クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

蝉の鳴く小説・12(『あぶら蟬』金鶴泳・感想)

2021-10-26 | 本と雑誌

あぶらゼミ・つながりで

もうひとつ

 金鶴泳の、『あぶら蟬』

という・小説が ここにあります


<作者紹介>

金鶴泳(きんかくえい・キム=ハギョン)とは、

1938年生まれの、在日朝鮮人。

「東大の大学院にすすんだ理系そこから作家に転じて、70年代に何度か「芥川賞候補」になった、

という、

文理に秀でた

あたま良すぎ男性です。


カギカッコの中の肩書きだけで 身がまえてしまった

クリンは、

さいしょのほうの文章が、

「啓子は、自分の合成したポリマーの化学構造式を推定する際に、元素分析や核磁器共鳴などのほかに、特に赤外線吸収スペクトルの解析図を大きな拠りどころにしたのだが、、」


と・・

おそれたとおり

ちんぷんかんぷん だったので、

「読み切れるかな!?」

と 

ビビりました

でも・・

よく読むと

それは ポリエステルの研究で

しかも、本文には関係がない。

とわかりホッと しました🐻

 ストーリーは といえば・・

繊維の研究をしている24さいの日本人女性が、

学会で知り合った・金雅実という東大の院生

たまたま文通をするうちに

その頭の良さと、

人物のつかめなさに ひかれ、

しだいに、彼という存在で あたまがいっぱいになる、、

在日朝鮮人のことを 知りたくなった彼女は

古本屋で手にとった「金朔」という在日朝鮮人の小説を読み

それが ひどく心にのこるが

その金朔とは、

意中の金雅実の、実はペンネームであった。

小説のタイトルは『油蝉』、、


というもの。



 作中に出てくる「金朔」の小説にも、それを記している

「金鶴泳」の小説にも、

当時の

在日ちょうせん(朝鮮)人の、アイデンティティーをめぐる苦悩が

つづられています

 と、いってしまうと・・ 日本人読者は、それだけで、

何とも言えない・ふくざつ(複雑)なかんじょう(感情)

に 

包まれ、

ぐちゃぐちゃ考えているうちに

お手上げになってしまい

気がつけば・・

近寄る前から

もう引けごし(腰)に なるのですが、、

引かないでください



この作者、そういうことが・どうでもよくなるほどの、巧者です!!

 うちのチットなんて、一気にズルッと引き込まれ

「表題作」以外のも、全部・読みだおしていました

1ページが 上下二段に分かれてて、

700ページもある、作品集を

です

 たしかに・・ なかみは「在日」の人たちが直面した

重苦しい問題で しめられており

戦後の昭和に、東大の院まで進んだ・ずのう(頭脳)を

もちながら、

自分では どうすることもできない・もんだい(問題)に

ふりまわされていた

若者の苦つうなど、、

こちらが すいそく(推測)するのも

はばかられるのですが・・


 その、核の部分はもとより とにかくこの「金鶴泳」さん、

日本語がたしかで 読ませるのです


私小説ばかり

書いてたためか、

内面への食い入り方が ハンパじゃなく

 加えて「『暗夜行路』に感銘を受けた、夏目漱石の『こころ』好き

という

王道路線のため

文章がしんせつ(親切)で 明快。




久々に「純文学を読んだ」って 気がしました。


【おすすめ度:


(次回は、本多孝好の『蟬の証』をレビューします

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蝉の鳴く小説・11(吉村昭『油蝉』感想)

2021-10-24 | 本と雑誌

「ま・さ・か 後味が悪い小説だとは思っていなかった

のに

うっかり・読んじゃった

吉村昭作品から、

ちょっと怖くなってしまった短ぺん(編)『油蝉』

を 

ご紹介します

 これは、吉村さんの私小説・10ぺん(編)を

あつめたうちの

ひとつで

主人公(吉村さん?)の従姉が ガンで亡くなった時の、

「お通夜~納骨まで」が 記されています。

 



セミは どこに出てくるか?
というと、

「空襲の夜に、油蝉の鳴き声が異常に聞こえていた」

と 話す、

いとこの回想話の中に 

出てきます。。

 



「従姉は油蝉の鳴き声を聞きながら、真っ赤に燃え盛る街を、赤ちゃんをおぶって逃げ惑ったけど、ふと見たら、赤ちゃんは息たえていた」

という・・

かなしくて、むざんな

回想の中に、

です。

(※亡くなる前に、病室で、このことが 語られます・・


 だれもが、一度以上は経けん(験)する、

親族の会葬」・・


ここにも、

まさに、そんな

「葬儀所風景」が 淡々と 描かれているのですが、

 さいごに 故人の骨をしんぞく(親族)が洗う

めずらしい「洗骨」シーンが出て来て、

(えっ)って なるところが 

ハイライト

 

 

それは、

ホネをキレイに洗ってから「骨壺」におさめる、

一部地方の 

習わしだそうですが、

"骨灰に濁った水の表面に浮かぶ、意外なほど多い脂の量に、吉村さんがびっくりして終わる、、"

 読者クリンは あとから、空襲の夜の油蝉のエピソード

ふと思い出す・・

 


人間の
× アブラゼミの・・

で、オチる 

短ぺん(編)でした。。

 

 

【おすすめ度: ・・吉村ファンなら1冊全部で☆4つくらい?】

 

 

次回は、金鶴泳『あぶら蟬』を、レビューします実質的に☆5つだった、小説です

 

 

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蝉の鳴く小説・10(荻原浩『蟬鳴くや』感想)

2021-10-21 | 本と雑誌

「首斬り」が、関係する・セミ小説を

もう一ぺん(編)

 おぎわらひろし(荻原浩)の『蟬鳴くや』

レビューいきます


 主人公は、江戸時代のサムライと、
現代の中学教師

(異色のダブルキャストです

 この二人・・、どちらも

運のない人たちで

日常的に 

イヤな「職場」で

人から 軽んじられ

追いつめられた・あげく

 

一人は、理不尽きわまりない・せっぷく(切腹)を 強いられ

一人は、上司・同僚・生徒・保護者から 四方がためにされる。。

 

(あ~やだ・・)


 主人公の一人である・現代の中学教師が、うさ晴らしのために

切り刻んでいた・クスノキ

は、

数百年前に

武士のむざんな・さいご(最期)を見た、

同じクスノキで あった・・

 二人の頭上には、わんわん・鳴きしきる

セミが 無数に、、

 


という

イマドキの作家さんが 

書きがちな、

いや~な気もちにさせられる

クセモノ小説です。。

 時をこえ、人間の念が 交さく(錯)する

「連作短編集」の中のひとつ

だったから

もしかしたら ほかに

後口の良い作品も 

あったのかもしれませんが・・

 クリンたち、さいしょに読んだ、このセミの話で

むね(胸)悪くなってしまったため

あとのは 読みませんでした。。

 

 

【おすすめ度:全部読んでないから正しく評価できないけれども、

 

 

 

(※次回、吉村昭『油蝉』を、レビューします

 

 

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蝉の鳴く小説・9(『首斬り浅右衛門人情控』千野隆司・感想)

2021-10-19 | 本と雑誌

はむろりん(葉室麟)の『蜩ノ記』

と 同じ、小説NONに

けいさいされ

人気だったという・時代げき(劇)に、

『首斬り浅右衛門人情控』という

たんぺん(短編集)が あります。

(千野隆司っていう作家さんが 書いています

「首斬り浅右衛門」というのは、

江戸時代 

牢屋の死刑執行人だった

やまだあさえもん(かんじ:山田浅右衛門)


 歴代の山田あさえもんは、徳川家の下

もっとも・人間の肉を ぶったぎっていた人間

の はずですが、

中でも

(安政の大獄の刑死者を斬った)7代目は、

小説やドラマに よく出て来ます

 本作も、「第7代山田浅右衛門」

を 主人公として

7話からなる・処刑秘話が 

そうさく(創作)されており

「蝉の音」は その最後の小話です

 

<かんたんに、あらすじ>

 小悪党の兼次郎は 処刑直前、「自分を売った人間への報復

を 口にし、

わらいながら、斬首されます

が、

数日後・・

実際に その人間が殺され

浅右衛門は(だれが手を下したのか?)

を 捜査する。


そんな内容。


 作中で、セミのことを

「生命の最期の煌めきを、鳴くことでこの世に伝えていた」

って 

書いていたから、

処刑が決まってなお

にくい相手に「最期の一矢」をむくいた・小悪党

が、

セミと重なるってことだな

読者は 気づきます

 すぐにドラマ化できるタイプの

小説でしたね



【おすすめ度: ひと通り全話読まないと入り込めないオムニバス形式の最終話のため。】

 

 

 

(次回は、荻原浩『蟬鳴くや』を レビューします。よく電車の車内広告で目にする・作家さんです

 

 

 
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蝉の鳴く小説・8(『八日目の蟬』角田光代・感想)

2021-10-12 | 本と雑誌

「蝉のなく小説特集」を 始めたら

取り上げなければ

ウソになるのに、

(・・あらためて手にとる勇気が持てない。。

という名作に、

角田光代の『八日目の蟬』が あります


 主人公は、不倫相手の子どもを お(堕)ろした女。。

 

ある日、

不倫相手の奥さんが産んだ・赤ちゃん👶を 

連れ去り、

5年間の逃亡生活を 送ります

 って、書くと

デストロイヤーな女の、スキャンダラスな誘拐事件

イメージしてしまうでしょうが、

そんなんじゃ・ありません。。

 この主人公・・、もし・フリン
していなかったら、

だれか良い相手に めぐりあい

幸せな家庭を きずいていたであろう

ふつうの女性です。

 

だから、

さらった赤ちゃんを よく・お世話し、

心からあいして

まるで「本物の母親」みたいに なります

 赤ちゃんも👶、彼女を無心にあいしたので

ニセの母子なのに

二人は かたいキズナで 結ばれるのでした・・

(※彼女が警察に捕まるまで)


「この本を読んだ時、自分がどのような立ち位置か

ライフステージによって

受け止め方が ことなるでしょうが・・

 

おそらく・・

多くの読者が、主人公に 肩入れしてしまう、、

 角田光代の上手すぎる書きっぷり

が 

つみ(罪)深い・・

 

 

角田さんは、

・無私の愛とは何か

・親子の絆とは何か

・母性とは何か

・ひいては女性って、どんな生き物か

 本しつ(質)的な問いを

連ねていて、

読者のハートを 

ドスッと、突いて来ます

 

クリンたち、

この作品を 読んで、

角田さんは、このさい

「かくたみつよ」という名前はやめて、

「つのだみつよ」に変えた方がいい。

って

思いました 

 

(だって、すごいツノをもってるんだもん この人・・)

 『八日目の蟬』は、「檀れいのドラマ」や

「永作博美の映画」でも 

みましたが、

みてから だいぶたつのに

その切ない印しょう(象)を 忘れられません。

 そうその時初めてみた、

独身時代の、だんれい(檀れい)が 放っていた

とうめいかん(透明感)に

ドギモを 抜かれたものです

(・・白い三つ折りソックスがあんなに似合うなんて

さすが、タカラジェンヌ

 

って、、

 

非常しきにも、この「誘拐女」のことを、

めちゃ・応えんしたものです

 



【おすすめ度:一読の価値あり。 けど、ウツなストーリーなので

 

 

(次回は、ふたたび・時代小説に戻りますその前に、ちょっと・気分転かんに行って来ますね🐻

 

 

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蝉の鳴く小説・7(中山可穂『蝉丸』・感想)

2021-10-10 | 本と雑誌

前回、取り上げた

百人一首のせみまる(蟬丸)

 

びわ(琵琶)の名手であった彼から

秘曲を伝授された

と いうのが、

きぞく(平安貴族)の みなもとのひろまさ(源博雅)・・

 そんな今昔物語集』のエピソードを

ほんあん(翻案)し

今、大流行のBL小説に 

仕立てた

小説『蝉丸』を、今日は 取り上げます

(中山可穂『悲歌(エレジー)』より。)2009年の小説です


 小説に出てくる「蝉丸」は、

19さいのシンガー。

天上の声の持ち主で、女とみまごう美形男子

です。

(※美形男子 BLあるあるですね)

 彼は、有名音楽家を父に持ち、かなりズタズタな家庭で

成長したため

ゆいいつ、子どものころから・守ってくれた大人男性

「宮本博雅」を 

あいするようになりました

(※明らかに、上記の源博雅のもじりです・・ちなみに、博雅は蝉丸バンドの音楽プロデューサーをやってます

 ・・クリンたち、(ボーイズラブ)

って、

よくわかっていませんが・・

 

この作品に かんしては、

実にうまく男性が男性を愛する心理が描かれているな

と 

思いました。

 現実のBLは・・、
小説に描かれているような

「そこに向かってつきすすんでしまう、どうしようもない理由

なんて、

存在しないのかも しれない。。


もっと・・

本能や、

官能にもとづく

ラノベな世界なのかも しれません。。

 

 

この小説に出てくる「蝉丸の愛」は、

不幸な生い立ちをもつ人特有の

とぎすまされた・あい(愛)であり

その、

ギザギザで

「純度の高い愛」を ぶつけられた時

 相手はそれが、たとえ・同じ

社会的に 受け入れられない・ほん(奔)流で 

あったとしても・・

 

常しき(識)を ふりかざして

逃げをうつことなど、

ゆるされない

 

(と・・、

 

ミョ~に 読者にナットクさせてしまう、上手な心理描写攻めで丸め込んできますこの作者さん


 蝉丸(19歳)は言います。


「ぼくは、ぼくのことを百パーセント受け入れてくれる人としか、そういうことできない。」
「ぼくは、98パーセントじゃいやなんだ。それじゃ安心できないんだ。」
「百でないならゼロでいい。わずかでも欠けた愛なら欲しくない。そういう相手と出会えないなら、一生セックスなんかしなくてもいい」

と。

 100%のこだわりなど、

どこかに行ってしまった・大人たちからしてみれば、

(んあっ


な、けっぺき(潔癖)発言ですが、


 そんな、けっぺき性、ピュアさ、ひけめ、こじれ

タブー

くなん(苦難)

それでもつらぬく・いし(意思)

ドトウの如き、こっぱずかしい・セリフの数々・・

 

それら・王道の品目が

ふじょし(腐女子)の どうこう(瞳孔)をひらかせるポイントなのかもしれないな👀

 

なんて・・

 

ちょっと・べんきょうになりました~

 

 

【おすすめ度: 生臭さが少なく、BL初心者の方でも大丈夫でしょう🔰】

 



(次回「蝉の鳴く小説特集・8」は、角田光代の『八日目の蝉』です

 

 

 
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蝉の鳴く小説・6(近松門左衛門『蟬丸』感想)

2021-10-07 | 本と雑誌

前回取り上げた、『源氏物語』・・

 人妻のうつせみ(空蝉)光源氏が、別れた後、

おうさかのせき(逢坂の関)で すれちがうシーンを

読んでいて、

ある歌が よみがえってきました。

「 これやこの 行くも帰るも別れては 

知るも知らぬも 逢坂の関 」

 

せみまる(蟬丸)の歌です。

 百人一首かるた中、もっとも名前に

インパクトがあって

子どもたちに 人気のある・せみまる、、

 クリンたちも、幼き日

坊主めくりで 

さんざん・楽しませてもらいました

 

せみまるの 

この歌は、

「関所で行き交う人をみていると、それぞれに人生があるんだよね ただすれ違っているだけだけど、、」

という、

ふとした・かんがい(感慨)を 

よんだものですが・・

 

 今も 駅や交差点を 歩いている時

同じ気持ちになることが あるから

なかなか、

ふへん(普遍)性のある・和歌か

存じます

 さて そんな・「蟬丸法師」ですが、

どんな人だかは よくわかってなくて・・

 

わずかに

『今昔物語集』や『平家物語』、能やカブキで 

断片的に 語られるのみ・・。


・天皇の子かもしれない

・逢坂山に住んでいた

・目が見えない

という以外は

てきとう(適当)に そう(創)作されています。

 中でも、いちばん「脚色度」が高いのが

ちかまつもんざえもん(近松門左衛門)

の「蟬丸」ですが、

これが

 蟬丸がすげー女たらしで、妻や浮気相手からの怨念をうけ、

盲目になったところで、勅命により逢坂山に捨てられる

という・・

因果応報の物語

 

だったので、

 おもしろいとは 思うけど、、そんなふうに書くなんて、

近松もんざえもん(門左衛門)って、

せみまるに、何か恨みでもあるのかな

気になりました

 坊主めくりの時、「蝉丸」を引いて、いつも

負けていたとかね

 

 

【おすすめ度:古文が読める方に・・

 

 

(次回は、中山可穂『悲歌』を レビューします 現代の小説です

 

 

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蝉の鳴く小説・5(『源氏物語』箒木・感想)

2021-10-05 | 本と雑誌

 うつせみ(空蝉)・・それはセミのぬけがら。

「仏教的無常観」をも かんじさせる、

この生命の いぶつ(遺物)に、

衣を脱いだ女のイメージを 

重ねたのが、

むらさきしきぶ(紫式部)です

 
彼女の『源氏物語』・・

そこに、「空蝉」という名の、人妻が出て来ることを、

ご存知の方は 多いでしょう。

 

~復習~

 

 主人公・光源氏は、さかりのついた17歳

たまたま泊まった家で出会った人妻「空蝉」に

夜這いをかけ、

その貞操を うばいます。

 うつせみは美人じゃないけど、ものごしに風情があり

たしなみも そなえていたので 源氏は気に入り

(またあいたいな~)と、

気軽に手紙や、使いを送りますが

拒まれます

「すべての女は俺になびく

と 

信じていたのに、、



鼻っ柱を折られた源氏は

業を煮やして 

再び 夜ばいをかけたけど、、

 うつせみは間一髪気づいて寝所から

逃げてしまったのでした。

 

はおっていた衣を 一枚だけ残して、、



(※この衣がセミの抜けがらのごとき・うすものだったので、

彼女は「空蝉」と 呼ばれることになりました


思い出しましたでしょうか?

 うつせみは、きまぐれな源氏の心を

見抜き

(中級貴族の妻にすぎない自分が、遊ばれたのに本気になったら、みんなからバカにされちゃうな・・

と・・

本当は、

若く美しい貴公子に口説かれて 

うれしかったけど

二度目の一線は こえさせないのでした。

 拒否されたことで、かえって・うつせみを

忘れられなくなった源氏は、

数十年後、

尼になった彼女の、生活のめんどう(面倒)を こっそりみる・・

という

大人の親切で むくいます。

 源氏のかりそめの相手となって・忘れられた女たちは

たくさん・いたのに、

一度きりではあったけど、

一生 忘れえない存在になった・うつせみ。。



 去る時に、
本心のかけらともいうべき

衣を のこしていったの

よかったのかも・しれません。

 


そんな・テクニシャンな彼女は 

夫の死後、

「義理の息子」から 迫られたりしているから

(地味だけど、やはり・・男好きのする、何か美味しい魅力をもった女性

だったに ちがいない。。)

 

と・・

千年もの間

読者に もうそう(妄想)を 与えつづけてきました

 『源氏物語』54帖中いちばんのやり手だな

クリンたちが 考えている、とう(登)場人物です

 

 

【おすすめ度:言わずもがな

 

 

(※次回は、近松門左衛門の『蟬丸』のレビュー、いきます

 

 

 

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蝉の鳴く小説・4(横溝正史『空蟬処女』感想)

2021-10-01 | 本と雑誌

 押川春浪(おしかわしゅんろう)

と 同じく、

戦前モダニズムの流れをくむ

ミステリー作家・よこみぞせいし(横溝正史)の短ぺん(編)に、

『空蟬処女』

というのがあります。



 よこみぞ(横溝正史)なのに、ミステリーじゃない

しかも、セミが出てきて鳴くわけでもない・・

 

のですが、

かの大作家の、記念すべき金田一シリーズ・一作目『本陣殺人事件』

言ってみれば、着想の原点にある・旧家のお話

なので

けいい(敬意)を表して

取り上げたく 存じます

 場所は、岡山県、時は、終戦直後・・

という、

「横溝定番」のセットの中に 広がる、

世にも美しい女性の素性をめぐる物語

は、

これといった・ストーリーてんかい(展開)もない、

淡々とした

口伝のごとき・短文なのですが

 作者(横溝正史)があいした、

岡山県の景色の美しさ

品のよ

ぼうとう(冒頭)数ページに きらめいていて

ステキです

  今宵は中秋の名月である。

そして新聞のつたうるところによると、今日はあたかも二百二十日に当たっているという。

しかし、天われら日本人をあわれみ給うたか、軽羅(うすもの)のような雲、空になびいてはいるけれども、台風の余波とてもなく、

まったくお誂え向きのおだやかな中秋名月である。」


から始まって、


 宝井其角の「名月や畳のうへに松の影」という

句につながっていく

日本語のたしかさ

 さすが昭和の作家・・。

そよう(素養)のちがいを

かんじます

 小説の核にいる「謎の美女」は、くうしゅう(神戸大空襲)で

たいへんな目にあい

ぬけがら(頭が少し脱け殻)に なってしまった。

だから、

「空蝉処女(おとめ)」と いうのですが、、

 戦争の時は、日本全国にこんな哀れな女たちがいたことを一筆のこしておきたかった。」


 ・・そんな、大作家の気持ちが 伝わって来ました

 

【おすすめ度: ストーリーがあまりにシンプルすぎるので、

 

 

(※次回「蝉の鳴く小説特集」は、『源氏物語』に出てくる、あの女人(空蝉)を、とりあげます「うつせみ」って言ったら、あの人ですよね

 

 

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蝉の鳴く小説・2(『蜩ノ記』葉室麟・感想)

2021-09-26 | 本と雑誌

長い間、想い合った、ふくと文四郎『蝉しぐれ』の恋人たち

同じような シチュエーションに

おかれながら

プラトニックラブを つらぬき

「主人公らが清廉すぎる」と、林真理子先生に 評された⤵️

という

直木しょう(賞)作が あります。

はむろりん(葉室麟)、『蜩ノ記』です

 ↑

「ひぐらしの記」って読みます

 

シシシシシ・・・・

 時は、江戸後期

舞台は、大分の小藩

主人公は、藩内の抗争でライバルにハメられた お侍です

 

このお侍、

とても有能で 人柄も良く、

民からもしたわれた、武士のかがみたる人物

 

でしたが

主君の側室との不義密通を うたがわれ、幽閉されました。



「家譜の編纂が終わったら、切腹して死ね」

と 命じられ、

主君の家の歴史しらべに あけくれる日々、、

 

本当は、不義密通なんてしていないのに、

うたがわれた相手の「側室」のことを 昔好きで

自分の心を

ちらりと明かしてしまった・・という事実に

責めをかんじ

 

あえて 弁明しないで、

処罰を 受け入れていたのでした。。

(マジメな主人公なのです

 幼なじみの側室との秘めた想い合い
藩内の陰謀と、

それに巻き込まれる不遇の傑物

そして無念は晴らされる⤴️

だけど切ないおわりかた⤵️

 

というのが・・

『蝉しぐれ』(藤沢周平)と 丸かぶりといえば

そうだし

主人公の侍が郡奉行をつとめている

のも、

『風の果て』(これまた藤沢作品)を 思い出したりもするから


(・・作者は、藤沢周平へのオマージュのつもりで書いたのかな?)

いっしゅん、気にはなるものの・・

そこはまあ、どうでもいいんじゃない?

って くらい、

ステキな 言葉の数々が ちりばめられてて、


 いつもの、はむろぶし(葉室節)が 鳴りひびいています

 

(カナカナカナ・・)


 名言1
「この世に生を受けるひとは数え切れぬほどおりますが、

すべてのひとが縁によって結ばれているわけではございませぬ。

縁で結ばれるとは、生きていくうえの支えになるということかと思います。」


(はっ←気づき

 名言2「ひとは哀しいものです。たとえ想いが果たされずとも、生きてまいらねばなりませぬ。

されど、自らの想いを偽ってはならぬと思うております。

そのこと、お許しください。」


(はっ←共感

 名言3「心がけの良き者はより良き道を、悪しき者はより悪しき道をたどる」


(はっ←戒め

 いちばんの名ゼリフは・・

お侍が「不義密通」の ぬれ衣を着せられる

幼なじみの側室との

会話の部分なのですが、

人に教えずに、心の中に しまっておきたい」

しん(親)友チットが 言っているので、

気になる方は 読んでみてください

 

 ちなみに 歴女でもある・うちのチットは、

かふ(家譜)をまとめあげるお侍の、

「起こった事実をできるだけ正確に書き残さねば、意味がない」

というスタンスに、

「まったく、その通り

さんどう(賛同)していました。

 

 

【おすすめ度:わりとマジで

 

(「蝉の鳴く小説特集」 次回は、横田順彌の『蝉時雨』を ご紹介します あまり知られていない作家さんでしょうが、なかなか・おもしろいんです

探偵モノですよ

 

 

 

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蝉の鳴く小説・1(『蟬しぐれ』藤沢周平)

2021-09-23 | 本と雑誌

「蝉のなく小説特集」

と きいて、

10人中・3人は 思い浮かべるのが、

 ふじさわしゅうへい(藤沢周平)の

『蟬しぐれ』では ないでしょうか

 組しき(織)のしがらみや 忍たい(耐)を描き

サラリーマンから「絶大なる支持」を えてきた

時代小説家の、

代表作にして

めずらしく をテーマに 持ってきた、

江戸時代小説

 

それが、『蝉しぐれ』・・

 もちろん おなじみ、うなさかはん(海坂藩)が

そのぶたい(舞台)です。

 

<あらすじ>

 主人公、牧文四郎(まきぶんしろう)は、

藩の抗争で死んだ父の

汚名をそそぐ日を 待ちながら、

剣の修行に励む

若き藩士

 

隣家の娘・ふく

淡い想いを よせあっていました。

 が そのふくに、「殿のお手」が 

ついてしまい、、

(文四郎ショック

 ・・文四郎は、思うままにならない・己が境涯を

辛く思いながらも

牧家復興」のために、

精進し続けます

 ・・苦しくとも、真っ当に生きようとする

文四郎のすがたに、

読者は 心打たれ

価値ある生き方を 見いだす。

 

それは、

「藤沢周平の十八番にして、王道楽土なる物語

ですが、、

 

この物語の「心臓部」は、そういった大筋ではなく

セミがなく、

2つの名シーンにあります。

 

 一つ目は、、切腹した父のいたい(遺体)をはこぶ

10代の文四郎のもとに、

少女ふくが現れ、

いっしょに「梶棒」を 押してくれるシーン

(泣けます

 もう一つは・・

40代となった文四郎とふくが

今生の別れをする、

夏の宿での シーンです。


「お福さま」となった・ふくは、

との(殿)亡き後、

かみを下ろして 尼になる直前に、

文四郎に「会いたい」と 手紙を書きます。

 

自家の再こう(興)を果たし

身分と妻子をえて

安定期に入っていた・文四郎ですが、

ふくにあいます。

 20年ぶりの かいこう(邂逅)を果たした、ふくと文四郎

 

二人が

せみしぐれの中で どんな言葉をかわし、

かわさなかった時を どんな風にすごしたか、、

 

淡々と書かれていますが、

クライマックスです

 

「藩主の側室」だった女性が、

主の死後とはいえ

自分に情をもつ男性と 密会する・・

 

それが

どれほどのかくご(覚悟)をもっての行動であったか

 

ふくと同年配以上の

女性になら

わかるでしょうが・・

 

 けっきょく、再会のこの日が

今生の別れに

なってしまった二人が、

のち、

せみしぐれを きくたびに

どんな想いを めぐらせたか・・?

 

一生分のよいん(余韻)

を もって、

物語は まくを 閉じます・・

 

 

 

【おすすめ度:まあまあ。 

こんだけ・盛り上げておいて、かの名作を「まあまあ」なんてよく言える・・ってお叱りはごもっともですが

小説よりも、NHKドラマが良かったんですよねめずらしく原作を超えていた、内野聖陽×水野真紀のドラマは、ドキドキの逢瀬が映像化されていました

 市川染五郎×木村佳乃の映画版もありますが、「こっちはちょっと・エロさが足りない」って、うちのチットが言ってました~👩

 

次回は、葉室麟の『蜩ノ記』を、レビューします

 

 

 

 

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蝉の鳴く小説特集、はじめます。

2021-09-22 | 本と雑誌

セミの赤ちゃんの話

をしたら、

思い出してしまいました

(・・そういえば、クリン、

去年の夏、

『蛍が出てくる小説特集』してた時、

「来年の夏は『蝉の鳴く小説特集』、やりま~す

とか 

言ったな・・)

 

って。。

 

 もう9月下旬・・季節外れもいいとこ

ですが

今から、やらせていただきます

 

「蝉の鳴く小説の、ブックレビュー」

 

 

(次回、第1回目は、藤沢周平『蝉しぐれ』からスタートです 18冊くらい、取り上げます

読書の秋へ、レッツラゴー

 

 

※お知らせだけなので、今日はコメントらん、お休みします

 

 

 

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るるぶ宇宙

2021-08-21 | 本と雑誌

手持ちの本を ふやさないよう

としょかん(図書館)を利用することも多い

わが家ですが

先日、どうしても欲しい本が 見つかり

買ってしまいました。

るるぶ宇宙』です。

 いわずと知れた・旅行ガイドざっし(雑誌)

『るるぶ』・・

 

が、

来たるべき「民間宇宙旅行時代」に さきがけて出版した

『るるぶ宇宙』は、

 宇宙旅行最前線と旅行プラン 宇宙旅行の心構えとその中身

国際宇宙ステーション

太陽系惑星と月

日本国内の宇宙施設マップ

など

いくつかのコンテンツに分けて、

写真いっぱいに 楽しく紹介していま

(まさに、るるぶの形式で

お風呂にも入れない・宇宙になんか行きたくない🐻)

というのが 

クリンの本音ですが、、


スカイツリーを作った大林組が、月エレベーターの2050年の完成を目指している

とか、

宇宙飛行士の募集は、今年から文系にも門戸が開かれる

とか、

木星の南極は宝石のように青く美しく、しま模様ではない

など、

知らなかった・豆ちしき(知識)も入っていて、


 宇宙研究ムックとしても、グ~(good)な

『るるぶ宇宙』なのでした


コロナか(禍)で

旅行業界は、

あっちもこっちも ひんしのじゅうしょうを

負わされましたが・・・


 さすが、JTB

地球上に見切りをつけ

さっさと宇宙へと 切りかえる

そのすばやさ

おみごとです

 

 

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『JR上野駅公園口』柳美里・感想

2021-08-19 | 本と雑誌

上野こうえん(公園)に 

来たとき

『JR上野駅公園口』という小説が、

去年、「全米図書賞」にかがやいことを 

思い出しました

 

書いたのはゆう みり(柳美里)

「芥川賞」を受しょう(賞)したさい、

かなり・話だいになった

在日かんこく(韓国)人女性で、

五十になっても・前がみ(髪)がかわいい

「永遠の少女」っぷり

なんだか・いつも気にかかる、作家さんです

 このたび、初めて読んだ・彼女の小説

『JR上野駅公園口』には、

上野こうえんにくらす・ホームレスたち

平成令和が、つづられています。

 知らなかったのですが・・

上野こうえんでは、

天皇ご一家が おとずれるたびに、

ホームレスに いどう(移動)を命じる「特別清掃」いうのが 

行われているらしく、

柳さんは、それを取材したおり

(上野のホームレスって、東北から出てきた人が多いんだな。)

と 

気がついたそうです

 そして「そうだ 福島の被災者からきいている

話をあわせて、

2つのかなしみをつなぎあわせた、ひとつの物語を つくろう

って、 

思い立ったらしい。

 ホームレスと ふくしま・・

だれもが 

気にしつつ、、

目をそむけてしまっている

重いテーマでは ないでしょうか・・?

 



小説は、

一人のホームレスの人生をふり返る

「回顧談形式」で すすむのですが

柳さんが

なんかい(難解)なしゅうじ(修辞)を用いないで

平易に書いているので、

かえって、その内容のリアルさが 抽出されています


 苦しくなりがちな・人間もよう(模様)
を、

「上野公園」という、

さまざまな人々が行き来する・ぶたいそうち(舞台装置)の中で、

自然なものとして

描いた、

ゆうみり(柳美里)

 彼女のけいれき(経歴)を見ると、「演劇人」

であったことが わかり、

クリンたち、

(なるほど

と ガッテンしました

 だって、読んでいるとまさにぶたい(舞台)セット

さながらに、

あの、く知る「上野公園」が 立ちあらわれてくる・かんじなのです

 

たてものの高さから

鳥のさえずり

木々の枝葉まで・・

お芝居の「背景画」が、

ズザザザーーーって、一気に 組みあがってくるのです

(さすがベテラン作家ですね

 

 ・・そんな、上野こうえんで見かける・ホームレスたちにも、

当たり前だけど

生んでくれた・おやがいて

ふつうの人生があった日もあり、

いろんなことがおきて、

今・ここに 至っている。。



 柳さんは、しごく・まじめに

この、現代のしょそう(諸相)と 向き合い

今を映す・ひとつの物語を

つくり出していた 

と 

思います

 

しん(親)友のチットは、

・・傷つくことも多い立場の人でもある彼女が、

あえて、切迫感や鋭さ重さを 見せないで、

さらさらペンを走らせているのが

とっても印象的。

・・・

優しい人なんだね

 

述べていました

 

 

(次回も本の話です~

 

 

 

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『天上の花』萩原葉子・感想(春の奥浅草を歩く・25)

2021-05-08 | 本と雑誌

 多くの文化人が 通ったあさくさ(浅草)のしにせ、「神谷バー」

 

そこで、

はぎわらさくたろう(萩原朔太郎)

こんな歌を よんでいます

 

「 一人にて 酒をのみ居れる憐(あは)れなる 

となりの男になにを思ふらん 」

(神谷バァにて) 

 

 

天性のしじん(詩人)

だったけど、

関わる女は みんな・不幸にしていた

はぎわらさくたろう・・

 

 イケメンな彼は、それでも、モテモテでした

 

しかし

そんな・さくたろうに、

さらに、モテモテだった・美人の妹

が いたのを、

ご存じでしょうか

 

 はぎわら・あい(萩原愛子)・・

 

あの「谷崎潤一郎(美女愛好家の作家)」をして「一緒になれるなら妻を離縁してもかまわない

言わしめた、やり手です

 

 こちら、『天上の花』という本には、

彼女の モテっぷり

彼女に ホレすぎて 身をもちくずした 詩人「三好達治」のこと

書かれています。



 書いたのは、愛子のめいにあたる、

はぎわらようこ(萩原葉子。朔太郎の娘ですね

 

さくたろうの「ダメ父ぶり

や、

そのはかい(破壊)された家庭生活

 

さらに

おば・愛子にホレて、家庭を投げ出した

「三好達治という、国民的詩人の醜聞」

まで 

書いたもんだから・・

 刊行時、センセーションを巻き起こした

ゴシップエッセイ、それがこの本です!!

 

 <三好達治 「昨日はどこにもありません」>

 

今日悲しいのは今日のこと
昨日のことではありません
昨日はどこにもありません
今日悲しいのは今日のこと

いいえ悲しくありません
何で悲しいものでせう
昨日はどこにもありません
何が悲しいものですか

昨日はどこにもありません
そこにあなたの立つてゐた
そこにあなたの笑つてゐた
昨日はどこにもありません

 

 存命中から その名を馳せていた詩人、みよしたつじ(三好達治)は、

萩原朔太郎の一番弟子

 

若いころから 

萩原家に出入りしていて、ちょしゃ(著者)にとっても 

大事な人でした

 

 なのに ちょしゃ(著者・萩原葉子)は、

お世話になった・たつじの、

「世にも恥ずかしい・恋愛失敗談」

を、

本の中で、ばくろしちゃったのです

 

 みよしたつじが 愛子に出会ったのは、まだ出世前の

書生時代

そんけい(尊敬)するサクタロウの妹にして

見た目・ドストライク

の 愛子に、

たつじは・・「天上の花」を 見た思いがしました


 だから、けんめいに 申し込みますが、

相手にされず、、

たつじは フラれました

 愛子は、その後、2度けっこん(結婚)し、

23さいで、お金もちと 3度目の結婚


・・・

23さいで、3度目のけっこん(結婚)

 

この事実が、

愛子のどういう・欠点を意味するか

ふつうは わかるはずですが、

盲目な・たつじ(達治)にはわからず、、

 

あきらめないで、

ついに

愛子が 40さいで「未亡人」になったと知ると、行動に 出ます

 

 たつじは妻とムリヤリ・別れ、愛子をくどいて、

いっしょに なったのです 

 

二人は・・

福井県の三国で 10ヶ月すごしますが

もともと・生きる世界が ちがいすぎたため、

すぐ、別れます。

 愛子はこれまで、ぜいたく(贅沢)三昧

・・・

今さら、

たいして・好きでもない男のために

さびしい漁村で 

つましい生活に耐える・・

なんて

できなかったし

 

愛子のふまん(不満)を見抜いた・たつじは

失敗に きずつき 

気も狂わんばかり、、

 

二人は、毎日・ケンカして

ついには

たつじが 愛子を、殴るける・・


 愛子は、たつじを「しみったれの木偶の坊」

呼ばわりし

東京に 逃げ帰る

 

と いう・・

ズタボロな はたん(破綻)を 

むかえたのでした


 そんな・ちわげんか(痴話げんか)が

くりひろげられたのが、

昭和19~20年に かけてなので、

(今、戦争やってるの、知ってる

2人に たずねたくなるのですが・・

 

もちろん

本には、もっと、ソフトに つづられています

 

でも・・

「達治は死ぬまで愛子の長襦袢を

大切にとっておいた。」

なんてことまで

バラされていて、

たつじのめいよ(名誉)が きずつけられたのは

明らかです・・

 

 ちょしゃ(著者、萩原葉子さん)は、 

作家を志すに あたり

たつじから、きびしくしごかれた

と 言います。

 

それを うらんでいたのか・・

 エッセイ・後半でも、「三好達治が如何に気難しく、

強烈な人柄であったか?」

そんな・エピソードを 

延々・したためていて、、

「何かの報復」としか 思えません。。

 

 クリンたち、ミーハーだけど、(これは いただけない、)

と 

思いました

 本人が反ろん(論)できない死後になって

バラすなんて フェアじゃないし

他人から見て

どんなに まちがった・恋愛に 見えたとしても 

 本当のところは、当事者同士にしか 

わからないもので あり、

他人によって 

だんざい(断罪)されたり

ばくろ(暴露)されたり

していいこととは ちがうからです。

 この・ちょしゃ、さすがは「詩人・萩原朔太郎の娘

だけあって、

文才は みとめるけれど・・

 詩人のデリカシーというものは、

おや(親)から うけつがなかったんだなあ・・

 

って、

ざんねんに 思いました

 

 

(・・ちょっとわる口言いすぎちゃったかなあ。。まあいいや 次回、浅草土産のどら焼きを食べて、「春の奥浅草を歩く」を、終えます

 

 

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