前々回の熊蜂の話のつづきです。
熊蜂は刺さないのに、なぜ一般に獰猛だと思われているのか。
これが、どうやら「蜜蜂マーヤの冒険」という名作童話のせいらしい。
ドイツのボンゼルスという人が書いたものですが、
(古くは大正末期に「摩耶子の冒険」として邦訳が出ています!)
この物語に蜜蜂の敵として登場するのが、凶悪な雀蜂集団。
これを、誰かが「くまんばち」と訳し、
挿絵にも恐ろしげな「黒い熊蜂」が描かれていたため、
多くの子どもたちの頭に刷り込まれてしまった、と。
また、わたしは見ておりませんが、アニメ「みなしごハッチ」にも
悪役として「くまんばち」が出てくるエピソードがあったとか。
うーん。
たしかに、名前は雀より熊のほうが怖いですからね。
(一説によると、雀蜂を「くまんばち」と呼ぶ地方もあるそうです)
子どもの頃に読んだものって、けっこうよく覚えているので、
うっかりしたことを書いてはいけません。
(あ、「作り話」はいいのよ。マシュマロが畑でとれたって、
猫がお手伝いさんになったって、何でもありですから・・笑)
もうひとつ、よくある誤解に、
「渡り鳥の群れは賢いリーダーに率いられている」
というのがあるのだけれど、これはどうも
スウェーデンの作家ラーゲルレーヴの書いた
「ニルスの不思議な旅」の影響・・のような気がする。
こちらも初訳は戦前と、古いです。
あと、前にも書いた「あらいぐまのラスカル」の
「カラスは指輪を盗んで隠す」という習性。
これはまったくの誤解というわけではないけれど、
日本のカラスの話ではない、という部分が抜け落ちている。
上記3点は、わたしもしっかり読み、
しっかり間違っておぼえ、ずっと信じていたことで、
あとになって「え? 違うの?」と驚きました。
しかし、まだ間違いに気づいていない間違いも、
もしかしたら、あるかもしれないですね。
と、考え始めたらちょっと心配になってきた。
べつに名作のあらさがしではありませんが、
昔読んだ童話の知識で「これは嘘だった!」とか、
「これはホントなの?」というのが他にありましたら、
ぜひ教えてください。
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あ、そうだ。
いちばん有名なのは「熊に会ったら死んだふりをする」。
これはイソップ寓話が誤解の元でしょうね。
本来は、熊に出会ったときの対処法ではなくて、
「真の友」の判別法についての話なのに、
なぜかみんな「死んだふり」だけ覚えているという・・(笑