未来技術の光と影。
SIYOU’s Chronicle






最近、ティザーの段階で記事を書いていた。

ティザーで勝手に期待値を上げ、本編を観てから「思ってたのと違う!」と愚痴を書くのが、自分でもあまりカッコいいことじゃないからやめようと思っていたからだ。

さすがに「PUPPET SHOW」のティザーは短過ぎて、いつもの様にテキトーなことすら書けないまま、本編が公開されてしまった。

XG - PUPPET SHOW (Official Music Video)


さて、いつもの様に焦燥感溢れる心理状態であるので、XGが大好きな人は、読まずにこのまま抜けて欲しい。

「PUPPET SHOW」は1stアルバムの発売と同時にリリースされる「タイトル曲」であり、XGの命運を担った渾身の一曲のはずである。と、思って期待していた。

おのずとMVにも力が入るであろうと。

思った通り、かなりの予算が注ぎ込まれていることは、一目見て解る。

あながち、私の予想も、それほど的外れなものではなかったようだ。

最初に「焦燥感」と書いたのは、「思ってたのと違う」「いやいや、こんなんじゃなくて、もっと行けるはずだろう」と、勝手に思い込んで焦っているその心理状態のことだ。

その原因の第一、納得行かない感が残る一番残念な点は、このMVが「映像作品」になってしまっていることだ。

このMVが「映像作品」としては、かなりのハイレベルにあることは間違いない。

だがこのMV、同じ企画で別のグループが臨んだとしても、同じ結果を出せていたのでは?と、感じてしまう。

XGに関心のない人がこの素晴らしいMVを観て「これは一体何?何事!!」とは思ってくれたとしても、「この娘達は一体誰?どこから来たの??」と思ってくれるかどうか疑問に思ってしまう。

恐らくは映像監督に全幅の信頼をおいて全てを任せ、受けた方も自分が気に入ってもらった理由を最大限発揮しようと頑張った結果である様に思う。

「GRL GVNG」のMVの、あの十数秒のダンスシーンが、ダンスにあまり興味のない人々すらも魅了し、XGの力強さ、ただ者ではないと畏怖の念すら感じさせる圧倒的な感じが、今回のMVからは伝わって来ない。

メンバーが素材としてしか表現されていないように感じてしまう。

例を挙げれば、今回の33秒からの HARVEY のソロ部分と、「Tippy Toes」のマイケル直後の他の追従を許さない圧倒的な存在感を比べてもらえば、私の言いたいことが解ってもらえると思う。

そう、「映像作品」としては見事な出来栄えであるが、MVの使命である、XGの素晴らしさを伝えることに成功していないのではないか。

このMVを観て「もっとXGの他のMVも観てみたい、他のパフォーマンスも観てみたい、他の曲も、もっともっと聴きたい!!」と、人々に思わせることに、どれだけ成功できるのか。

「NEW DNA」と言うタイトルは、直訳すれば「新しい遺伝子」であり、音楽界における新しいムーブメントの誕生を宣言している。

「K-POP でも J-POP でもないから X-POP」と言う消極的な理由ではなく、それまでになかった全く新しいものの誕生、「K-POP も J-POP も HIP-HOP すらも凌駕する新しい音楽」の誕生の啓示である。

「PUPPET SHOW」のタイトルを聞いた時に私が真っ先に思い至ったのは、谷山浩子の「操り人形」だ。

昭和の時代の、パートナーの束縛から逃れられない少女の切ない気持ちを歌い上げた、私の大好きな歌なのだが、もちろんXGのイメージとは違う。

とは言え「私はあなたの操り人形じゃない」と言うだけでは、負の側面を否定し、自分をフラットな状態に位置付けるだけで物足りない。

XGならもっと自分を肯定的なプラスの状態に押し上げるような歌のはずだと思っていたのだが、「PUPPET SHOW」の歌詞は、物足りない印象が残ったままに感じられてしまった。

英語のニュアンスが解らないので、もっと戦闘的な覇気ある歌なのかもしれないが、日本語字幕からはそこまでの力強いメッセージは感じられなかった。

それは映像の構成からも全く同じことが言える。

地面に空いた穴に思い切って飛び込んでみたら、実はそこは天上の至福の場所であった。という安易な展開は、ポジティブさ、力強さに物足りないものを感じてしまう。

アルバムなので、色々な曲がある。「NEW DANCE」の様に、底抜けに明るく楽しい、青春のポジティブな部分を凝縮したような曲は、それはそれで XG の別の素晴らしい一面を照らし、礼賛している。

なぜ、「PUPPET SHOW」だったのか。

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