閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

サンゴロウの絵について

2010-12-15 23:39:31 | Q&A

サンゴロウの絵についてのご質問をまとめました。
回答は、描いた人です。(ちょっと長いです!)

◆直美さんから。

>私がサンゴロウシリーズに惹かれたのはなんと言っても表紙でした。
>かっこいいサンゴロウと海のモチーフに釘付けでした。
>表紙では『ほのおをこえて』とドルフィンの『光のカケラ』が特に好きです。
>ドルフィンシリーズはサンゴロウシリーズよりも絵具がしっかり塗ってあるように
>見えるのですが、それぞれどんな画材で描かれているのでしょうか?

『旅のはじまり』が1994年7月出版なので、絵のほうは、
正確には覚えていませんが、その年の春ころに描いたのだったと思います。

最初の表紙のイメージはもっとシンプルなスッキリした物でしたが、
シンプルすぎるのでは、という出版社の意見で今の方向になりました。
少しクラシックで木のレリーフのようなイメージで、
周りにあれこれ海的な物を楽しんで描きました。

ところが絵として完成したのですが、本の表紙として、
タイトルや装丁という意識で見ると、”楽しんで”という部分が多すぎ、
どうもごちゃごちゃと多く描きすぎてうるさい、という気がして、
ひとつ消し、ふたつ消し……ようやく今の形になりました。
せっかく描いたのに、という気持ちもありましたが、
大局的判断で消しました。

調子良く筆が動いたり、気分が乗るのは良いことなのですが、
時々後ろに下がって、客観的に見ることも大事と反省しました。
ですから原画を見ると、ホワイトで絵を消した跡がずいぶん残っています。

以後、2巻からは、1巻のイメージをさらに広げたり、
ちょうどフランスの小さな島に行ったりして仕入れた、
昔の港町の雰囲気を心がけました。

ドルフィンシリーズは、出版社も違うこともあり、
サンゴロウとは意図的に変えた表紙にしました。
サンゴロウはスミ線に淡彩ですが、ドルフィンは
絵の具で地色を塗った上に描いています。
絵の具はどちらもアクリルガッシュです。

(閑猫記:ドルフィンについてはまた別にまとめますね)


◆美雪さんから。

>この原画は画用紙にペンでお描きになっているのですか?
>どれぐらいの大きさで描かれているのでしょうか?

線の部分はサクラのピグマペン(0.1~1.0)で描いています。
普通の付けペンやロットリングより自分には合っているようです。
紙はごく普通の画用紙(ミューズ社のサンフラワー170)です。
印刷で縮小するため、いつもだいたい1.2倍くらいに描きますが、
勢いもあり、もっと大きくなることもあります。

   ← ピグマペンその他


>サンゴロウは他の姿が考えられないくらい、絵がぴったりだと思うのですが、
>画家さんに対してあらかじめ指示とかお願いをした部分はありますか?

ほかの原稿の場合もそうですが、いただいた原稿を読むと、
絵が頭の上30センチくらいに出てきます。
それをうまく、手と画材を伝って紙の上に導き出します。
ですから指示とかはないのですが、文を書いた人の気持ちが
そのまま出ているのだと思います。

「キング・クリムゾンという音楽がうまれると、
キング・クリムゾンというバンドが、その音楽をプレイする」
とロバート・フィリップは言っておりますが、
サンゴロウという世界がうまれた時、サンゴロウはできていたのです。

  注:キング・クリムゾン
  イギリスのプログレッシブ・ロックバンド。
  1969年アルバム「クリムゾンキングの宮殿」で、
  当時アルバムチャートの1位だったビートルズの
  「アビーロード」を蹴落とし戦慄的にデビュー。
  何枚かアルバムを出すと解散、再結成を繰り返し今に至る。

文章に書かれたことの表面的な説明として物を描写して描くのではなく、
現実との離れ具合を,白地の空間のなかで感じてもらえればと思っています。

ペン先が紙の表面にタッチしたあと、描く(なぞる)のではなく、
そのなにもないサンゴロウの世界に色を置いていく、
あるべきところに、あるように、しているだけなのだと思います。

ムーミンのトーベ・ヤンソンさんのペン画は
非常に色彩豊かで大好きですが、ヤンソンさんも、
ものすごくしっかり、心の中に世界ができているのだと思います。



閑猫記:

最初に「かっこよく!!」ってお願いした記憶はあります(笑)
あとは、おまかせです。
1冊出来上がるまで、ものすごくドキドキでした。
ちょっとギャグの入っちゃった絵が、10巻の中に1枚だけあって、
それははずしてもらったかなあ。

 

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立ち読み

2010-12-15 16:51:14 | お知らせ(いろいろ)

先月出た絵本『ちょうどいいよ』(佼成出版社)が
絵本ナビというwebサイトで
「全ページ立ち読み」できるようになりました。

まず「絵本ナビ」のメンバー登録をして、
メールアドレスとパスワードでサインインして、
タイトル検索で『ちょうどいいよ』の紹介ページに行って、
「全ページ立ち読み」のボタンをクリックしていただくと、
表紙から裏表紙まで、全部めくって見ることができます。
ただし「1回だけ」です。

ネット上での絵本の「全紹介」は、作り手側でも賛否あるようです。
でも絵本1冊って、なかなかお安いものじゃないですし、
表紙とあらすじだけで買うのは、ちょっとリスクが高い。
手に取って、ぱらぱらっとでも中を見てからでないと。
しかし、すべての書店にすべての絵本が常備してあるわけではないし、
忙しい人には書店めぐりをしている時間もないし。
「中身がわからないから、やめとこう」…っていうよりは、
おうちのパソコンで見て検討できるシステムになってるほうが、
少しでもチャンスが増えるのではないかしら。

で、自分で「立ち読み」体験してみました。
なーるほど。
パソコン画面の中での見開きなので小さいけれど、
文字はけっこうはっきり読めます。
ページ移動も「めくる」のに近い動きで、
ちょっと速すぎる感じはありますが、違和感は少ないですね。
でもでも、これは、あくまでも立ち読み。
内容を確認できるという、便利な、それだけのもの。
これで見ちゃったら本が売れないじゃないかー、
というようなものではない。
(ちょっと安心した)
そして、これで見た上で購入してもらえたとしたら、
それはほんとに気に入られてその人の元に行けた、ということ。

「電子書籍の脅威」という、宇宙人が攻めてくる的な話題を、
子どもの本の世界でもひんぱんに耳にするようになったのですが、
なめたりかじったり破ったり放り投げたりする年齢の子どもの本は、
少なくとも、そう簡単には電子化できないだろう、
というのが、わたしの楽観的な予想であります。
絵本が「子どものさわっちゃいけないもの」リストに
入るようになったら、それはもう末期的だから、
わたしは引退しても、いいや。

 

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トラックのかきかたについて

2010-12-15 10:31:47 | Q&A

◆小1男の子くんから。

>まもるせんせーは、ぶるどーざーとか とらっくとかを かくときに
>どこから、かきますか。ぼくは、たいやから かきます。

ああ、とてもよいご質問ですねえ。
では、せんせー、おねがいします。

「うーん…いつも手が勝手に動いて描いてるから…
あらためて考えると、わかんないな。
タイヤからじゃ、ない、と思うけど…」

ということなので、実際に描いていただきましょう。
クレーンつきトラックです。

    「うん、まず、ここからだね」(←右利きの人)

    「屋根と窓をかいて」

    「前のタイヤかいて、荷台かいて」

    「後ろのタイヤでしょ」

    「クレーンつけて、出来上がり」


なるほど。では、パワーショベルはどうでしょうか。

    「あ、これはキャタピラが先か」(←自分で気がつく)

    「運転席かいて」

    「アームかいて」

    「ブームとバケットかいて」

    「こまかいとこかいて、出来上がり~」

ということでした。
男の子くん、わかりましたか?

 

ご質問リクエスト受付中→こちら

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Black on black

2010-12-15 10:12:34 | 日々

黒猫が2匹で寝ている写真を撮ると、
当然のごとく、何が何だかわからないのであった。

すごい雨が降って、翌日はすごい暖かくなって、
それからすごい風が吹いている。

《そして俺ときたらいつもこのごろになると
何かやり残したよなやわらかな後悔をする》
(SION『12月』より)

児童出協の新刊情報誌「こどもの本」1月号の
「私の新刊」というページに、田中六大さんが
『ねこやのみいちゃん』について書いてくださってます。
お写真に猫のヒゲがあるので、
「写真にラクガキしたのですか?」とおたずねしたら、
「顔に直接描いたんですよ! アクリル絵の具で」とのこと。
あはははは。
耳もつければよかったのに~。
猫さんも抱いて撮ろうとしたけど逃げられちゃったんだそうです。

質問リクエストをたくさんありがとうございます。
順次掲載していきますので、しばらくお待ちくださいませ。


 

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