猫たちの頭の中は単純だが、情報は日々更新される。
5匹の力関係が、また微妙に変わってきたようだ。
すももが2階からおりてくる気配を察すると、
きなこは「敵機来襲! 全員退避ッ!」とばかりに
居間のストーブの下に逃げ込む。
ストーブは頑丈な鉄製で、下には15センチほどの隙間があり、
後方にはれんがを積んだ壁もあって、防空壕というより要塞の趣がある。
ここに入ってしまえば、すももは手の出しようがない。
危険が去るまで、きなこは、ぺったりと身を伏せ、
おかっぱ少女みたいな真面目な顔で隠れている。
すももが、これまたじつに執念深く、きなこを付け狙う。
かごで熟睡しているときなどを見計らって、忍者のごとく
抜き足差し足で忍び寄り、いっきに上からとびかかる。
ただ面白いことに、毛が少々散ることはあっても、双方怪我はしない。
きなこのほうも、決していじけてびくびく暮らしているわけではない。
「警戒警報発令! よぉし、来た来たッ!」
なんとなく、お互い、楽しんでるのか?というふしもある。
きみたちねえ、サバイバルゲームならお外でやんなさい、お外でッ!
黒猫ズは、基本的にのんきな性格で、気まぐれでもある。
珊瑚は、外で何やら(何だかは不明)冒険をしてくると、
帰ってから興奮がおさまらず、他の子につっかかることがたまにある。
きなこは、さんちゃんにくっついていればゴハンにありつける!
という時期をひとまず過ぎたので、むしろさんちゃんを避けるようになった。
真鈴は真鈴で、お姉さんぶってなめてやっているかと思えば、
一転してシャーッと威嚇することもあり、対応パターンが不安定だ。
そもそも真鈴ねえちゃんはお留守のことが多いので、
きなこにとっては、いまだに謎な存在らしい。
さて、位置的に微妙なのは茶々姫。
きなこと茶々、どちらも野性味が一番強いと言われるキジトラだが、
きなこは野良猫あがりで、用心深さとしたたかさを兼ね備えている。
お茶々のほうは、やや洋猫混じり(お母さん猫が雑種)のためか、
フレンドリーで甘えっ子、しかも根っからの飼い猫で苦労知らず。
で、この2匹、どうなるかなあと見ていたら、
茶々は、意外とあっさりきなこを容認してしまった。
嫉妬から過激な攻撃行動に走るすももとは対照的である。
容認されると、きなこは、とたんに強気に出る。
きなこのほうから茶々にちょっかいを出すシーンもたびたびある。
茶々は反撃も抗議もせずおとなしい。
(あれえ? すももに負けるきなこが最下位かと思ったら、
そのすももより強い茶々に、きなこは勝ってるのか?)
ゴハンを食べているとき、きなこの姿が視界にちらちらすると、
茶々は、さりげなくお皿をゆずって退散する。
そして、あとでヒトの食卓にあらわれてすわりこみ、
爪つきの「くれくれ攻撃」で迫り、強奪する。
(あれえ? きなこに負ける茶々は、ヒトより強いのか?)
バランスのとりかたにも、いろいろある。
毛色から性格まで、同じ猫は1匹もいない。
ガリガリのやせっぽちだったきなこは、
半年たって、すっかりふくふく猫になった。
上から見ると胴体部分がほとんど長方形に近い。
どこをさわっても柔らかい。
抱くとずっしり重たい。
いつまでもおとなしく抱かれている。
なんとなく、豆シバの子犬みたいな感触でもある。
毎日、猫の観察ばかりしている閑猫も
ずいぶんひまだなあと思われることでしょうが、
いえいえ、わたしは毎日こういうことに忙しいのですよ。
5匹の力関係が、また微妙に変わってきたようだ。
すももが2階からおりてくる気配を察すると、
きなこは「敵機来襲! 全員退避ッ!」とばかりに
居間のストーブの下に逃げ込む。
ストーブは頑丈な鉄製で、下には15センチほどの隙間があり、
後方にはれんがを積んだ壁もあって、防空壕というより要塞の趣がある。
ここに入ってしまえば、すももは手の出しようがない。
危険が去るまで、きなこは、ぺったりと身を伏せ、
おかっぱ少女みたいな真面目な顔で隠れている。
すももが、これまたじつに執念深く、きなこを付け狙う。
かごで熟睡しているときなどを見計らって、忍者のごとく
抜き足差し足で忍び寄り、いっきに上からとびかかる。
ただ面白いことに、毛が少々散ることはあっても、双方怪我はしない。
きなこのほうも、決していじけてびくびく暮らしているわけではない。
「警戒警報発令! よぉし、来た来たッ!」
なんとなく、お互い、楽しんでるのか?というふしもある。
きみたちねえ、サバイバルゲームならお外でやんなさい、お外でッ!
黒猫ズは、基本的にのんきな性格で、気まぐれでもある。
珊瑚は、外で何やら(何だかは不明)冒険をしてくると、
帰ってから興奮がおさまらず、他の子につっかかることがたまにある。
きなこは、さんちゃんにくっついていればゴハンにありつける!
という時期をひとまず過ぎたので、むしろさんちゃんを避けるようになった。
真鈴は真鈴で、お姉さんぶってなめてやっているかと思えば、
一転してシャーッと威嚇することもあり、対応パターンが不安定だ。
そもそも真鈴ねえちゃんはお留守のことが多いので、
きなこにとっては、いまだに謎な存在らしい。
さて、位置的に微妙なのは茶々姫。
きなこと茶々、どちらも野性味が一番強いと言われるキジトラだが、
きなこは野良猫あがりで、用心深さとしたたかさを兼ね備えている。
お茶々のほうは、やや洋猫混じり(お母さん猫が雑種)のためか、
フレンドリーで甘えっ子、しかも根っからの飼い猫で苦労知らず。
で、この2匹、どうなるかなあと見ていたら、
茶々は、意外とあっさりきなこを容認してしまった。
嫉妬から過激な攻撃行動に走るすももとは対照的である。
容認されると、きなこは、とたんに強気に出る。
きなこのほうから茶々にちょっかいを出すシーンもたびたびある。
茶々は反撃も抗議もせずおとなしい。
(あれえ? すももに負けるきなこが最下位かと思ったら、
そのすももより強い茶々に、きなこは勝ってるのか?)
ゴハンを食べているとき、きなこの姿が視界にちらちらすると、
茶々は、さりげなくお皿をゆずって退散する。
そして、あとでヒトの食卓にあらわれてすわりこみ、
爪つきの「くれくれ攻撃」で迫り、強奪する。
(あれえ? きなこに負ける茶々は、ヒトより強いのか?)
バランスのとりかたにも、いろいろある。
毛色から性格まで、同じ猫は1匹もいない。
ガリガリのやせっぽちだったきなこは、
半年たって、すっかりふくふく猫になった。
上から見ると胴体部分がほとんど長方形に近い。
どこをさわっても柔らかい。
抱くとずっしり重たい。
いつまでもおとなしく抱かれている。
なんとなく、豆シバの子犬みたいな感触でもある。
毎日、猫の観察ばかりしている閑猫も
ずいぶんひまだなあと思われることでしょうが、
いえいえ、わたしは毎日こういうことに忙しいのですよ。