スェーデンの制度を、分かり易くたとえると、国民は、収入を二つの財布に分けて持ち、一つを国に預け、使い方を監視する。もう一つの方は、自分自身で管理する。税金は、国民にとって、いわば政府貯金のような性格だ。
人生80年として、将来、個人で解決不能な事態が発生しても、国や自治体ならばカバー出来る。そう考えれば、高額な税金を払い(=貯金)、還元してもらう図式が成立する。自分の財産を預けるのだから、当然、国民は、使い方(=政治)に関心を持つ。
政策の基本は、貧困者を国の責任で救済し、中間所得者層を底上げするスタンスだ。絶対多数の中間層が豊かになれば、国全体が豊かになる。高齢者は、豊かな年金生活に入ることで、職場の新陳代謝が図られ、若者の失業リスクが減少する。定年延長によって、年金財源問題を解決する日本とは正反対だ。
少子高齢化時代にあって、「高福祉は財源を圧迫する」と叫ぶのは、余りにも脳がなさすぎる。ましてや、「小さな政府」とか「地方分権」は、借金のツケを何処に回すかを論じるのと同じだ。企業が払うべき「社会コスト」にメスを入れ、法人税を含めた「税制の抜本改革」が最優先課題だと思う。(次回、最終回)