第7日目の6月28日は、ウイーンを発ち、スロヴァキアの首都ブラチスラヴァとトレンチーンを訪ねた後、温泉保養地ピエスタニー泊まりの旅程。 ブラチスラヴァに着く頃に、またまた雨が降り出した。 しかも、城が修復工事中で入場できなかった。 人影がまばらな市街地を歩いていたら、恨めしげに見上げるマンホール男。 すぐ先には、カメラを構えるパパラッチを発見し た。 他にも、ユニー クな創作物が並ぶ魅力的な町だった。
昼食後、約120㎞離れたトレンチーンに着く頃、青空が覗いた。 人口6万人のこじんまりとした町に、要塞風の堅牢なトレンチーン城が、覆いかぶさるように建っている。 この城は角度によって、さまざまな表情を見せるので、城を見上げながら、 市庁舎前の時計台を中心にした美しい街並みを散策した。 どこの国でも、子供は水遊びが好きらしく、噴水シャワーで戯れていた。
夕刻、ピエスタニーのホテル付属の温泉プールで、泳いでいたら、老人が話しかけてきた。フロリダから毎年、療養に来ているという88歳のアメリカ人は、7年間のアウシュヴィッツでの収容所生活を語った。左腕に残る数字の入れ墨が痛々しかった。奥さんを3年前に亡くして、聞き役がいなくなったのだろうが、戦争が残した心の傷跡は、命ある限り癒えないに違いない。