アーチボルド・カール・コーチャン(A. Carl Kotchian)氏が、2008年
12月14日カリフォルニア州レッドウッドシティ、セコイア病院で亡く
なりました。94歳でした。
コーチャン氏は70年代に、ロッキード社のジェット旅客機を売り込むために、
世界各国の有力者にお金をバラまいた人物です。日本では田中角栄氏が逮捕
されたり、オランダではユリアナ女王の夫君、ベルンハルト公も渦中の人と
なりました。
コーチャン氏は道徳的には間違っていたかもしれないけれど、どことなく
憎めないところがあります。
それは彼がクールなエリートというよりは、自分の腕一本でたたきあげた
ビジネスマンだったからかも知れません。
ロサンゼルス・タイムズ紙(電子版)の死亡記事に彼の略歴が記されて
いました。
1914年ノースダコタ州カーミット生まれ。育ったのはカリフォルニア州
のロングビーチ。大学はLong Beach Junior College(現 Long Beach City
College)に入り、スタンフォード大学に進んで学士号とMBAを取得。
ロサンゼルスのPrice Waterhouse & Co.で公認会計士としてしばらく
働いた後、 ロッキードの子会社Vega Airplane Co.に入社、以降は出世階段
をのぼります。
時として、彼は猪突猛進するところがあったようですね。航空会社から
受注の確約が一件もないのに、L-1011トライスターの組み立てに突っ走って
しまいます。
Kotchian spearheaded the development of the L-1011 jet, which Lockheed
began building without a firm commitment from a single airline, a risky move
that eventually cost the company billions of dollars.
(ロサンゼルス・タイムズ紙)
だから、売り込みでも突っ走ってしまった。彼の熱意が、結果的に国境を越えた
大スキャンダルを引きおこしたとも言えそうです。
事件の後、航空機産業における彼の人生は終わりました。ニューヨークタイムズ
(電子版)によると、ロッキード社を去った後は、カリフォルニア州でアルファルファ
農場に専念し、救世軍のためにお金を調達されたそうです。
コーチャンさんのご冥福をお祈りします。