔化されないだろう。」
「いえ、良くお考え下さい。これが、実践配備されて普及すれば、兵士はまず、犬に恐怖心を与えない方法を訓練されることになります。人間社会における、犬の地位向上に繋がるとは思いませんか。」
「思わんね。だが、そんなことより一番肝心なことは、我々がその一線を越えてしまったら、相手もただ犬を乗せただけの安価なラジコン機関銃を、大量に実戦投入して来る可能性があるということだよ。」
「その点なら心配いりません。イラクでは、ペットとして犬を飼うという習慣がありませんからね。」

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