写真:韓国の大法院
韓国では裁判所のことを法院(ポブォン)と呼びます。
日本の最高裁判所にあたるものは、大法院(デポブォン)です。
立法、行政、司法は三権分立で、日本と同じ。
徴用工裁判の大法院判決で、日本に賠償を命じる判決が出たとき、日本は韓国に「日韓基本条約に反する」と言って抗議しました。
しかし、時の大統領、文在寅は、「韓国は三権分立の国なので、司法に対して大統領は何も言えない」と言って、知らんぷりをしました。
大法院長の任命権は大統領にあり、当時の大法院長は、大法官経験者から選ぶという慣例を破って、文在寅が異例の抜擢をした人であるにもかかわらず…。
韓国で本当に三権分立が機能しているのか、疑問に思うときがあります。
たとえば、「帝国の慰安婦裁判」。
朴裕河教授の『帝国の慰安婦』が、名誉棄損の民事裁判に続き、刑事告訴されたのは、2015年11月でした。時の大統領は、朴槿恵(パク・クネ)。
朴槿恵は、2015年末の「慰安婦合意」で、慰安婦問題を不可逆的に解決しました。
刑事一審で朴教授に無罪判決が出たのは、2017年1月。(朴槿恵政権下)
朴槿恵大統領が罷免されたのが2017年3月。
文在寅が大統領に就任したのが、同年5月。
刑事控訴審で逆転有罪判決が出たのが、同年10月。(文在寅政権下)
その後、裁判は長らく放置。
現大統領、尹錫悦が就任したのが2022年5月。
刑事上告審で逆転差し戻し判決が出たのが、2023年10月、差し戻し審で無罪が確定したのが、2024年4月。(ともに尹錫悦政権下)
こうした流れを見ると、判決が政権交代に影響を受けたように見えます。
ただ、判決文を見ると、第一審の無罪判決と最高裁の差し戻し判決は、きわめてまっとうなもの。
政権の顔色を窺ったと疑われるのは刑事二審(控訴審)だけです。
『帝国の慰安婦』刑事一審が名判決である所以
『帝国の慰安婦』裁判、判決についての報道資料(大法院判決)
朴教授はあるネットニュースでこの点を問われ、大法院判決が時の政権の影響を受けたという見方を否定。その理由として、この判決を主導した大法院長(金命洙)が、文在寅に抜擢されたリベラル系の判事だったことを挙げています。
しかし、「残念なのは、判決が文在寅政権下で出なかったこと。政権が代わってから出たので、先のような見方が出てしまった」とも述べています。
先の経緯を見れば、一審無罪から二審有罪までの期間は9か月。それに対して、二審から上告審の判決まで、実に6年かかっています。
これは、自分を任命してくれた文在寅の顔色をうかがって、判決を無駄に引き延ばしたとしか思えない。
韓国の司法が、行政から独立していないのではないか、と疑わせる所以です。
デモクラシータイムズ シン・池田香代子×朴裕河×上野千鶴子(2024年6月18日 収録)
朴教授はあるネットニュースでこの点を問われ、大法院判決が時の政権の影響を受けたという見方を否定。その理由として、この判決を主導した大法院長(金命洙)が、文在寅に抜擢されたリベラル系の判事だったことを挙げています。
しかし、「残念なのは、判決が文在寅政権下で出なかったこと。政権が代わってから出たので、先のような見方が出てしまった」とも述べています。
先の経緯を見れば、一審無罪から二審有罪までの期間は9か月。それに対して、二審から上告審の判決まで、実に6年かかっています。
これは、自分を任命してくれた文在寅の顔色をうかがって、判決を無駄に引き延ばしたとしか思えない。
韓国の司法が、行政から独立していないのではないか、と疑わせる所以です。
デモクラシータイムズ シン・池田香代子×朴裕河×上野千鶴子(2024年6月18日 収録)
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