犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

近代韓国語の成立

2006-05-24 06:26:54 | 言葉

「ハングルが創始されたのは15世紀中葉だが、「斥仏崇儒」の風潮とともに卑しめられ、正字である漢字に対して「諺文」と呼ばれ従属的な位置にあった。
 
これはちょうど漢字に対する仮名の関係を連想させるものであるが、ハングルへの冷遇は長く続きすぎた。つまり漢文、漢字に対する国文、国字(ハングル)の概念があらわれたのは19世紀末のことであり、これはちょうど日本の植民地支配とかち合うことになった。言い換えると、ハングルは書き言葉として定着する以前の脆弱な状態のまま植民地支配によって足をすくわれてしまったのである。
 
この過程を指して韓国人は「言語の抹殺」というが、言語学的にいうと、それは韓国語の近代化を促進するものであった。つまり、「韓国語の抹殺」の時代にも、話し言葉としての韓国語や書き言葉としての韓国語は生きていたのであり、韓国語は押しつけられた日本語の表現方法や語彙を大量にとり入れることによって、近代語に生まれ変わった
 
日本人が江戸時代以降、欧米語を翻訳借用する過程で作り上げた膨大な数の概念語や技術語は開化期(1876~1910)の韓国語に取り入れられており、また、解放後には、日本語で読まれていた世界文学全集が韓国語に翻訳され、日本語の法律や教科書が韓国語に置きかえられるというような形で大量の日本語が受容され、それは日韓の国交関係が再開した60年代を経て今日に至るまで、絶え間なく続いている。
 
日本語が大量の欧米語を翻訳語として受容する過程で近代語に生まれ変わったように、韓国語は大量の日本語語詞を受容することによって、世界の変化や社会変動に対応しうる近代的な国民国家の言語となりえたのである。
 
しかし、韓国語の場合、それは、「強要」や「剥奪」を伴う変化であり、したがって、解放後の為政者や言語学者たちはこの日本語の取り入れを「汚染」と規定し浄化に乗り出すようになる。」
(鄭大均『日韓のパラレリズム』三交社、1992)


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