スーパーなどで買い物をするとき、パンなどの商品を棚の手前からではなく、わざわざ奥から取り出す人がいる。
たいがい棚の手前の方が製造日は古く、奥の方が新しい商品が並んでいるためである。商品を見比べると、手前より奥に並べてある方が賞味期限の長い場合が多いだろう。かといって、手前の商品も賞味期限ぎりぎりというわけではなく、十分な消費期間はある。
値段が同じなら何となく新しい方がいいと思う気持ちはわかる。
だが、みんなが奥から商品を取り出すと、手前にある商品はいずれ賞味期限を過ぎてしまい、店側としては廃棄するしかなくなる。
それは、回りまわって価格の上昇となって消費者に跳ね返ってくる。
例えば、本来なら全て売れているはずの商品なのに1割が売れ残ったとすると、単純計算としてメーカーや店側としては、1割値上げせざるを得ない状況となる。
廃棄された商品は客が棚の手前から取れば、売れ残らなかったかもしれないのだ。
賞味期限以内であれば、品質に問題はないはずである。
客の事情で、消費する日が少し先で、どうしても賞味期限の長いものを選ばなくてはならない場合を除き、手前から取るのが、結果的には消費者の得になると思う。
それでも、奥から取り出す人が後を絶たない。
店側も、商品を並べる回数を増やし、店頭にはなるべく賞味期限の同じ商品を並べておけばいいのかもしれないが、それでは店員の手間が増え、人件費が上がる可能性があり、商品の価格を押し上げる原因になってしまう。
棚の奥から商品を取り出す人は、それほど悪気はないとは思う。売れ残り分の価格上昇などはあまり考えず、一人くらいがやってもどうということはないと考えているだろう。
でも、そこは消費者側の想像力が必要なところではないかと思う。