前から読みたいと思っていた池波正太郎著『真田太平記』全12巻
先日読み終えた。
よく出来た時代小説だと思う。なかなか痛快である。
ただ、忍びの話しが中心なので歴史小説としてはどうだろう。
勿論、真田家の話しの部分に史実と違うことは書かれていないはずである。
織田徳川連合軍により武田家が亡ぼされるところから、この長い物語は始まる。
武田配下の真田家はこのときより、苦難の路を歩み始める。
真田昌幸は秀吉には好意を持つが家康に対しては最後まで敵対することになる。
多くの歴史小説は徳川家康を描く場合、たいがいは良く描くか悪く描くかであるが、この小説はフラットに描かれているのが興味深い。
僕は天下を取った人間より、天下を取れそうで取れなかった武田信玄や伊達政宗のような男にたまらなく魅力を感じる。
そして、天下人に一泡ふかせたような真田幸村のような男も大好きである。
真田幸村が若い頃、人質として上杉の家老、直江兼続の元に預けられ、多大な影響を受けたと言われているが、この小説ではほとんど触れていない。どうも池波正太郎は直江兼続をかっていないようである。
関ヶ原のおり、兄の信之は東側に、父の昌幸と弟の幸村は西側に味方する。
徳川秀忠率いる主力軍を昌幸幸村父子は上田城に引き付け、関ヶ原の決戦に遅らさしめている。
それでも西軍は敗北し、二人は和歌山九度山に押し込められる。
やがて、父の昌幸は亡くなり、大坂冬の陣において真田幸村は、その名を一躍有名にする働きをするのである。幸村は、大坂城唯一の弱点である南側に真田丸と名付けられた砦を築き、そこに篭って、関東側を散々に打ち破る。
簡単に大阪城を落とせぬとみた家康は、和議を結び、堀を埋め立てさせるのである。
半年後の夏の陣において、家康は、裸城となった大坂城を再び包囲する。
この時も幸村は手勢を率い、囲みを破って家康のいる陣へ襲い掛かるのである。
家康は、もはやこれまでと思い、腹を切ろうとしたと記録にある。
幸村の突撃がいかに凄まじかったかを物語っている。
天下人徳川家康を震え上がらせた男として幸村は歴史に名を残すことになる。
幕府は真田家の取り潰しを謀るが、幸村の兄信之は九万石を守りぬき、維新を迎えるのである。
さすがの家康も関ヶ原で敗北した薩長によって三百年後に幕府が滅ぼされようとは夢にも思わなかっただろうと思う。
幸村もあの世で、さぞ意外な心持ちで維新を眺めていたにちがいない。
先日読み終えた。
よく出来た時代小説だと思う。なかなか痛快である。
ただ、忍びの話しが中心なので歴史小説としてはどうだろう。
勿論、真田家の話しの部分に史実と違うことは書かれていないはずである。
織田徳川連合軍により武田家が亡ぼされるところから、この長い物語は始まる。
武田配下の真田家はこのときより、苦難の路を歩み始める。
真田昌幸は秀吉には好意を持つが家康に対しては最後まで敵対することになる。
多くの歴史小説は徳川家康を描く場合、たいがいは良く描くか悪く描くかであるが、この小説はフラットに描かれているのが興味深い。
僕は天下を取った人間より、天下を取れそうで取れなかった武田信玄や伊達政宗のような男にたまらなく魅力を感じる。
そして、天下人に一泡ふかせたような真田幸村のような男も大好きである。
真田幸村が若い頃、人質として上杉の家老、直江兼続の元に預けられ、多大な影響を受けたと言われているが、この小説ではほとんど触れていない。どうも池波正太郎は直江兼続をかっていないようである。
関ヶ原のおり、兄の信之は東側に、父の昌幸と弟の幸村は西側に味方する。
徳川秀忠率いる主力軍を昌幸幸村父子は上田城に引き付け、関ヶ原の決戦に遅らさしめている。
それでも西軍は敗北し、二人は和歌山九度山に押し込められる。
やがて、父の昌幸は亡くなり、大坂冬の陣において真田幸村は、その名を一躍有名にする働きをするのである。幸村は、大坂城唯一の弱点である南側に真田丸と名付けられた砦を築き、そこに篭って、関東側を散々に打ち破る。
簡単に大阪城を落とせぬとみた家康は、和議を結び、堀を埋め立てさせるのである。
半年後の夏の陣において、家康は、裸城となった大坂城を再び包囲する。
この時も幸村は手勢を率い、囲みを破って家康のいる陣へ襲い掛かるのである。
家康は、もはやこれまでと思い、腹を切ろうとしたと記録にある。
幸村の突撃がいかに凄まじかったかを物語っている。
天下人徳川家康を震え上がらせた男として幸村は歴史に名を残すことになる。
幕府は真田家の取り潰しを謀るが、幸村の兄信之は九万石を守りぬき、維新を迎えるのである。
さすがの家康も関ヶ原で敗北した薩長によって三百年後に幕府が滅ぼされようとは夢にも思わなかっただろうと思う。
幸村もあの世で、さぞ意外な心持ちで維新を眺めていたにちがいない。