ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

大野病院事件 産婦人科医 加藤克彦被告に無罪判決 (速報)

2008年08月20日 | 大野病院事件

コメント(私見):

本日は、診療を同僚の先生方に任せて、はるばる福島市までやって来てます。留守番の先生方は忙しくて大変なことになっているかもしれません。

午前10時をちょっと過ぎた頃に無罪判決の速報がインターネット上に多数掲載されました。また、福島民報の号外が配られてました。午後1時から開催されたシンポジウムに参加しましたが、平日の昼間にもかかわらず大勢の参加者がいて、会場は熱気に包まれてました。会場には顔なじみの方も大勢いらっしゃいました。

これから新幹線で帰るところです。

判決文の詳細については、今後、明らかになると思われます。明日は売ってる新聞を全部買いそろえて、しっかり読んでみたいと思います。

以下、開廷直後の無罪判決の速報です。

*** CBニュース、2008年8月20日10時5分

大野病院事件、被告医師に無罪判決

 福島県立大野病院で2004年12月に帝王切開手術を受けた女性が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた当時の産婦人科医長、加藤克彦被告(40)に対する判決公判が8月20日、福島地裁であり、鈴木信行裁判長は、無罪判決を言い渡した。

 起訴状などによると、加藤被告は2004年12月17日、女性の帝王切開手術をした際、胎盤と子宮の癒着を認識。胎盤を無理にはがせば大量出血する恐れがあるのに、子宮摘出術に移行するなどの危険回避の措置を怠り、剥離(はくり)を続けて女性を失血死させたとされた。

 また、異状死を24時間以内に警察に届けなかったとして、医師法21条違反にも問われたが、鈴木裁判長は、検察側の主張を退けた。

 検察側は今年3月21日の論告求刑公判で、禁固1年、罰金10万円を求刑していた。

(CBニュース、8月20日10時5分)

*** 朝日新聞、8月20日10時12分

産科医に無罪判決 帝王切開での女性死亡事故 福島地裁

 福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、福島地裁(鈴木信行裁判長)は20日、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医、加藤克彦被告(40)=休職中=に無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)の判決を言い渡した。

 加藤医師の逮捕後、日本産科婦人科学会や日本医学会、地域の医師会などは「必要な医療が提供できなくなる」などと反発。手術部位を間違えるなどの単純ミスではなく、治療における医師の判断、手術法の選択にまで捜査当局が踏み込んだ事件として、判決が注目されていた。

(朝日新聞、2008年8月20日10時12分)

*** 毎日新聞、2008年8月20日10時16分

大野病院医療事故:帝王切開の医師に無罪判決 福島地裁

 福島県大熊町の県立大野病院で04年、帝王切開手術中に患者の女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた同病院の産婦人科医(休職中)、加藤克彦被告(40)に対し、福島地裁は20日、無罪(求刑・禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。手術中の医師の判断を問う裁判として注目されたが、判決は医師の裁量の範囲と認めた。

 起訴状によると、加藤医師は04年12月17日、帝王切開手術中、はがせば大量出血する恐れのある「癒着胎盤」と認識しながら子宮摘出手術などに移行せず、クーパー(手術用はさみ)で胎盤をはがして女性を失血死させた。さらに、医師法が規定する24時間以内の警察署への異状死体の届け出をしなかったとされた。

 医療行為を巡り医師が逮捕、起訴された異例の事件で、日本医学会や日本産科婦人科学会など全国の医療団体が「結果責任だけで犯罪行為とし、医療に介入している」と抗議声明を出すなど、医学界を巻き込んで論議を呼んだ。公判では、検察側、被告側双方の鑑定医や手術に立ち会った同病院の医師、看護師ら計11人が証言に立っていた。【松本惇】

(毎日新聞、2008年8月20日10時16分)

*** 時事通信、2008年8月20日10時18分

産婦人科医に無罪=医療ミスを否定-帝王切開死亡事故・福島地裁

 福島県立大野病院(同県大熊町)で2004年、帝王切開手術で出産した女性=当時(29)=が大量出血して死亡した事故で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)の判決公判が20日、福島地裁であり、鈴木信行裁判長は被告の医療ミスを否定し、無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。

 執刀医による手術時の判断について刑事責任を否定した判決は、今後の医療過誤事件に大きな影響を与えそうだ。

 胎盤を子宮から剥離(はくり)した際に大量出血を予見できたかと、剥離を中止して子宮摘出に移る義務があったかが、最大の争点となった。

 被告側は、剥離中の出血は少なく、出血量の急増は予測できなかったと主張。「剥離を開始したら完了させ、それでも出血が止まらなければ子宮を摘出するのが、一般の医療水準だ」として、処置は適切だったと訴えた。検察側は、通常は使わないクーパー(手術用はさみ)を使い胎盤をはがしたことなどから、「出血で死亡する危険性が高いと予見できたのに、無理な剥離を漫然と継続した」と非難していた。

(時事通信、2008年8月20日10時18分)

*** 河北新報、2008年8月20日10時18分

加藤被告に無罪 大野病院事件 福島地裁判決

 福島県立大野病院(大熊町)で2004年、帝王切開中に子宮に癒着した胎盤の剥離(はくり)を続けた判断の誤りから女性患者=当時(29)=を失血死させたなどとして、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)の判決公判が20日午前10時すぎ、福島地裁で始まった。鈴木信行裁判長は業務上過失致死、医師法違反のいずれについても無罪を言い渡した。検察側は禁固1年、罰金10万円を求刑していた。

 事件は、逮捕時から医療界が「不当な捜査介入だ」と猛反発し、注目を集めてきた。福島地裁には朝早くから医療関係者ら788人が傍聴券を求めて詰め掛けた。判決言い渡しは昼休みを経て午後まで続く。

 最大の争点は、癒着胎盤の剥離を続けた判断の正否。これまでの公判で検察側は「命に危険が及ぶ状況に至っても漫然と剥離を続けた」と過失を指摘。弁護側は「いったん剥離を始めたら最後まで続けるのが妥当だ」などと反論した。

 大量出血の予見可能性では、検察側が「被告は手術前、子宮摘出の可能性も考えており、十分予見できた」としたのに対し、弁護側は「慎重な処置を繰り返しており、予見はできなかった」と主張した。

 加藤被告は「異状死」を警察に届け出なかったとして医師法違反にも問われた。

(河北新報、2008年8月20日10時18分)

*** 産経新聞、2008年8月20日10時22分

帝王切開死亡事故 大野病院産婦人科医に無罪判決 福島

 福島県大熊町の県立大野病院で平成16年、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反の罪に問われた産婦人科医、加藤克彦被告(40)の判決公判が20日、福島地裁で行われ、鈴木信行裁判長は無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。判決言い渡しは午後3時ごろまでに終わる見込み。

 手術時の判断をめぐり、執刀医の刑事責任が問われたこの事件の公判では、「過失は明白」とする検察側と、「手術は適切だった」とする弁護側が全面対立。医療行為は適切だったのか▽危険は予見できなかったのか▽医師法違反に該当するのか-などが争われていた。

 執刀医の逮捕・起訴については、「診療が萎縮(いしゅく)する」として、日本産科婦人科学会をはじめ多くの医療関係者が反発、第三者の立場で医療死亡事故を究明する“医療版事故調”設置の議論を加速させる要因にもなるなど、国の医療政策にも大きな影響を与えた。

 論告などによると、加藤被告は平成16年12月17日、子宮と胎盤が異常な形で癒着した「癒着胎盤」の症例だった女性の帝王切開手術を執刀。子供は無事に生まれたが、女性は子宮から胎盤をはがす際に大量出血し、死亡した。また女性の死亡を24時間以内に警察署に届けなかった。

 検察側は、「剥離(はくり)を中止して子宮を摘出すべきだったのに、無理に続けて失血死させており、過失は明白」と主張。これに対し、弁護側は「剥離を始めれば、完了させて子宮の収縮による止血作用を期待するのが産科医の常識であり、臨床現場では、検察側が主張するような措置を取った例はない」として、検察側に反論していた。

 また、検察側は「事故後、自分の過失で失血死させた可能性を被告自身が述べており、異状死と認識していたことは明らか」として、異状死を届けなかった医師法違反を指摘。一方、弁護側は「被告は異状死と認識していなかったうえ、上司と相談して届け出なくていいと指示されていた」と主張していた。

(産経新聞、2008年8月20日10時22分)

*** 共同通信、2008年8月20日10時35分

帝王切開死で産科医に無罪 福島地裁、医療界に影響

 福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開で出産した女性=当時(29)=が手術中に死亡した事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科医加藤克彦被告(40)に対し、福島地裁(鈴木信行裁判長)は20日、無罪判決(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。

 「基本的な注意義務に反し過失は重大」とした検察側に対し、弁護側は「可能な限りの医療を尽くした」と無罪を主張、全面的に争っていた。

 医療行為の過失を問われ医師が逮捕、起訴された事件は医療界の反発を招き、全国の産科医不足に拍車を掛けたとされる。この日の司法判断は医療界に大きな影響を与えそうだ。

 公判では、子宮に胎盤が癒着した極めて珍しい症例をめぐり、被告が胎盤をはがす「はく離」を続けた判断の是非などが争点になった。

 論告によると、加藤被告は04年12月17日、女性の帝王切開手術を執刀。子宮摘出など危険回避措置を怠り、クーパー(手術用はさみ)で癒着した胎盤をはがし、大量出血で死亡させた。「異状死」なのに24時間以内に警察に届けなかったとして医師法違反の罪にも問われた。

(共同通信、2008年8月20日10時35分)

*** 福島テレビ、2008年8月20日10時56分

福島県立大野病院女性死亡事件 産婦人科医に対し無罪判決 福島地裁

 2004年、福島・大熊町の県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性が手術中に死亡した事件で、業務上過失致死などの罪に問われている産婦人科医に対し、福島地裁は20日午前、無罪を言い渡した。

 この事件は、県立大野病院で帝王切開手術を受けた当時29歳の女性が、子宮から胎盤をはがす際、大量出血で死亡したもので、執刀した産婦人科医・加藤克彦被告(40)が業務上過失致死などの罪に問われているもの。

 20日午前の判決で、福島地裁は、加藤医師に無罪を言い渡した。

 今回の裁判では、検察は「加藤医師が適切な処置を怠った」として、禁固1年などを求刑、一方の弁護側は無罪を主張、また、日本医師会など医療界から反発が相次いでいた。

(福島テレビ、2008年8月20日10時56分)