それまで元気で、ミルクの飲みもよく、すくすく育っていた赤ちゃんが、眠っている間に突然死亡してしまう。これが乳幼児突然死症候群(SIDS)という病気です。事故や窒息死とは違います。
日本では出生した赤ちゃんの約4000人のうち1人がSIDSで亡くなっており、日本の乳幼児の死亡原因の第2位となっています。欧米では乳幼児の死亡原因の第1位です。特にかわいい盛りの4~6ケ月の赤ちゃんがこの病気の最大の犠牲者で、ほとんどが1歳未満の赤ちゃんに起きています。
SIDSの原因はまだ解明されていませんが、私達が赤ちゃんの育児環境に気を付けることによって、SIDSを減らすことが出来るいくつかの因子があることが分かってきました。
多くの国で、『うつ伏せ寝を止めること、赤ちゃんを暖めすぎないこと、母乳にすること、お母さんが禁煙すること』を中心としたキャンペーンが行われ、SIDSの発生率が実際に減少しています。うつ伏せ寝が大幅に減り、仰向け寝が増えたことで、特に問題が起こったことは報告されていません。
日本におけるSIDSについての厚生省研究報告書では、うつ伏せ寝は一般には14%に過ぎなかったのに、SIDSで発見された赤ちゃんの79%がうつ伏せ寝でした。これらのことから日本においても、リスク因子を少なくすることによってSIDSの発生頻度をもっと少なくすることが出来ると考えられます。