コメント(私見):
臨床研修制度が大幅に見直されます。まだ最終決定ではないようですが、主な変更点がだんだん明らかになってきました。
まず、必修診療科を、内科(6か月以上)、救急(3か月以上)、地域医療(1か月以上)の3科に減らし、外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科の5科から2科を「選択必修」として、研修期間が実質1年間に短縮されます。それによって、専門研修の開始が実質1年早まり、医師不足の解消につなげる狙いがあります。
また、現在は研修医の募集定員枠を自由に設定できるため、定員割れの病院が多く、研修医が都市部の有力病院に偏在しています。そこで、制度を改めて、都道府県別、病院別の定員枠を厳密に設定し、研修医の地域偏在を解消する狙いがあります。病院別の定員枠は、直近数年間の平均採用数など過去の実績を基準に算出し、実態に即した定員設定とします。大学病院の定員枠を優遇して、大学病院の医師派遣機能回復を目指す狙いもあるようです。
さらに、臨床研修に続く専門医養成(後期研修)について、医師の診療科偏在を是正するよう、後期研修のあり方を見直すことも今後の検討課題として盛り込まれたとのことです。将来的には、診療科ごとの定員を設定することも検討されているようです。
個人的見解としては、2年間の臨床研修(初期研修)に関しては、現状のままでも全く構わないと思っています。むしろ後期研修のあり方の見直しの方がより重要だと思います。
****** 毎日新聞、2009年2月17日
医師臨床研修:1年短縮へ 「短い」「甘い」現場反発
医師不足の原因ともいわれる新人医師の臨床研修制度を見直す動きが、現場で波紋を広げている。厚生労働省と文部科学省は10年度から、人手確保のため研修期間の実質1年短縮を認める意向で、18日にも専門家検討会で結論をまとめる。しかし「1年で十分に学べるのか」と懸念する医師は多く、見直しの目的である医師不足解消にも、効果を疑問視する声が出ている。【清水健二、河内敏康】
「専攻する気のない科の研修は、意欲をそぐ」(大学病院医師)
「やる気がない研修医を甘やかして制度を変えていいのか」(患者団体代表)
今月2日の検討会は、各委員の主張が激しくぶつかった。焦点は2年間で7診療科を回る現行制度の是非。1年短縮の賛成派は「必修科目を減らし、残りは専門分野で学んだ方がいい」、反対派は「診療能力向上の理念に逆行する」と、議論は平行線をたどった。
新人医師の多くはかつて、出身大学の医局(診療科)に所属し、雑用に追われ、専門以外の診療能力も育ちにくい状況だった。これを是正するために現行制度が導入された。厚労省研究班の調査では、研修医が2年で経験する症例数は徐々に増えており、内容に過半数が満足している。
だが厚労省は、効果の検証をしないまま、研修短縮ありきで見直しを始めた。舛添要一厚労相は早くから「2年を1年に」と話し、全国の病院の約6割が加入する四病院団体協議会などの反対意見は、事務局作成の「たたき台」に反映されなかった。
(以下略)
(毎日新聞、2009年2月17日)