遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

朝顔・酔芙蓉で理科遊び(1)花の色

2019年10月05日 | ものぐさ有機農業

10月に入ったというのに、相変わらず、畑では、朝顔と酔芙蓉が咲き乱れています。

両方とも、時間がたつと色が変化します。

朝顔は、青色→赤紫

芙蓉は、白→濃ピンク

https://blog.goo.ne.jp/chisei/e/520f1e881d892bd64fa30a7dd020e799?fm=entry_awc

https://blog.goo.ne.jp/chisei/e/a22f36065541d49fab81c3ee23582879


畑では根がよく張り、十二分に栄養分が補給されるので、色が変化する前の咲いたばかりの花と、色が変化した前日の花とが混ざり合って、百花繚乱の趣があります。

 

これらの色の変化は、アントシアニン色素によると言われています。

アントシアニンは、pHによって色が違います。酸性では赤、アルカリ性では青です。

青色の朝顔では、咲いたばかりの花のアントシアニンは弱アルカリ性に保たれて青色なのですが、時間がたつにつれて酸性になり、色は赤紫に変わります。

酔芙蓉では、時間がたつにつれ、花の中でアントシアニンが生成され、白い花は次第に赤色に変わっていきます。

 

方に摘んだ朝顔の花です。赤紫色(酸性環境)になっています。

手で揉めば、簡単に潰れて色液が出てきます。それを水に溶かせば、

綺麗な赤紫色の水が得られます。

 

じゃあ、アルカリ性にしたら、どうなる?


これを入れてみました。



見事に、青色に変わりました。

朝顔の青色は、やはりアントシアニンだったのですね。

 

では、酔芙蓉はどうでしょうか?

夕方、酔芙蓉の花をどっさり採って、

手で揉みました。

赤色の液が出てくる、と思いきや

ただベタベタするだけです(^^;)

色らしきものはどこにもありません。

理由は二つ。

1)元々赤色色素が少ない。酔芙蓉の花びらをよく観察してみると、全部が赤色にはなっていません。まばらに赤。離れて見ると、赤く見えますが、実際は、うっすらと赤いだけなのです。

2)色素を取り出し難い。朝顔の花は、揉めばすぐに色素が出てきます。ところが、酔芙蓉の花は、どれだけ揉んでも、まったく色は出てきません。花の細胞が相当に頑丈なのです。

わずかにしかない色素が、なかなか外へ出てこない(>_<)

 

仕方がないので、木槌でしつこく潰しました。

それを水に入れて、布でこしてみました。

うーん、色がついていない。失敗?

 

 

ダメもとで、そこへ重曹を入れてみました。

少し色がつきました。

写真ではわかりづらいですが、黄緑色です。アントシアニンの可能性ありです。アントシアニンには、いろいろな種類がありますし、同じアントシアニンでも金属と結びつくと異なる色調になるからです。

 

以上、アルカリ性液中の、朝顔(左)と酔芙蓉の花(右)のしぼり汁です。

 

両方の花の色素、アントシアニンなら、酸性では赤系統の色に変化するはずです。

 

朝顔の花の液に、クエン酸を入れてみました。

 

 

見事に、赤紫色に変化。

 

酔芙蓉の花の液は、

非常に薄いですが、ピンクに変わりました。

 

アルカリ性から酸性への色の変化。やはり、朝顔、酔芙蓉の花色は、アントシアニンによるものだとわかります。

朝顔では、アントシアニンの置かれたpH環境、酔芙蓉では、時間経過によるアントシアニン生成が、色変化の正体だったわけですね。

 アントシアニンは、花だけではなく、実、茎、葉にも広く含まれています。


ここで、大きな疑問が・・・植物は何のために、アントシアニンを作るのでしょうか?


目だつ色で鳥に食べてもらって、種を遠くまで運んでもらう?・・・・・

果肉よりも、内部の種の方が色が濃いことが多いし、葉、花、茎にもアントシアニンは含まれているし・・・

結局、よくわからないです。


現在考えられていることは、アントシアニンが植物の保護に役立っているのではないかということです。何らかの原因で、光合成が十分進まない場合、余った太陽エネルギーによって活性酸素ができてしまうのを防ぐ働きをしているらしい。また、アントシアニン自身が抗酸化作用をもっているので、植物の老化を防ぐ働きもする訳です。

アントシアニン類だけで20種以上、他のポリフェノール類を含めれば、非常に多種多様な抗酸化物質を植物が作り出しています。身近なところでは、お茶のカテキン。日本へお茶は、薬として入ってきたのもうなずけますね。

 

考えてみれば、どうでもいいことに追いまくられている毎日ですが、明日は、朝顔や酔芙蓉の色の変化を楽しみながら、朝と夕に、ゆっくりとお茶を飲んでみようと思います。

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おばあちゃんの草取り爪

2019年10月03日 | ものぐさ有機農業

さる雑誌の広告を見て、おどろきました。

早速、ホームセンターへ行って探したところ、ありました。

 

 これです。

「草取り爪」

「爪を傷めません」

「特許 おばあちゃんの知恵」

写真と名前まで載っているではありませんか。

考案者は、岡山県津山市在住の正木サナエさん、80歳。

よくある、架空の人物のキャッチコピーではなさそうです。

なんと、岡山県発明協会に所属する発明おばあちゃんで、2007年、80歳の時に、この発明品が発売されたそうです。

 

使い方は簡単。人差し指か中指にはめます。

少し太いので、軍手などをはめ、その上から、この草取り爪をつけるのがいいでしょう。布がクッションばねのようになって、その方が力が入りやすいです。

私の場合、夏の間は手袋をはめることができません。

5年前、松の毛虫にひどくやられました。その後、夏に手袋をはめて作業をすると、汗と繊維の刺激で、バーッとアレルギーが出る体質になってしまったのです。素手で作業をするしかありません(><;)

 

さらに、泣きっ面にハチ。右手人差し指の爪が使えません。

3年前に右人差し指の爪に縦にヒビが入り、それ以来ずっと入りっぱなしなのです(><;)

爪が伸びて、割れ目がもう少しでなくなりそうという時に、ぐっと力を入れた拍子に、新たなヒビが下へとのびるのです。そんなことをもう何年を繰り返し、ヒビはどんどん長くなってしまいました。やむにやまれず、ばんそうこうを常にはっています。接着剤やらバンドエイドやら、いろいろ試したのですが、いずれも不発。そんなわけで、一番シンプルな方法に落ち着きました(^^;)

一番困るのは、小さな草をとる時です。爪が使えない。

そこで、おばあちゃんの草取り爪の登場です。

 

 微妙な曲がり具合がミソです。

 

 真ん中の割れ目を草の根にグッと差し込み、軽く起こせば、てこの原理でなんなく草がぬけます。

手首のスナップをきかせれば、さらに楽です。

特に、この場所のように、苔の中に生えた草をとる場合、根がほどんどない苔が一緒に取れてしまいます。

この道具を装着すれば、苔のダメージは最小に抑えることができます。

 

 3分間ほどでの、成果。生爪で取る場合の、3倍ほどのスピードです。もちろん、爪の中に土が入ることもありません。

 

それにしても、このおばあちゃんの草取り爪、先回のブログで紹介した、戦前の面白グッズに大変良く似ています。

https://blog.goo.ne.jp/chisei/e/fb386258361ff88845d08251d4ae582b

ひょっとして、正木おばあちゃん、小さい頃に、あの黒い爪で田んぼの草取りを手伝った経験があったのかも知れません。

なお、おばあちゃんに入る特許料は、一個あたり、10円だそうです・・・・1万個売れても10万円(^。^)

 

ついでに、その他、普段、私が使っている草取り道具を一緒に紹介します。

左側の長い道具は、今回の品に長い柄をつけたような品ですが、両者は無関係です。

左側の道具は、普通の大きさの草をとるのに重宝です。特に、やっかいなタンポポを根ごと退治するの向いています。

 

これは、一番使い道が多い道具です。どんどん、根ごと草が退治できます。ベストセラー製品です。類似品が出ていますが、歯の形や角度、鋭さなど、この品には及びません。

 

こんな品も買いました。てこの原理で楽に草が取れる、はずでしたが、イマイチです。


いずれにしろ、こういう品は、自分で実際に使ってみないと本当のところはわかりませんね。何事も実地、骨董と同じです(^^;)

 

 

コメント (12)
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ゆひさきのいたまぬ除草爪

2019年10月01日 | ものぐさ有機農業

久しぶりの面白グッズです。

同じものを2個入手しました。

戦前の品です。

箱は壊れかけていますが、中味は大丈夫みたいです。

 

 

箱を開けると、何やら黒い物体が。

 

鉄でできた、悪魔の覆面のような品が6個。

これはなんだ?

 

箱の表にすべてがありました。

『ゆひさきのいたまぬ除草爪(くさとりつめ)』定価拾六銭 とあります。

田んぼで作業をする早乙女のすがたから、この爪は田の草取りの時に使うものだとわかります。

専売特許 〇〇〇会〇等銅牌受領 誉 などからすると、それなりに売れていたのかも知れません。

 

 

 

こんな風に、指にはめて使ったのでしょう。

箱には手が描かれていますが、小指にも、計四個、爪をはめています。

実際にやってみると、小指には大きすぎて落ちてしまいます。3本が正解。一箱、6個入りは、左右両手分ということになります。

先進国の中で、日本だけが大量に使っている除草剤。

これがあれば、少しは減らせるでしょうか。

コメント (8)
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