絵本『なまえのないねこ』のスウェーデン語版が、このほど2021年度ピーターパン賞の選考で、次点にあたるシルバースター賞に選ばれました。
ピーターパン賞というのは、IBBYスウェーデンによって2000年に設立され、毎年「スウェーデンの子どもと若者の本の世界を広げ、豊かにする翻訳本」に対して授与されるものだそうです。
『なまえのないねこ』は、「スウェーデンであまり知られていない著者」「あまり一般的でない国、言語、文化」という基準にあてはまって、候補10作にノミネートされました。
飼い主のいない猫が外をうろついているということ自体が、スウェーデンから見れば異文化かもしれませんし、背景の町並みは「東京風景」として読者の目に映ることでしょう。(←おおまかにトーキョーで間違いではないと思う。一部キョート系も混ざっているけれど…笑)
この絵本の「日本らしさ」をしっかり生かしつつ、スウェーデンの読者にも届きやすい形で翻訳してくださった高橋麻里子さん、ありがとうございました。
今回ピーターパン賞に選ばれた作品は中国の作家、もう1冊のシルバースター賞はドイツの作家、どちらも日本ではまだ翻訳されていないようですが、ぜひ読んでみたいです。
世界にはさまざまな国があり、言語があり、文化があり、物語がある。それは、誰もが子どものうちに、できれば学校の地理や歴史で教わる前に、知っておきたい大切なことのひとつ。
その国に一度も行ったことがなくても、たとえばスウェーデンと聞けば即座に「あのピッピの? カッレくんの? ロッタちゃんの?」と、なつかしいお友達の名前が次々と出てくる…そんな人は少なくないはず。子どものときに夢中で読んで楽しかったという、それだけのことで、その国の印象はぐっと身近なものになり、もっとよく知りたい、理解したいという気持ちにつながるのではないでしょうか。
(わたしは、ロシアや東欧の文学に接することなく育ってしまったのが、いまにして思えば残念でなりません)
日本でも、あまりなじみのない国々の児童書を紹介する機会が、たくさんあるといいなと思います。
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