コメント(私見):
都会、地方を問わず、全国各地の周産期医療提供体制は危機的な状況にあり、大学病院や拠点病院も含めて産婦人科医不足が年々深刻化しています。
地域の開業の先生方が高齢化により次々にリタイアーし、拠点病院の勤務医が疲れ果てて連鎖反応的に大量離職していく中で、産婦人科医の人材が完全に枯渇してしまえば、県内の周産期医療提供体制がいったんは総崩れとなってしまうことも危惧されます。
医師個人の頑張りに頼っているだけでは、現体制を支えている医師が燃え尽きてヤル気を失くすたびに、地域周産期医療の崩壊が進行していくことになります。
今は将来を見据えて、あせらず一歩一歩、体制を立て直していくべき時です。
まずは、病院や医師の集約化を進めて医療崩壊の更なる進行をくいとめることが緊急の課題です。
それと並行して、未来を担う新人を大幅に増やす努力も非常に重要です。そして、彼らが途中でドロップアウトせずに立派に育って、将来、県内各地で大活躍できるように、大学病院や拠点病院の研修環境を充実させていく必要があります。そのための国レベルの思い切った支援策も必要だと思います。
****** 毎日新聞、2009年2月7日
産科医 3割で負担過剰 分娩数、限界に
都道府県の医療計画策定の基礎となる2次医療圏のうち、病院勤務医1人が扱う分娩(ぶんべん)数が年150件を超す医療圏が3割を占めることが毎日新聞の調査で分かった。日本産科婦人科学会などは帝王切開などリスクを伴う分娩を受け入れる病院勤務医が無理なく扱えるのは150件程度までとしている。地域のお産環境が危ういバランスで成り立っている実態がうかがえる。【まとめ・大和田香織】
調査は厚生労働省が07年12月時点で集計した355医療圏(兵庫県は周産期医療圏)ごとの分娩数、常勤産科医数を都道府県に照会し、取材を加味してまとめた。
有効な数値を得られた287医療圏を分析すると、63%の182医療圏で医師1人当たり分娩数が100件を超え、30%の87医療圏で150件を超えていた。
都道府県別では北海道(7医療圏)▽神奈川県(6医療圏)▽長野県(同)▽愛知県(5医療圏)▽京都府(同)などで、150件を超すケースが目立った。富良野(北海道)、湯沢・雄勝(秋田)の両医療圏は、一つしかない病院の常勤医1人で分娩数が年150件を超えた。
今年1月までの1年間で、経営判断や医師不足などで分娩予約の受け付けを中止したり、産科の休止に至った病院は14府県17カ所に上ることも、今回の調査で分かった。
(以下略)
(毎日新聞、2009年2月7日)