僕らのささやかな嘘にまみれた日常でさえ
春の雪解け水のように淡く宇宙(そら)へ消えた
そんな思い出だったんだろう
代えの利かない人生なんてのは
匿名の無頼漢の瘡蓋のように物質から、いつかは剥がれて
真っ黒な個体になって
朽ちるさ… . . . 本文を読む
時を選ばずして
熱いものが
目から溢れ出る
海は
かつて
あの堤防を越えてきた
ああ!
それらは全く同じことだ
僕らを載せて廻るあの青い星も
耐えがたきを耐えて、叫んだんだよ きっと
星だって 泣くのに
僕ひとりで泣いてるように思ってたなんて
僕はとんだバカだよね…
. . . 本文を読む
見つけられない
ない
ないもの尽くしの
生活だ
誰も
感知することのない
絶望の川が
流れる谷間だ
良き計らいを
願うなら
身の丈を知って
善行から積もう
ここは誰にも
見つけられない場所
そんな静謐が
僕の孤独を癒やす
ひとつの縁(よすが)です . . . 本文を読む
体を利用する
と
いう僕らの観念は
いとも
簡単に覆される
うっかり
身体を使う
という概念を
主体の選択が生産したものなどと
いう幻想は
捨て去ってしまうべきだ
僕らは
何かを正しいと価値判断を済ませてから
行動を起こしているのではない
精神的マグマの有り様によって
行動の動機が決定されるのだ
僕らには、正しいこととは何かを解明できるほどの怜悧さは与えられ . . . 本文を読む
僕は火を点けたい
彼方へ去ろうとする我が精神に
先刻天国に上った高邁なる精神さえ
日常という戦の終幕を見届けることなく
この地上から旅立ったのだ
「自由」を追求した果てに
訪れたのは空しさだった。
(或いはそれ以上の空疎な願望の死滅そのものであった!
異形の者に対する心情の理解なんて後回しでいい…
それ以上にそれへの無理解が残っている . . . 本文を読む
欲望を亡きものにしようとする計画は、常に失敗に終わる。
第一に欲望とはわれわれの行動の原因であり、よき指針を示しうるものであるからだ。
そういう意味で欲望を是認したとき自由でありうるのだし、それを否定したのではすべてが行き詰まってしまう。 では、なぜ欲望のまま生きてはいけなく、その時理性が必要とされるのだろうか?
理性は欲望を消すのではなく、檻にそれを一旦閉じ込めるだけのものと見てよい。熊 . . . 本文を読む
昨日の予定が、螺旋状の階段を
静かに降りてゆくのです。
あなたはそれを耳にすることができますか?
時に撥ね飛ばされた欲望が
双六の上がりまで待てずに
ムズムズしています。
高くそびえる高島屋タイムズスクエアも
同様に忍耐し難い様子でございますねえ
さあ、有りふれた妄想に引導を渡すために
朝に吠えよ! 眠れなかった青年の痴情の代わりに。
何も見つけられないとしても
. . . 本文を読む
国道沿いの桜が夢のように散ってゆく
淡い未来の陽光が海へ当たって
散り散りに飛んでゆく(或いは潜る)
僕らは、知らない
君の未来も 僕の未来も
ただあるのは、昔の夢だけ
未来に投げ捨てられるはずだった悲しい種子
光は道標となる、幼いその意志にとっての
車を飛ばし、窓を開ければ、その夢がまた目に挨拶してくる「お変わりないですか?」と、
白々しいとは分かって . . . 本文を読む
己の足が信じられなくて歩けない
夢の深さがまるでぬかるみのようで進めない
景色の向こうで白む街の風景が風景画みたいで動かない
がんぜない声を聞いた
確かにそれは妖精だった
ありふれた日常を舞う妖精だった
時を滑るように飛んでくるその艶やかな影は
僕の頭上を飛び回って
明日の穏やかな空を暗示した
ささやかなる天恵だった
典型なる天啓でもあった
僕は安心した
そして東の空に
君は昇った
. . . 本文を読む
理解を超えた地平で
笑顔をこぼす君の無邪気が美しい
世界の枠を踏み越えた次元で
鳴らされる音楽が麗しい
夜会の常軌を逸した密度で
行われる営為が芳しい
たびたび訪れる歓喜を
君と分かち合いたい、ただそれだけ。 . . . 本文を読む