時おり
頷く君に問う
「世界の本質は何いろしてる?」
「それはあなた、真しろのインク。」
ふたつめに問う
「世界の本質はどんな音いろ?」
それはねあなた、真っ青なリスの呻く声。
みっつめには
「世界の本質はどんな香り?」
それはねあなた、真っ茶色の湯気の淫らな香り。 . . . 本文を読む
論理性を高めたって
スカイツリーの目指した空の先へ
行けるの? ぼくら
ロープウェイにぶら下がった文明の欲望を
空に飾りつけることからはじめよう
理屈を畝に並べて植え込んでいって
実る赤や黄色の真実に近づくために
踊ろうよ . . . 本文を読む
分裂した 記憶と 記憶を
再び繋ぎ合わせるとき
発生する白の電流は
あなたの本性を
暴き出す性質を持っている
外は カラカラの空っぽな空間
身じろぎひとつで大風を起こせるほどに
空間と空間が密集している
頭から被った
本能のレースの端っこを
唇で噛んで
世界をゆっくり
ひっくり返した
あなたとふたり
. . . 本文を読む
僕ら 見つめ合った
ふたつのガラス窓越しに
外は 雪が 降っていた
止まらぬ 夏の追い上げに
冬は 困り顔をしていた
このエリアは
冬も 夏も 混ざり合うようにできている
僕の意識の在りようを
真似ているようだ
砂を噛むように
耳に入ってきた
君のヒソヒソ呟く声も
宇宙の彼方で
煙みたく消えた
広げていたね
宇宙の暗さを . . . 本文を読む
高層ビルの飾らない対話に
青風吹いて、あの娘の髪も揺らしたら
透明に映える都会の夕日も妬けるだろう
「永遠」を溶かして、頬張るアイスクリームに
絡めるソースは雪の味
打ち上げた刹那の生命を
見上げるなら
この夏は
滝のように
我が身を打ちつける
試練の愛によく似ている
. . . 本文を読む
僕は
僕の速さで
行くだろう
雲に遅れず
風を追い抜かず
別れを惜しんでも
後悔なんてしない
これからの永い
永い旅路を思うなら…
何を思い患うことがあるだろう
僕らははじめから狂いをインストールされている
正確になるために
芳しい心のスピードで
僕はこの人生を消費する
それがおそらく
後にも先にも
僕を人間らしくする . . . 本文を読む
幸せの音は
かくのごとし
何かを喪失した瞬間の
キーを落とすような音
神の許可も得ず
深く潜っていった
意識の深層
僕という遥かなる独自性
その奥へと繋がるトンネルを
冷えた鉄路で進んでいく
呼吸をするように
言葉を紙に書きつけて
永遠なんてのに
アクセスする
その向こうに
冷笑する
美しいビーナスの歌声が . . . 本文を読む
皆んなが平和をこいねがうとき
それは皆んなで食卓を囲むとき
湯気たつ白米を箸でつかむとき
意味なく顔を見合わせ笑うとき
すべての想いに人類がアクセスするとき
流す涙と流す汗が太陽のもとで最も尊く
見えるとき、それが僕らの幸せなとき
遠く朝日が昇って
僕らの顔を照らすとき
核融合のパワーは
僕らの手には負えない
あれだけ遠い関係性で
十分なんだと
. . . 本文を読む
両目を閉じて
泣いている
朝が
オレンジを
抱いている
走り続けた
タフな
暗闇が
今日こそ
ゴールテープにたどり着こうと
足掻いている
そんな息急くレースの結末は
終わりのない銀河の子守歌
遠く産声は真空の闇をつんざいて . . . 本文を読む