日々ふさおまき

走って跳んで歩いてます。

ぶらり途中下車のたび、だな

2013-03-02 16:51:41 | ふさおまき(オス)日記

昼から仕事になった彼女を見送りに幡ヶ谷へ。

ぶらり。

甲州街道を少し新宿方面にもどると、なんだこれ?

一つの店に3つの名前がついている。

月曜 「どっかん」背脂煮干醤油
火曜~金曜 「我武者羅」長岡醤油
土日 「弥彦」新潟味噌

曜日によってスープが変わり、店の名前も変えていると言うことか。

初台や代々木にもそんなみせがあったなあ。

今日は濃厚みそ味。辛かったりカレーしているのもあるけれど、

私たちのチョイスは、基本の濃厚味噌。

がっつりでした。がつんと来るみそ味を受け止める太麺は、湯がくにも時間がかかり

なんか力仕事で力こぶが入っています。

カウンター越しに兄さんがゆでを上げて、女性2人がスープとサービスを担当しています。

体育会系です。きれいな笑顔です。食べる方も心してスタートラインにつきます。

臭みの無い豚骨スープは味が深い。魚介も負けないくらいに海を泳いでいます。

みそ味天下一品だい。どろりとしたスープをすくうのが、口二つ分くらいの大玉レンゲで

ギャグだそうです。

方向性が統一されているので好感がもてて、気持ちよく汗をかきかきすすらせていただきました。

 

腹ごなしにぶらりと笹塚へ。

10号通りは昼から大にぎわい。八百屋さんに魚屋さん、威勢のいい声が街に住む実感です。

開店したばかりの石窯ベーカリーは花輪と人の列で賑わっています。

歩いて楽しい街、団子でも食べようかなとおもいつつ、ここは我慢。

京王新線にのって初台に向かいます。

コーヒーを求めてやってきたのが、駅からすこし裏通りに入り、

事故がどれほど出会い頭に起こるだろう、と複雑な気持ちになる、

病院近くの五叉路の分け目に立つ黒い外壁のお店です。

ZAROFFさん。代々木郵便局に夜、未配達の書留なんかを取りに行く帰りに前をとおって

気になっていたお店です。

店の前の黒板には、珈琲500円~としか書いてませんし、

ガラス窓からのぞく店内はクラシカルな木製テーブルと椅子が並んでいます。

開店しているのかどうかもよく分からない扉をあけると、

良い音質のクラッシック音楽が流れてきます。

でも、人影も、お迎えの声もあがりません。

お出かけかな、と一瞬思うと、立ちすくみました。

細く伸びたカウンター奥から振り向いた、目力が印象的な店主に射すくめられたのです。

もちろん、低いかすれた声。あんまりにも見た目通りの声です。

値踏みされてると感じるような感じ、という言い方が合うかな。

最初何を言われたかもわからないけれど、少なくともいらっしゃいませ、とかこちらへどうぞ、

とかいったセオリーのご案内でないことはたしかな言葉をかけられました。

「喫茶ですか展示ですか」だったような気がします、あとで考えると。

というのは、2階がギャラリーになっていると、メニューに書いてありました。

店内は私一人。

緊張しながらブレンドを頼みます。

ガラス瓶から豆を出して、グラインド、KOHNO式のペーパードリップ。

苦み4,酸味1とランク付けされた珈琲は、透明な黒い質感があって、

しっかり苦みがエッジングされています。舌先にわずかな酸味に、

雑味がないのですっきりしています。

これで500円は相当コスパが高い、と普通なら声を上げてほめるとこですが、

どうやらそうしたお愛想が必要な店主でもなさそうに見えます。

気圧されたままなのも悔しい、と思いつつ、本を開けばこの音楽だけ聞こえる静かな空間は

決して店主に気遣いをする必要がないという確信があるために

心がうちにこもって、読み進める神経をとぎすますには絶好の場所となったのでした。

高村 薫「冷血」 上巻のほぼラストという盛り上がり具合も支えになったようです。

30分ほど座って、支払いをすませると、次の客がやってきました。

女の子をつれたお父さんです。

どうやら常連らしく、女の子が微笑むので振り返ると、あの店主が小さく手を振っています。

そして笑ってます、店主。

なるほどね、だから人間はおもしろい。愉快な気分になって、初台を坂下に降りて、

いつものディスカウントスーパーOKで、午後の買い物を楽しみ、

お菓子を買いすぎるのでした。

 


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