閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

音楽について

2010-12-18 10:47:13 | Q&A

◆鍵盤屋さんより。

>『星とトランペット』など一連の「楽器登場作品」で
>使われている音楽にはモデル(既存音楽)さんがいますか?
>それともそのころから「お手製音楽」が脳内再生されていたのでしょうか?

うわぁ。
プロの鍵盤屋さんからのご質問なので、緊張します…。

『星とトランペット』という短編集は、のちに追加した3篇を除くと、
だいたい高校から大学在学中に書いたものです。
大学というのが、じつは幼児教育の分野だったので、
まず入試の二次選考にピアノとお歌の実技がありまして…

うちにはピアノがなかったし、わたしは電子オルガンを
ちょこっと習っただけで、ピアノは全然弾けなかったんですね。
それで、みんなが受験勉強の追い込みで必死になっている時期に、
音楽教室の空き部屋を借りてピアノの「自習」をさせてもらっていました。
音楽科じゃないので、バイエル程度でOKなんですけど、
どうせならソナチネくらい弾けないかなと…(←ここが意味不明)

で、大学に入りましたら、全員ピアノが必修で、
2~3週間に一度ですが個人レッスンもあるし、
ピアノの他にも声楽とか、和声学とか、器楽合奏とか、
えーっとオルフ・シュールベルク理論とか?(←忘れました)
練習室は出入り自由で、1日中弾いてても文句言われないという、
とても恵まれた環境だったわけです。
そこで、講義の空き時間があると、図書館などに行くかわりに、
練習室にもぐりこんでピアノを弾き散らかし、
飽きるとピアノのふたの上で何かこそこそ書いてたり…。

たぶん、本格的に書いて投稿など始めた時期と、
ピアノの練習をしていた時期がちょうど重なったため、
文字と音符が頭の中でごちゃ混ぜになってしまい、
切り離して考えられなくなった、のでしょう。

ですから、作品に出てくる音楽にモデルさんがいたとしても、
それは具体的に誰の何という曲ではなくて、
「音楽」という漠然としたカテゴリーに属するイメージにすぎません。
つまり文字列の中に「音符マーク」が混ぜてあるような感じ。
木苺通信の「秋のソナタ」にしても、実際に頭の中で鳴るのは
最初の1小節くらい(しかも右手だけ)なので…
誰か続きを弾いてください(笑)

そのへんは、船に15分乗れば確実に酔っちゃうような人が
船乗り猫さんの話を書きたがるのと同じ原理かもしれない。
つまり、届かないものだからこそ、あこがれることができる。
現実に手にできないものを、想像で作り上げようとする。
これほど強力な「動機」はありません。


あ、いま思い出した!
それよりずっとずーっと前、小学生のときに、一度だけ、
コンサートに連れて行ってもらったことがあります。
夏の夜でした。
遊園地内の野外音楽堂みたいなところ。
オーケストラ…だったと思うけれど、
曲目は何だったかひとつも覚えていません。
ただ、金色の楽器が照明にきらきら光って、とてもきれいでした。
帰り道、空には天の川がいっぱいにひろがっていて。

「星とトランペット」という400字詰わずか13枚のおはなしは、
そのときのことを元にしてつくったものです。
どう考えても、書くまでに、10年くらいは間があるわけで。
なんというか、じつに「物持ちの良い」子どもでありました。

 
 
 

 

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コメント
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