遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

堆朱花鳥文箱(村上堆朱)

2022年02月17日 | 漆器・木製品

これまで、中国の堆朱を紹介してきましたが、今回は日本の堆朱です。

18.0㎝ x 24.4㎝、高 5.5㎝。戦前ー現代。

全面に堆朱が施された文箱です。

彫りは、1-2㎜と浅いです。

内側と底は黒漆塗りです。内には、黒の板が入っています。

岩、牡丹、鳥が彫られています。

 

 

地にも細かな彫りがなされています。

黒漆塗りの部分には、木目が出ているので、木胎であることがわかります。

ところが、よく見ると、朱漆の部分にもかすかに木目らしき筋がみとめられます(電灯が写っている部分、縦に筋)。

これは、分厚い朱漆層を彫った本来の堆朱ではなく、彫りを施した木胎に朱漆を塗った物ですね(^^;

堆朱は、室町時代に中国から日本へ多くの品が渡ってきたと言われています。その後、日本では、一部の作家の品を除けば、木のボディに彫刻を施した物に朱漆を塗った倣堆朱が主に生産されました。村上堆朱や仙台堆朱です。鎌倉彫りもこの系統に入ると言えます。

今回の品はその一つ、おそらく村上堆朱(新潟県)ではないかと思われます。

それにしても良くできています。

予備知識がなければ、本物の堆朱で通ってしまいますね(^.^)


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2 コメント

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遅生さんへ (Dr.K)
2022-02-17 11:47:07
中国の堆朱と日本の堆朱では、何処が違うのかなと思いましたが、こうして順次に紹介され、比較出来るようになりますと、何となく違いが分りますね。
漆の色が微妙に違いますし、彫りの文様も微妙に違いますね。

日本の堆朱には倣堆朱というものが多いのですか。
そのような予備知識が無いと、分りませんね。
いろいろと勉強になります(^-^*)
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Dr.kさんへ (遅生)
2022-02-17 12:17:22
要するに、手間と費用を節約して、どれだけ本物に似せられるか、ということですね(^^;

分厚い漆層を彫っていないことからすると、贋物といっていいんですけど、なぜか◯◯堆朱の語がついています。
良いところは、お求めやすいお値段。
量産にむいていますから、ある意味、現代的な品です(^.^)
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