ある産婦人科医のひとりごと

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日医が「分娩に関連する脳性麻痺に対する障害補償制度」の制度化に関するプロジェクト委員会を設置

2006年06月22日 | 出産・育児

****** コメント

脳性麻痺は、一定頻度で発生し、遺伝的要因、脳奇形、脳血管障害(脳梗塞、脳出血など)、中枢神経感染症(胎内でのサイトメガロウイルス感染症、ヘルペス感染症など)、分娩時低酸素症など、非常に幅広い原因があり、原因不明の場合も多くあります。

しかし、我が国においては、脳性麻痺の原因が不明の場合や分娩時の病院側の対応に特に問題がなかったような場合であっても、裁判では医師側に過失があったとされる場合が少なくありません。

これは、医師側に過失があったことにしないと、患者側が一切救済されないという現行制度にも起因していると考えられます。無過失補償制度を、我が国においても早急に導入する必要があると思われます。

****** 日医白クマ通信、2006年6月21日

定例記者会見
日医が「分娩に関連する脳性麻痺に対する障害補償制度」の制度化に関するプロジェクト委員会を設置

 木下勝之常任理事は、6月20日の記者会見で、日医が、「分娩に関連する脳性麻痺に対する障害補償制度」の制度化に関するプロジェクト委員会を設置したことを明らかにした。

 木下常任理事は、まず、世界的には、ニュージーランド・スウェーデンなどの無過失補償制度実施国があるものの、わが国の医賠責保険制度では、事故が起きたとき、医師が“有責”の場合のみ保険適用となり、医師に責任のない“無責”のケースでは、障害・死亡ともに賠償金は一切受け取れないのが現状であると説明。そこで、日医では、障害者救済の視点から、すでに、「医療に伴い発生する障害補償制度検討委員会(プロジェクト)」で検討、本年1月、「医療に伴い発生する障害補償制度の創設をめざして」という答申をまとめた。これを受けて、今回、答申のなかで、現在、最も問題になっている「分娩に伴って生ずる脳性麻痺」に対する補償制度の実現を図る目的で、プロジェクト委員会を立ち上げたもの。木下常任理事は、来年の通常国会への提出を目指し、今後、対象・補償額・基金・制度運用方法等、具体的な制度の内容を詰め、7月末を目途に結論をまとめて、国に働き掛けていきたいとの考えを示した。

 木下常任理事は、「この制度化は、障害者救済を第一に考えたものだが、ひいては、(1)医師患者間の信頼関係構築、(2)少子化対策、(3)患者さんの経済的・精神的負担の軽減、(4)減少する産婦人科医への支援等にもなるので、国の社会保障制度の一環と考えて欲しい」と述べ、実現へ向けての協力を報道各社にも要請した。