クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

岡潔『春宵十話』感想

2022-01-22 | 本と雑誌

 余計なじょうほう(情報)が入らない時間の中で、

ゆるやかにすごす・・

 現代社会を生きる上では、あえて作るべき

「情緒復活タイムですが、、

そんな実かん(感)を、うらづけてくれる・めいちょ(名著)

出会いました。

『春宵十話(しゅんしょうじゅうわ)』

情緒のなんたるか」を教えてくれる、すごい本です!!

 書いたのは、おかきよし(岡潔)。

1901年生まれの、数学者です。

 

「ええー 数学者ぁ~~~ やだあ~話むずかしそう~

と、

 逃げかけたそこのあなた

これは、理系な本ではありません

「夏目漱石」みたいな文章を味わえる、文系のさいこうほう

みたいな本です

 

 

数学オンチなうちのチットが

数学オンチの友だちから

げき(激)オシされて、読みはじめた、『春宵十話』。

 エッセイみたいだし、寝ながら気楽に読もう~ 

なんて、

ページをめくりはじめたところ、

 あまりの内容のこ(濃)さに、

びっくりして おきあがってしまいました

 

~冒頭引用~

 人の中心は情緒である。情緒には民族の違いによっていろいろな色調のものがある。たとえば春の野にさまざまな色どりの草花があるようなものである。

私は数学の研究をつとめとしている者であって、大学を出てから今日まで三十九年間、それのみにいそしんできた。今後もそうするだろう。数学とはどういうものかというと、自らの情緒を外に表現することによって作り出す学問芸術の一つであって、知性の文字板に、欧米人が数学と呼んでいる形式に表現するものである。

私は、人には表現法が一つあればよいと思っている。それで、もし何事もなかったならば、私は私の日本的情緒を黙々とフランス語で論文に書き続ける以外、何もしなかったであろう。

私は数学なんかをして人類にどういう利益があるのだと問う人に対しては、スミレはただスミレのように咲けばよいのであって、そのことが春の野にどのような影響があろうとなかろうと、スミレのあずかり知らないことだと答えてきた。


・・・・・

 

 なんというか、春雨がトタン屋根に落ちて

パタンパタンって音がするのを きいているような、

おだやかな気持ちになる、

語りなんです。

 岡さんはすごい数学者、「多変数複素関数論」という、

何のことだか・さっぱりわからない りろん(理論)で

世界的に  みとめられた先生。

 

あの

ノーベル賞一番手と二番手(湯川秀樹と朝永振一郎)が 

学生時代に ちょうこう(聴講)し、

「物理学の講義より刺激的と お気に入りだったらしい、

 深すぎて・・、もはや数学そのものみたいな、

大学者。

そんな、

数字だけで 日常会話ができてしまいそうな

先たん(端)の人

が、

しっとりとした、心地よい名文を つらつら流し

なおかつ「文化の根本は情緒だ」と 力説するだなんて、

 ちょっと いがいすぎて、完全にやられてしまいます

 

数学できる人って、一般的に合理主義者で、

人の心の機微なんか分からない朴念仁のイメージがあるけど、、

あれは、中途半端な人たちの話なんだね

この人くらいハイレベルになると、それこそ突き抜けて

難問を解くのと同じ感覚なのかな?

やわらかくて複雑な物事の核に、、 近づいていけるんだね。。

 理路整然としながらも、数学者が抽象的な概念を明らかにすることに長けている

というのは、

こういうことなんだね~

 

と、

チットも、深く・かんしんしていました。

 あ、でも、そんなに むずかしい本じゃありません

良いこと書いてあるページに、片っぱしから・折り目をつけたくなるくらい

美しい言葉が 

おりかさなっている本です

 



【おすすめ度:きわめて。

 

 

コメント (26)
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