このブログで少し前にご紹介した「幻の書評」の筆者、朴裕河・世宗大学教授が、自らの著書『帝国の慰安婦』の内容について、元慰安婦から訴訟を起こされました(→リンク)。
それに対し、朴教授は同日(6月16日)自らのフェイスブックにコメントをしています(→リンク)。
「今、ここ」に留まる理由
気の休まらない一日が過ぎました。ご迷惑をかけた皆様方だけでなく、いろいろな知人から連絡や励ましをいただきました。すでに5月に「ナヌムの家」の所長から聞いていたので、予想していなかったわけではありませんが、いざそうなってみると、正直、ずいぶん当惑しました。とりあえず予定外の時間と体力の消耗が、何よりこたえます。
知人からは、そんなふうに消耗するより、謝って済ませろというアドバイスもいただきました。しかし、間違ったことをしていないのに謝るのは正しいことではないし、自分自身を否定することにもなるので、そうするつもりはありません。
聯合ニュース以外にも、いくつかの新聞が報道したようです。それを見て、またため息が出ました。訴訟人たちが、本に書いてあると言ったことは、大部分、歪曲されています。このような歪曲自体、私に対する「中傷」であり、「名誉毀損」だと思います。歪曲したのが発言者なのか、それをメモした記者なのかはわかりませんが。
実際、これまで、支援団体とメディアが作りあげた「韓国の常識」と異なる意見を述べて、無事だった人はいませんでした。大統領でさえ支援団体の批判を受けて、自分の主張をねじ曲げましたね。そして、今まで私が無事だったのは、私の発言がほかの人とは違っていたからだと信じています。それをわかってくれる人がどれだけいるか、それによって、この戦いの結論が出ると思います。
今回の訴訟の主は、実際はナヌムの家の所長だと思いますが、彼から歪曲された説明を聞いたり、本の一部を読んだかもしれないハルモニたちの怒りは理解します。そして、意図とは違って伝わったとしても、ともかく私のせいでハルモニたちが心を痛めたとしたら、申し訳ないとも思います。
問題は、これまで何度も書いてきたように、「ハルモニ」も決して一つではなく、その中には権力化されたハルモニもおられるということです。実際、何人かのハルモニと話していたとき、そんなことをほのめかす方もいました。「あなたの一人ぐらい、私の一言で何とでもできる」という意味の言葉を、遠回しにされる方が。
それだけでなく、訴訟人は9人いますけれど、自分の意思をちゃんと表現できる人は何人もいないことからもわかります。実際、「そのような人は私しかいない」とおっしゃった方もおられます。そうした意味でも、複雑な心境です。
4月16日のセウォル号の惨事が明らかにしたのが、既得権層の権力と新自由主義の問題だとすれば、6月16日、ちょうど2か月後に私に起きつつある(これを書いている最中にも、ナヌムの家での記者会見中だと言って、ある記者がインタビューを申し込んできました)ことは、その反対側にいるかにみえる人々の持つ問題です。
セウォル号事件のために、多くの人が韓国社会に絶望し、この国を去りたいとおっしゃいました。私はまだそんなふうに思いません。日本の大学から来いという話をいただいたこともありますが、私のしてきたことが「今、ここ」でこそ意味を持つ活動であるため、固辞しました。そして、辛くても続けていくつもりです。まだ少ないとはいえ、賛同してくれる人々がいますから。何よりも、私の仕事が日本のためではなく韓国のためなのだという信念に、変わりはありませんから。
応援してくださった皆様、ご迷惑をかけた皆様の存在が、どれほど心強いかしれません。
必要な情報を語ったり、伝えたりすることを、最近はちょっとなまけていましたが、いまやもっと頑張らなければならないと思っています。見守っていただければ幸いです。
朴教授の身の安全を祈ります。
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朴教授の出版、発言は韓国でも意見の多様性が認められるようになったのかと思われましたが、こと「親日」に関しては、公けの場で日本寄りの発言は依然としてタブーであることが強く印象付けられる結果となりました。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20140626-00000008-jnn-int
>米軍慰安婦
朝鮮戦争中の「国軍慰安婦」もありますね。