犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

河野談話の誤訳(2)

2014-03-19 23:29:19 | 慰安婦問題

 前回は、「河野談話」の韓国語訳(韓国版ウィキペディア)に誤りがあることを指摘しました。

 細かい誤訳はほかにもあります。

 たとえば次の文章。

慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。

 韓国語訳

위안서에서의 생활은 강제적인 상태하에서의 참혹한것이었다.

となっています

위안서(慰安署)は위안(慰安所)が正しく(別の個所では正しく위안소となっています)、상태(状態)は(状況)が正しい。

 ま、これらは大したミスではありません。

 大きいのが「痛ましい」
참혹하다(基本形)」と訳したこと。

 
참혹하다は漢字語で、日本語では「残酷(惨酷)だ」

 日本語で「痛ましい」と「残酷だ」は、けっこう大きなニュアンスの違いがある。

いたましい【痛ましい】かわいそうで胸をしめつけられるような気持ちだ。

ざんこく【残酷/惨酷】ひどいやり方で相手を苦しませて、平気でいるようす。むごいようす。


(ともに三省堂国語辞典第7版)

 「痛ましい」は被害者を思いやる表現であるのに対し、「残酷だ」のほうは加害者を責める表現です。韓国語でもニュアンスはほとんど同じはず。

 「痛ましい」の訳語としては、たとえば
불쌍하다애처롭다안쓰럽다などのほうが適切です。

 翻訳者が
참혹하다を選んだのは、「加害者」である日本軍や日本政府を責めるニュアンスを出すためでしょう。


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