水面を破壊せよ、上へ昇って

勢いよく水面を破壊する気概で、海面に湧く言葉たちであれ。

せめてもの嘘

2017年02月08日 01時41分02秒 | 詩編
僕らのささやかな嘘にまみれた日常でさえ  春の雪解け水のように淡く宇宙(そら)へ消えた  そんな思い出だったんだろう  代えの利かない人生なんてのは  匿名の無頼漢の瘡蓋のように物質から、いつかは剥がれて  真っ黒な個体になって           朽ちるさ… . . . 本文を読む

星泣く世

2017年02月08日 01時07分37秒 | 震災詩篇
 時を選ばずして   熱いものが    目から溢れ出る  海は   かつて    あの堤防を越えてきた  ああ!  それらは全く同じことだ   僕らを載せて廻るあの青い星も  耐えがたきを耐えて、叫んだんだよ きっと  星だって 泣くのに  僕ひとりで泣いてるように思ってたなんて    僕はとんだバカだよね… . . . 本文を読む

見つけられない透明の谷間

2017年02月07日 22時41分32秒 | 詩編
 見つけられない  ない  ないもの尽くしの  生活だ  誰も  感知することのない  絶望の川が  流れる谷間だ  良き計らいを  願うなら  身の丈を知って  善行から積もう  ここは誰にも  見つけられない場所  そんな静謐が  僕の孤独を癒やす  ひとつの縁(よすが)です . . . 本文を読む

正しいことの罪

2017年02月07日 21時28分31秒 | 詩編
 体を利用する  と  いう僕らの観念は  いとも  簡単に覆される  うっかり  身体を使う  という概念を  主体の選択が生産したものなどと  いう幻想は  捨て去ってしまうべきだ  僕らは  何かを正しいと価値判断を済ませてから  行動を起こしているのではない  精神的マグマの有り様によって  行動の動機が決定されるのだ  僕らには、正しいこととは何かを解明できるほどの怜悧さは与えられ . . . 本文を読む

言葉の落ちゆく傍らで

2017年02月04日 20時11分16秒 | 詩編
僕は火を点けたい 彼方へ去ろうとする我が精神に 先刻天国に上った高邁なる精神さえ 日常という戦の終幕を見届けることなく この地上から旅立ったのだ 「自由」を追求した果てに 訪れたのは空しさだった。 (或いはそれ以上の空疎な願望の死滅そのものであった! 異形の者に対する心情の理解なんて後回しでいい… それ以上にそれへの無理解が残っている . . . 本文を読む

欲望について

2017年02月04日 09時04分16秒 | エッセイ
欲望を亡きものにしようとする計画は、常に失敗に終わる。 第一に欲望とはわれわれの行動の原因であり、よき指針を示しうるものであるからだ。 そういう意味で欲望を是認したとき自由でありうるのだし、それを否定したのではすべてが行き詰まってしまう。 では、なぜ欲望のまま生きてはいけなく、その時理性が必要とされるのだろうか? 理性は欲望を消すのではなく、檻にそれを一旦閉じ込めるだけのものと見てよい。熊 . . . 本文を読む

昨日の痴情の後先

2017年02月04日 06時05分54秒 | 詩編
昨日の予定が、螺旋状の階段を 静かに降りてゆくのです。 あなたはそれを耳にすることができますか? 時に撥ね飛ばされた欲望が 双六の上がりまで待てずに ムズムズしています。 高くそびえる高島屋タイムズスクエアも 同様に忍耐し難い様子でございますねえ さあ、有りふれた妄想に引導を渡すために 朝に吠えよ! 眠れなかった青年の痴情の代わりに。 何も見つけられないとしても . . . 本文を読む

あれは夢なんだろう、いじけたままで放り投げた未来などというのは

2017年02月04日 05時13分10秒 | 詩編
国道沿いの桜が夢のように散ってゆく 淡い未来の陽光が海へ当たって 散り散りに飛んでゆく(或いは潜る) 僕らは、知らない 君の未来も 僕の未来も ただあるのは、昔の夢だけ 未来に投げ捨てられるはずだった悲しい種子 光は道標となる、幼いその意志にとっての 車を飛ばし、窓を開ければ、その夢がまた目に挨拶してくる「お変わりないですか?」と、 白々しいとは分かって . . . 本文を読む

君と会える日常

2017年02月01日 18時29分38秒 | 詩編
己の足が信じられなくて歩けない 夢の深さがまるでぬかるみのようで進めない 景色の向こうで白む街の風景が風景画みたいで動かない がんぜない声を聞いた 確かにそれは妖精だった ありふれた日常を舞う妖精だった 時を滑るように飛んでくるその艶やかな影は 僕の頭上を飛び回って 明日の穏やかな空を暗示した ささやかなる天恵だった 典型なる天啓でもあった 僕は安心した そして東の空に    君は昇った . . . 本文を読む

夢が夢なら会うまでの愛

2017年02月01日 03時05分41秒 | 詩編
 理解を超えた地平で  笑顔をこぼす君の無邪気が美しい  世界の枠を踏み越えた次元で  鳴らされる音楽が麗しい  夜会の常軌を逸した密度で  行われる営為が芳しい  たびたび訪れる歓喜を  君と分かち合いたい、ただそれだけ。 . . . 本文を読む